think Airi project

十時愛梨を考えるブログ。




Memo 十時愛梨は何故羽根つきで優勝できたのか

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あけまして、おめでとうございます。
2020年って、10の位の数が変わると、なんだか時代が変わったような感じがしますが、いつの時代でも十時愛梨が愛されるように、魅力を伝えるために頑張っていきたいと思いますので、今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、今、十時愛梨に関して皆さんが関心を持っているのは「羽根つき」だと思います。

 

1月5日のデレぽで、羽根つき対決が唐突に始まったからなのですが、なんと、十時愛梨が優勝したのです。

 

たしかに愛梨って、テニス部所属なんですよね。

でも、担当Pだとむしろ不思議に思うわけです。

愛梨って、運動神経よくなかったよな…? と。

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(きらめけ!アイドルスポーツ祭 思い出エピソード より)

 

というわけで、ちょっと考えてみましょう。

 

つわもの揃いの参加者

一連の投稿をしたアイドルが羽根つき対決の参加者だとすると、錚々たるメンバーであることに気づきます。

真鍋いつき:大学時代はスポーツ教育専攻

愛野渚:バスケ部キャプテン

新田美波ラクロス部所属の才色兼備

喜多見柚:バドミントン部副部長

十時愛梨:テニスサークルのマネージャー

 

喜多見柚の「副部長」という役職に関しては諸説ありますが*1、「羽根」を相手にしているという点では、一番有利と言えます。

 

これだけの強敵相手に、十時愛梨が優勝したのは、なぜでしょうか。

 

実は2つルールがある羽根つき

先に断っておきますが、筆者は羽根つき未経験者です。*2

なのでWikipediaでルールを調べたのですが、実は羽根つきには2つの方法があるんですね。

追羽根[編集]

2人が向かい合って羽子板(はごいた)と呼ばれる木製の道具を持ち、羽根を打ち合う。打ちそこなった場合には顔にを付ける罰が与えられることもある[1]

揚羽根[編集]

1人で羽子板を用いて羽根を打ち上げその回数を競い合うもの[1]

羽根突き - Wikipedia

 

そして、ここで思い出しておきたいのは参加したメンバーです。

そう、5人。奇数なんです。

羽根つきって2人で1対1で対決するものだと思っていたのですが、奇数だと、どういう形式で対決したのか考えないといけません。

 

さて、ここで注目したいのは真鍋いつきと新田美波の発言です。

 「最後に残ったのは、美波ちゃん、愛梨ちゃん、柚ちゃんですねっ!」

 「負けちゃった。ふたりとも強い!」

いつきの「残った」というニュアンスから考えると、この対決は総当たり戦ではなく、5人で対決がスタートして、2人脱落して3人になり、そして新田美波が脱落して柚と愛梨の一騎打ちになった、という格好だということがわかります。

一方、美波の「ふたりとも強い!」という発言からすると、美波は2人と直接対決をしているようです。つまり、トーナメント形式では無さそうだ、ということもわかります。

 

ゆえに、ここから導き出される対決の方式は2つ考えられます。

ひとつは、揚羽根の回数で勝負をしていた、というもの。

もうひとつは、Wikipediaのルールは無視し、5人で向かい合って羽根を打ち合って、羽根を落とした人から順次脱落する、というものです。

 

そう、このルールであれば、愛梨に勝機があります。

 

意外な愛梨の長所

まず1つが、「勝負運」

実は第6回シンデレラガール総選挙のおまけコンテンツとして公開された、「アイドル紹介」というコーナーで、「(兵藤)レナが見出す勝負運の強そうなアイドル」として、鷹富士茄子や依田芳乃と並んで、愛梨の名前がノミネートされていました。

たしかに、友人が勝手に応募したオーディションでアイドルが何なのかもよくわからない中で合格を勝ち取ったりするあたり、物事に動じずペースを崩さない長所があると言えます。

 

そしてもう1つが「人を惑わす能力」

これは、このブログでも何度か取り上げてますが、愛梨ってちょっと誤解を招きがちな言い回しがあったりとか、逆に、意図的にフェイントを掛けてきたりとか、わりと人を惑わしがちです。(詳しくは 十時愛梨の限定SSR パンプキンパーティー その特異性について - think Airi project 参照)

 

以上から、相手には相手にはフェイントを掛けて、自身は自分のペースを崩さない、という、駆け引きの強さがあるんじゃないか、と思います。

 

というわけで、単純な体力や運動神経では及ばない強敵を相手に、メンタリズムで勝った、というのが、私の考えた十時愛梨の勝因です。駆け引きが出来るってことは、スタンドが使えたら愛梨もジョジョに出れるかもしれないですね。

*1:「バドミントン部、副部長!という名の、ただのムードメーカー♪」[ハイテンションスマッシュ]喜多見柚

*2:京都が生んだパリジェンヌだから仕方ない。

Think Airi 024 モバマスのカップオブラブを語る

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年の瀬ですね。
2019年、色々とありましたが、今年最後の謎を解いておきたいと思います。

それはモバマスの[カップオブラブ]です。

 

■見た目は同じ。

モバマスの[カップオブラブ]は、初出がデレステ。いわゆる「逆輸入」と呼ばれるSレアです。

しかし、見た目は同じですが、すべてのセリフが再収録されており、微妙に言動が異なる点が特筆されます。今回は「逆輸入」にあたって何が変わったのかを中心に考えてみたいと思います。

 

■何度も作ったカップケーキ

と言っても、「みんなで焼いたカップケーキをPにおすそわけする」という点は変わりありません。一緒にケーキを焼いてたかな子に味を褒められる、という点も同じ。

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ですが、親愛度MAX演出を見ると、ちょっとした違和感が生まれます。

 

作るたびに、Pさん好みの味に近づいてる気がするんです。
それとも、味覚が似てきたのかなぁ?えへへ♪

 

そう。「作るたびに」という箇所から、モバマスの[カップオブラブ]では、既に何度かカップケーキを作っていることが伺えます。そして、これがデレステでどう言っていたかというと…

じつはー…Pさん好みの甘さになってます♪

デレステではP好みの甘さを狙って作る、いわば決め打ちのような格好になっているわけです。これがモバマスだと、繰り返し作ったことで自然とP好みの味に近づいた、ということで、やはりカップケーキを繰り返し作っているという点が目立ちます。

 

■ラストのパラダイムシフト

続いて特訓後。これも親愛度MAX演出で意外な展開を迎えます。

Pさんは王子様っていうより、騎士様みたいです♪

まじかーーー!!!!!

このブログをご覧の方にはお馴染みだと思いますが、『アップルパイ・プリンセス』には「君とならそう私はプリンセス」という一節があり、そしてデレステ版の[カップオブラブ]では「P=王子様」という構図での言動が、愛梨の発言の端々に登場していました。


しかし、モバマスでは王子様というより騎士様、という新しい概念が登場したのです。

 

「逆輸入」で一見何ら変わらないように見せて、最後の最後に親愛度MAX演出という場面でパラダイムシフトが起きる。

十時愛梨、やっぱり油断ならねぇな、って思います。

 

■プリンセスではない愛梨?

さて、続きを見ていきましょう。

Pさんみたいにいつも一番近くで守ってくれる人がいるから、
優しく笑えるんですよ♪
プリンセスも、アイドルも…愛梨も!

 

デレステでは「じゃーん、おてんばプリンセス愛梨ですっ☆」とか、「アイドル愛梨とPさんのお話は、ここからが本番ですよね♪」という発言がありました。プリンセスである愛梨とか、アイドルである愛梨とか、そういったものが念頭に置かれています。

そして、確かに、モバマスでの[カップオブラブ]でも、アイドルコメントは「プリンセス愛梨がみんなを夢中にしちゃいますっ!」というような発言もあり、「プリンセス愛梨」というワードも登場しています。

 

しかし、それゆえに親愛度MAX演出が不思議に思えます。最後に「プリンセス」と「アイドル」と「愛梨」の3つが並列されていて、あたかも、プリンセスでもアイドルでもない愛梨がいるようにも見えます。

 

以上をまとめると、こうです。

デレステでは「プリンセス=愛梨」「王子様=P」という構図を徹底していましたが、モバマスでは、Pは王子様ではなく騎士様であり、愛梨もプリンセスではない面があるかもしれない、ということで、どうやらデレステモバマスでは構図が違うようです

 

■「騎士様」とは?

さて、「騎士様」という概念が突然出てきたように言いましたが、実は伏線がありました。それは特訓前のアイドルコメントです。

癒しのティーパーティーでゆっくりしてください、働き者のPさん♪

「働き者の」と言っていますよね。これが特訓後の親愛度MAX演出の「Pさんみたいにいつも一番近くで守ってくれる人がいる」という箇所に繋がり、そして、「一番近くで守ってくれる人」を指して「騎士様」というワードが出てくるわけです。

 

ところで、デレステでの[カップオブラブ]では、Pは、プリンセス愛梨とともに歩き、時に手を引く存在としての「王子様」でした。一方、モバマスでの[カップオブラブ]では、Pは「一番近くで守る」存在に位置づけられています。

 

そういえば、今回の特訓前と特訓後で共通するセリフで、こんなものがありました。

好きなことができて幸せですっ

これはあくまで推測ですが、デレステの[カップオブラブ]とモバマスの[カップオブラブ]とでは、愛梨の意識の違いがあるように見えます。デレステでは「Pに手を引かれる存在としての愛梨」ですが、モバマスでは「Pに守られながら自分の意志で進む愛梨」とでも言えるでしょうか。

ところで、自らの意思で進む、というテーマは、愛梨にとっては最近のモバマスではお馴染みのものですし([ほのぼの花歌]とか)、頑張っているPを愛梨が癒やしてあげる、というシーンも、モバマスでは定番になっています([はずむ花の湯]とか)。モバマスの[カップオブラブ]は、モバマスでの流れと合致していると言えます。

 

と、いうわけで、モバマスの流れの中では、「王子様」よりも「騎士様」のほうが、合理的だったと言える、かもしれません。

 

■親愛度MAX演出の比較

ところで、デレステ版と親愛度MAX演出を見比べてみましょう。

デレステの[カップオブラブ]においては、十時愛梨のストーリーはPと一緒に考えていく、というくだりで締めくくられていました。言い換えれば、デレステ版でのPの役割は「愛梨と一緒にこの先のあらすじを描く」ことにあります。

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一方で、モバマス版でのPの役割は「いちばん近くで守る」というものでした。

 

この両者の違いですが、もしかすると直近のカードである[ほのぼの花歌]が影響しているのかもしれません。[ほのぼの花歌]で愛梨は「何千年先も、みんなの心に残るような…そんなアイドルになりたいです」という決意を語っていました。

 

デレステ版で言うところの「この先」が、何千年先みんなの心に残るアイドルなのだとすれば、あらすじはもう既に愛梨とPが決めた後だというわけです。モバマス版の[カップオブラブ]は、歩むべき道が決まった愛梨とPの決意と覚悟が示されているのかもしれません。

 

■まとめ:もしかするとループ2周めかもしれない

デレステモバマスでは、どうやら構図が違うようだ、ということがわかりました。そして、どうやらモバマスのほうが、デレステよりも、もう少し先の話をしているような気がします。

モバマスで作ったカップケーキが、それまでに何度か作っていたようだ、という話を先述しました。もしかすると、デレステで作ったカップケーキが一回目、モバマスはその何度か後、と解釈できるかもしれません。

 

デレステの[カップオブラブ]とモバマスの[カップオブラブ]。見た目は確かに同じです。ですが、台詞はすべて新録されているだけでなく、その内容も新しく組み立て直されています。単なる流用や移植という範疇を超えた手間が掛けられていることが伺えます。

モバマスでは2020年初旬に恒常ガチャに追加予定の[カップオブラブ]。デレステでお迎えしたことがある人こそ、モバマスでもお迎えしてみて欲しい、と思います。

 

余談:即断即決の愛梨

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シンデレラガールズ劇場1371話より。

そういえば愛梨が何かに迷ってる場面って無くて、割と即断即決ですよね。頑固なところもあったりしますし、意外とふわふわしてない面があるんです。

 

余談:あっ、スウィートシロップだ。

右側が初期レアの衣装(スウィートシロップ)

初期の衣装も大切に着てるんだ…っていうところがエモいですよね。

【おしらせ】冬コミに、でます。

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書籍化ですよ、奥さん!!!

 

というわけで、このブログから本が出来ました。

タイトルは「詳説・十時愛梨

表紙は「10時の時計を持った愛梨」になっています。超わかりやすい。

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内容は文字が主体で、ところどころイラストが入っている、という感じです。扱ったテーマは「デレステのSSR4種類から読み解く十時愛梨」と「『アップルパイ・プリンセス』から『ヒトトキトキメキ』へ至る過程から読み解く十時愛梨」の2つ。この2つだけですが、104ページの分量になりました。

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12月30日、コミックマーケット3日目で頒布します。1冊500円ですが、「愛梨P本人」もしくは「愛梨Pのおつかい」であることをおっしゃって頂ければ100円引きで400円になります。この機会にぜひ愛梨Pになってください。

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また、有明遠いよーという方向けに、メロンブックスさんに委託をお願いしてますので、そちらも併せて活用頂ければ、と思います。

www.melonbooks.co.jp

 

あと、年明けの神戸のシンステにも出る予定なので、そっちにも持っていくつもりです。

 

 

さて。

ここからは「なぜ本にしたのか」ということと「本にしてよかったこと」を話します。

 

■そのそも、なぜ「Think Airi」なのか。

私が愛梨Pを始めたころって、いわゆる「担当Wiki」が流行っていた頃で、とにかく担当に対する情報を集めよう!っていう雰囲気があった気がします。

 

けれども、十時愛梨にはWikiが無かったんですよね。

 

なので、どこから手を付けたらいいか、かなり大変でした。それで、とりあえず片っ端からモバのカードを集めていくわけですが…、集めて、テキストを読んでもよくわかんないんですよ。

なぜかといえば、このブログでも度々言及していますが、十時愛梨の本質って「変わらないこと」だから、なんですよね。「変化」がテーマの子であれば、過去のカードのあらすじを追うだけで「かつてはAだった少女がBになった」というストーリーを理解できるわけですが、十時愛梨は「かつてAだった少女が、変わらぬ想いを貫いている」っていうタイプなわけで、漫然とあらすじを追ってもわかんないんです。

 

だから、考えないと、十時愛梨は理解できないんだと、そう思います。

 

もう一つ。

十時愛梨って「かわいい」とか「セクシー」とか、見た目で好きになってくれる人が多いと思うんですよね。でも、見た目で止まっちゃう人も、多いんじゃないかって思うんですよね。

そういう人たちに、見た目だけじゃなくって、もっと奥深い面白さがあるんだぜ、って言える人になるには、見た目だけじゃない良さを考えてみるしかないわけです。

 

だから、考えないと、十時愛梨の良さは伝わらないと、そう思います。

 

まとめると。

 

見た目がいいから、見た目で好きになる。

でも、よく考えないと、よくわからない。

だから、十時愛梨は考えないといけない。

 

端的に言えば、十時愛梨をもっと好きになれる人が増えるようにするための活動が、Think Airiなんです。

 

■なぜ「本」なのか。

次の話題はこれ。

本じゃなくてもよくね?って話です。

 

そうなんですよ。実際、ブログだとこうしてタダで読めてしてる文と同じ書き手が書いた文章を、紙に印刷するだけで印刷費って掛かるし、ビッグサイトなりメロンブックスさんなりに買いに行ったりする電車賃も掛かる。お金の話をすると、本にする意味って無いんですよね。

それに、ソシャゲって随時更新じゃないですか。本って一度印刷したら、もう中身は変えらんない。だから、ソシャゲの話をするのに「本」って、本質的にすごく相性が悪いはずなんですよね。

 

それでもなぜ「本」にしたかといえば、目に見える形を持っているからなんですよね。

 

例えばわかりやすいのは、人に見せるタイミングだと思います。スマホで「こんなブログ書いてます」って画面を見せるよりも、本を1冊手元に置いて「こんなん出来ました」って言うほうが、まだ2019年時点だと人に伝わりやすい(気がする)。それは「本」が実世界でのリアルな形を持っているからなんですよね。

勉強だって、似たような問題を無限に出してくれるシステムのほうが勉強になるはずなんです(そういうのをやってるとこもありますよね)。でも、参考書っていう「本」が依然として売れている。それは「この一冊を解ききれば大丈夫」っていう安心感があるからなんですよね。もしくは、「とりあえずこの一冊を終わらせよう」っていう明確な目標が立てられるから、かもしれません。

 

そういう意味で、「とりあえずこれだけ知ってたら、十時愛梨を理解ったって言っても大丈夫じゃないですか」っていう目安を目に見える形で示せる、というのが、「本」という媒体の利点じゃないかと思います。

 

もちろん、現時点で、という但し書きは付けるべきではありますが。

 

■「本」にして気づいたこと

一番勝手が違うのは「リンクが貼れないこと」でした。

ブログだと「前にも書いたから読んどいてね」ってリングに丸投げできるんですが、本だと一々ページ戻ってもらうのが面倒なので、そこを丁寧に説明しないといけなかったんです。

でも、書籍化のために丁寧に加筆して気づいたんですが、ブログの文章って、引用とかリンクとかを羅列すれば何となく仕上がってしまっていたわけですよ。「こんなのがあって…こんなのがあって…だから…わかってよね!」みたいな雑な話の流れになっていた箇所もあって、そこを綺麗に出来たのは書籍化のいいところでした。

 

あと「分量が有限である」というのも影響は大きかったかな、と思います。ブログは無限に書けるし、記事を追加していけるけど、本には「一冊」という枠組みがあって、その中に全てを収めないといけない。

だから、出来る限り十時愛梨の魅力を網羅できるように、「この話題はここで触れて、この話題はこの話の続きで…」というように、色々と調整しました。

本のテーマを「4つのSSR」と「楽曲」という二本立てにしたのも、この2つの切り口なら、十時愛梨を一番効率よく語れると思ったからです。「4つのSSR」では十時愛梨の人柄に様々な側面があることを、そして「楽曲」では十時愛梨が魅せるアイドルとしての進化について語ってみました。

 

敢えてモバマスの歴史を追わなかったのは、冒頭で触れたとおり、時系列を追うだけではわかりにくい面があるから。そして、デレステからのPさんも増えている中で、やはりデレステから話し始めるのが理解してもらいやすいんじゃないか、と思ったからです。

 

こんな感じで、どうすれば十時愛梨の魅力が伝わるかなーって、考えていることを整理できたのも、書籍化のいいところでした。

 

というわけで、ちょっとスケジュール的にムチャをしつつ仕上げた一冊です。愛梨Pさんも、そうでない方にも。何かインパクトを撃ち込む一冊になれば幸いです。

Memo 君はもう、十時愛梨からサングラスをもらったか?

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いやーーー!来ましたね[ホーリーリゾートナイト]!!!

 

モバマスでは2016年のクリスマスに登場したのですが、それの移植、ということになります。

 

 

 

とにかく今回、モバマスから持ってきて欲しかったものが、ほとんど入ってたのが特筆すべきところかな、と思います。

 

という話をする前に、モバマスのコミュを振り返っておきましょう。

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で、デレステで、こう。

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という感じで、バッチリ押さえてくれています。

他にも色々とあるので「あーーー!ちゃんとこの要素入ってる!!!」って感じになります。すごくよい。

 

 

一方で、モバマスで見なかったのも。

「みんなには内緒」ってところは、「ヒトトキトキメキ」ですよね。

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それともう一つ触れておきたいのが、特訓エピソード。

ほら、デレステのコミュって「日常の出来事から、アイドルとは何かを知る」みたいな、ちょっと昭和なお決まりの展開があるじゃないですか。

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テンプレートな展開が来たか?と思ったら…ここからが愛梨節。

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「ファンから貰った応援を返したい」というところがとても愛梨らしいですし、個人的に一番ポイントだと思うのは、特訓後がグラビア撮影だという点です。

 

煌めくランタンがライブの光景、という話の取っ掛かりでしたが、愛梨にとってはファンに愛を伝える場所はライブにこだわらないのが愛梨らしいところ。ライブでのパフォーマンスも、ライブ以外の場面でも、場所にこだわらずどこでもファンからもらった応援に返していくのが愛梨らしいところで、それが表現されているのが、良いところでした。

 

あぁ、これただの感想だわ。

 

 

ところで、モバマスから2つ入ってきていない要素があります。

ひとつはサンタさんフードを被せようとしていたこと

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その代わり、サングラスをくれました。

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貰った以上は、掛けないとね…。

 

 

もう一つは、南半球のビーチへ行った経緯なんですが…

Pへの無茶振りに近いおねだりがきっかけ、なんですよね。

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だからこそ、モバマスでもデレステでもPを「私のサンタさん」と呼んでいるわけですね。

 

ということで、モバマスもやろう!(雑なまとめ)

【デレステ】十時愛梨は、底知れない ~パンプキンパーティー その特異性について~

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今回は [パンプキンパーティー] について語ろうと思います。デレステでは1番目のSSRですが、モバマスからの十時愛梨の中では特殊な立ち位置にあります。詳しく見ていきましょう。

  

 

Introduction:[アニバーサリープリンセス]との衣装の類似性

[パンプキンパーティー]の衣装は、背中が開き、おへそも出て、さらにスカートの丈も短い!と、とにかく布面積が少ないのが特徴です。一方で、胸元やヘッドアクセサリーは[アニバーサリープリンセス]を意識している部分も見られ、過去からの流れも感じられる衣装になっています。

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ところで、[アニバーサリープリンセス]といえば、恒常SSRカップオブラブ]も同じく[アニバーサリープリンセス]の流れを汲んでいます。

ひとつの衣装をベースに生まれた[パンプキンパーティー]と[カップオブラブ]。この2つの衣装について考えると、十時愛梨のひとつの魅力が浮かび上がってきます。

ひとつずつ、順を追って見ていきましょう。

 

 

1-1:他3つのSSRでは語りきれない十時愛梨

十時愛梨には4つのSSRがあります。

恒常のSSRカップオブラブ]のテーマは愛されるプリンセス。家族に愛されて育った少女が、ファンに愛されて輝くアイドルになった…という、十時愛梨のシンデレラストーリーを表しています。 

think-airi.hateblo.jp

 

フェス限SSR[プライベート・メイド]はご主人さまにお仕えするメイド。プリンセスに対してメイドはお仕えする側ですが、それでもメイド服が似合うのは、十時愛梨がファンに愛される一方ではなく、ファンを愛し、ファンのために尽くすアイドルでもあることを示しているのです。 think-airi.hateblo.jp

 

そして、もう1枚の恒常SSR[エレガンス・プラス]はファッションモデルに挑戦した姿。ツインテールを解きつつ、胸元にはお馴染みのハート型のネックレスが光る様子は、新しい装いの中にも、ファンをまっすぐに愛し、アイドルとしての高みを目指していく「変わらないハート」を胸に進化し続ける十時愛梨を魅せてくれました。 

think-airi.hateblo.jp

 

この3つのSSRから見ると、十時愛梨は「ファンに愛され、ファンを愛し、進化し続けるアイドル」だと言えます。アイドルとして優等生なように思えます。

 

 

でも、十時愛梨って、それだけでしょうか。

 

 

モバマスを振り返ってみると、[スイートバレンタイン]では「配るのはケーキにしましょうよー」と駄々をこねてみたり、「海の家アイプロ」では「私に隠れてアイスとか食べてませんでした?ずるいですっ!」と怒ってみたり、[ほのぼの花歌]では和歌っぽいものを詠んでみたりしています。十時愛梨って、従順で聞き分けが良い単純な子、ではなくて、意外とフリーダムなんですよね。

 

実は、十時愛梨のトリッキーな一面が色濃く出ているのが[パンプキンパーティー]なのです。

 

 

1-2:ハロウィンがモチーフ

十時愛梨が秋に登場するのは[スウィートトゥスウィート]で焼き芋をして以来で、ハロウィンがモチーフのお仕事はモバマスから通しても[パンプキンパーティー]が初めてのことです。

特訓後は非常に艶めかしい雰囲気で、これまでの愛梨とは一味違った一面が現れています。顔がどことなくジャック・オ・ランタンっぽくなっていますが、よく見ると、ちょろっと舌を出していることがわかります。

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ところで、特訓エピソードでは「いつも、いたずらをされる側ばかりなので、いたずらをしてみたい」という愛梨の想いが語られています。

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やってみたかったけれども出来なかったこと、といえば「海の家アイプロ」でも海の家の看板娘という仕事についても、「アルバイトとか、あんまりやらせてもらえなかった」「周りのお友達に、「愛梨ちゃんは座ってるだけでいいから」って言われて」といった発言をしていました。また、[いっしょにえいっ!]のエピソードコミュでは、スポーツをするとドジで大変なことになることが多い、と語りつつ「普段は見学が多いんですけど、身体を動かすの自体は好きなんですよっ!」とも言っていました。

これらに関しては、周りに止めらたり気を遣われたり、自重して出来なかったということで、ハロウィンのそれとは経緯が異なります。しかし、色々なものに対して興味を示しているところや、見ているだけだったものに対して楽しそうに取り組む愛梨の姿は[パンプキンパーティー]に通じる部分があります。

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1-3:[パンプキンパーティー]は「魔女」なのか?

さて、 ハロウィンのいたずらをやると決めた愛梨ですが、何をするか、という話になって選んだのが「魔女」でした。

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でも、なぜ魔女なんでしょうか。なまはげをやってみても怖がられないからモンスターは無理、というところまでは理路整然としていますが、その次の瞬間に「魔女っ娘ならできますっ」という結論まで一気に飛んでいます。

 

そして最大の謎は衣装です。

 

魔女、といえば「黒い服」を着て「つばの広い帽子」を被っているのがステレオタイプなイメージかと思います。そう、翌年の佐久間まゆが着たような。

もしくは愛梨本人も2019年のエイプリルフールで着ていたマルーンの衣装のごとく、マントのようなデザインの衣装とか。

というか、特訓前にいるじゃないですか!

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一方、[パンプキンパーティー]で愛梨が着ている衣装は「ピンク」「オレンジ」「グリーン」の3色をベースとした、鮮やかな色合いになっています。そして、冒頭でも触れたとおり背中と腹部を大胆に見せるデザインとなっていて、ステレオタイプな魔女のイメージとはかけ離れているように見えます。

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それでありながら、愛梨本人は「魔女っぽいですね~」とも発言しています。

 

なぜ[パンプキンパーティー]は「魔女」なんでしょうか?

 

 

1-4:「ハロウィン衣装を着ている」のではない

その謎を解く鍵も、愛梨の発言に見出すことができます。

 

えへへっ、ここまで脱いでもおっけーなんて、さすが魔女っ娘ですねっ♪

 

この発言から推測するに、愛梨がイメージしている「魔女っ娘」の衣装は、少なくとも先述した「黒いマントにつばの広い帽子」というイメージとは全く異なっていることが伺えます。*1

 

ここで改めて愛梨の言動を振り返ってみると、一つの事実に気付きます。

実は、愛梨は「魔女の仮装をする」とも「魔女の衣装を着る」とも言っておらず、単に「魔女」になるとしか言っていないのです。

その目線で見返すと、「顔が真っ赤になっちゃうような、困ったイタズラしますよっ」とプロフィールコメントで発言している通り、衣装が「魔女」なのではなく、悪戯っぽい自身の言動を指して「魔女」だと言っているように思えます。

 

 

そして、衣装に関係なく言動が「魔女っぽい」のだとすると、[パンプキンパーティー]の衣装は「魔女」とか「ハロウィン」をイメージして起こされたデザインではないのかも知れません。*2

 

では、仮に[パンプキンパーティー]が「魔女」のだとしたら、この衣装はどこからやってきたのか。それは[アニバーサリープリンセス]です。[アニバーサリープリンセス]から布面積を減らす、言い換えれば「脱ぐ」ことで、[パンプキンパーティー]になる、と考えることができます。

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ここで、新たな疑問が浮かびます。

[パンプキンパーティー]の衣装は、なぜ露出度が高いのでしょうか。

 

 

1-5:「Strip or treat」

[パンプキンパーティー]でのLIVE開始前のセリフは2通りあります。

・「Strip or Treat? えへっ、間違えちゃった?

・「カボチャのお面を脱いで…っと。え~?もう出番?

 

どちらにも、「Strip/脱ぐ」という要素が入っています。

 

特に前者の「Strip or Treat?」については、特訓前のルームでも「お菓子くれないと、えーっと…あっ、脱いじゃいますよ」と類似の発言があります。これらを踏まえると、[パンプキンパーティー]においては、Trick」と「Strip」は同意義で扱われていると考えられます。

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ちなみに、実は愛梨が「服を脱ぐ」という動作でPを翻弄するのは初めてではありません。1stアニバアイプロでは「私もあっつくて…………脱ぎませんよっ! ひっかかったーっ!」とフェイントを掛けていました。

そして、この文脈に沿うと、衣装の露出度も「イタズラ」の一貫だと考えることができます。つまり、ちょっと目のやり場に困るような衣装で人を惑わす、それが魔女っぽい、という解釈です。

 

この仮説が正しければ、愛梨のスクショを眺めて鼻の下を伸ばしていた人は、完全に愛梨の策に嵌っていたのかも知れない、というわけですね。なんということだ。

 

 

…いや。本当にそうなのか?

 

 

1-6:十時愛梨は「あざとい」のか?

プロフィールコメントを見返すと、もうひとつの解が浮かび上がってきます。先述した箇所は、以下のような続きがあるのです。

あれ~、まだなんにもしてないのに、なんでみんな真っ赤に…?

この部分を見ると、衣装を着てファンの前に表れただけなのにファンが真っ赤になっているのは愛梨にとって意外なことだった、と読み取れます。*3とすると、愛梨はファンの反応を予想せずに、露出度の高い衣装を着ていた、ということになります。

 

では、意図的でないならば、なぜ衣装の露出度が上がっていたのか。

それは、やはり愛梨が暑がりだから、というところに理由を求めるべきでしょう。事実、特訓前には「このドレス、着るのも歩くのも大変で~…」と漏らしていたので、特訓後は涼しい衣装にしたがったのかもしれません。

 

「魔女っ娘だからおっけー」という発言も、「おっけー」って単語はあくまで許容のニュアンスなんですよね。もし「魔女だから人を惑わすために脱ぐ」という理屈だとしたら、「ここまで脱ぐなんて、さすが魔女っ娘」みたいな発言になるはずです。そうではなくて露出度が高いことを肯定するために、「魔女だから許される」と言い訳をしている、と考えれば、「おっけー」という単語のニュアンスも含めて辻褄は合います。

似たような発言としてはルームで「Pさんの物、いろいろ見ちゃお♪いたずらっ娘だしっ」というのもあります。ある意味で、「魔女」という単語を免罪符のように使っている訳です。

 

まとめると、「Strip or Treat?」や「お菓子くれないと、えーっと…あっ、脱いじゃいますよ」といった発言は愛梨本人の意図的なものだと思われますが、特訓後の衣装の露出度が高くなってファンを驚かせてしまったのは、愛梨の意図したところではなかった、と考えられます。

 

 

なお「脱ぐ」という単語は、このブログでも以前に触れましたが、十時愛梨というアイドルを語る上で重要なキーワードのひとつです。 

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アイドルである以上、自分が他人からどのように見られているか、メディアでどのように取り上げられているかは十時愛梨本人の耳にも入っていることでしょうし、愛梨本人が自分が「脱ぎキャラ」だと思われていることも自覚してるんだろうなぁ、と思われるような発言もエピソードコミュなどで見受けられます。

[パンプキンパーティー]の後には、イメージを逆手に取って「Pさんが着せてくれた星空のドレスは…脱ぎませんよ([空のおくりもの])」といった発言も出てきています。一方で、本当に暑くて脱いでいる場面も多々あり、全カードを概観してみても、「脱ぐ」というワードが「単に暑がりなだけ」という場合と、何か特殊な意味を持つ場合が混在していることがわかります。

 

すべてが「うっかり」というわけでもなく、しかし、すべてが計算された「あざとさ」でもない。意図と不意図と無意識が入り混じっていて、そして、その予測できない点が人の心を揺さぶり、自然と人を惹き付けてしまうのが十時愛梨なのです。

そして、従来のモバマスでは「十時愛梨ってそういう面もあるよね」という取り上げられ方だったのですが、[パンプキンパーティー]では、テーマの一つとして取り扱われて、鮮烈な印象を残しています。これこそが、[パンプキンパーティー]の特異的な点だと、私は思います。

 

 

 

2-1:ハロウィンの舞踏会

さて、特訓後のほうから話を進めてしまいましたが、ここからは特訓前について触れていきたいと思います。特訓前の舞台は「ハロウィンパーティー」。見渡す限りカボチャで溢れかえっていますし、愛梨のドレスにもジャック・オ・ランタンがアクセサリとして取り入れられています。まさにパンプキン一色。

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さて、ここで「シンデレラ」のあらすじを思い出すと、シンデレラが乗ってきた馬車って「かぼちゃ」でしたよね。そして、シンデレラが王子に出会ったのは、カボチャの馬車に乗って訪れた舞踏会でした。

ちょうど、親愛度MAX演出ではこのような発言をしています。

ほらっ、Pさん、下にカボチャの馬車が!
じつは私、あれに乗って、この会場に来たんです♪

えへへっ、まるでおとぎ話ですよねっ。

 

ハロウィンがテーマの限定ガシャで登場したSSRではありますが、特訓前は「舞踏会のシンデレラ」という面が強く出ているのが特徴です。

 

 

2-2:「シンデレラ」を打ち破っていくシンデレラ

ところで、先述の親愛度MAX演出の面白いところは後半です。

 

で、こうして、Pさんとお話して、12時の鐘がなったら…

えっと、どうするんでしたっけ?
忘れちゃいましたから、ずっといてもいいですよねっ。
終わらないハロウィンもいいかも♪

 

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シンデレラといえば、敢えて言うまでもなく「12時の鐘が鳴ったら帰らなければならない」という点が物語のキーポイントです。それを「忘れちゃいましたから」の一言で、しかも初代シンデレラガールでもある十時愛梨が、「シンデレラ」のお約束を無かったことにしてしまう大胆さが、このコミュの肝になっているわけです。

 

しかし、こういった言動も[パンプキンパーティー]が初めでではありません。例えば[スイートバレンタイン]では、撮影セットのお菓子のおうちが食べられないと知って「食べられるお菓子のおうちに変更しましょうよーっ!」と言っていますし、1st Anniversaryアイプロでは「今からおうちに帰るまで…私とPさんは…手をつなぎますっ! いいですよねっ?」だなんて言ってきたりもしています。

 

 

意外とわがままで、意外と強引なところも十時愛梨の魅力。

それが凝縮されているのが特訓前の親愛度MAX演出なのです。

 


2-3:「もう出番?」

さて、[パンプキンパーティー]でのLIVE開始前のセリフは2通りあることは先述した通りですが、先で触れなかった「カボチャのお面を脱いで…っと。え~?もう出番?」について取り上げておきたいと思います。

実はこの、「出番」というのも十時愛梨にとってはお馴染みの単語で、「脱ぐ」という単語とともに初期レアのころから度々登場していました。

次は誰の出番…私!? 十時愛梨

あ、衣装がズレ…で、出番!? シンデレラガール+

いらっしゃい…え、出番!? [ふわふわメイド

 

このように、何度も出番をトチっていた十時愛梨でしたが、ついに[シンデレラドリーム+]では「今度こそ…出番ですねっ!」と、バッチリ出番を決められるように、アイドルとして成長したのでした。

…と、思いきや、[夏のお届け]では「へ?店番の時間ですかっ?!」と言っていたので、やっぱり十時愛梨のドジは変わらないようです。

 

ところで、十時愛梨の言動には「意図と不意図と無意識が入り混じっている」と先述しましたが、「出番をトチる」のは意図しないドジに当てはまりますよね。

[パンプキンパーティー]では「Strip or treat」のような意図的な発言のインパクトが強く、ややもすれば「あざとい」という印象を与えてしまうところでしたが、そこに「出番」という要素を織り込むことで、十時愛梨はすべてが「うっかり」というわけでもなく、しかし、すべてが計算された「あざとさ」でもない、ということを表しているのかな、と思います。

 

 

3-1:「妖しさ」と十時愛梨

[パンプキンパーティー]の特訓後で艶めかしい雰囲気を醸し出した愛梨ですが、翌2017年1月末に「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」の歌唱メンバーに抜擢されます。

ところが、メルヘンチックな楽曲という触れ込みで登場したこの曲ですが、5月末に開催された5th Live「Serendipity Parade!!!」の石川公演で重大な事実が発覚します。

 

「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」はダークメルヘンだったのです。

 

そして、2017年8月。SSA公演Day1にて、さらなる事実が判明します。

 

法子:秘密の秘密のお話

乃々:キミに特別に教えましょう

かな子:おうちの中には入れても

愛梨:「そう、わかるでしょ」

雫:出口はないの

 

そう、この曲の肝とも言える「そう、わかるでしょ」というセリフ。

この部分の担当は、十時愛梨だったのです。

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このセリフ、ポイントなのは「わかるでしょ」と、こちらに状況を悟らせるところにあると思います。つまり、全くなにも知らない人に告げるのではなく、この家はひょっとして出られないんじゃないか、と感づいた人に事実を突きつける、ということです。

逃げようと思っても逃げられない。いやむしろ、逃げることができたとしても、逃げようだなんて思わなくなる。十時愛梨って、そういう子だからこそ、「そう、わかるでしょ」というセリフを割り当てられたのかもしれません。そして、十時愛梨に魅せられた我々は、「甘い香りに誘われて不思議なおうちにやってきた」6人目に他ならなかったわけなのです。

 

そういえば、[パンプキンパーティー]で十時愛梨はこんなことを言っていました。

なにをされたら一番困るか、そ~っと教えてくださいねっ♪

何をされたら困るか教えろ、と言われること自体、反応に困ります。でも、何をいたずらされたいのか、わざわざ訊いて来るところが非常に可愛い。困る。

 

ところで構ってちゃん的な振る舞いと言えば、[プリンセスバニー]の「毎日プロデュースしてください♪いつでも一緒がいいんだもん♪」という発言を思い出します。ただ、こちらは「愛してください!」と半ば強引に迫ってくる単純なものでした。

しかし、繰り返しになりますが、[パンプキンパーティー]は「意図と不意図と無意識が入り混じっている」十時愛梨で、どこまでがわざとで、どこからがうっかりなのか判りません。まるでこちらが手玉に取られてしまっているような、翻弄されてしまっているような面もあります。そのあたりの影響で、[パンプキンパーティー十時愛梨には、妖しい魅惑で囚われて動けなくなってしまうような、そんな不思議な圧を感じる部分があるんじゃないかな、と思います。

そういった「妖しさ」を描いた点で[パンプキンパーティー]は特異であり、その延長線上に「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」があるという意味で十時愛梨にとっての一つのエポックメーキングなSSRだったと言えるのではないでしょうか。

 

 

3-2:「表情」と十時愛梨

そんな妖しい表情で人を魅了する[パンプキンパーティー]の十時愛梨

ですが、初期レアの頃はキリッとした表情が全然できていませんでした。

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そこから考えると、[パンプキンパーティー]や「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」で見せている表情は、とんでもない進歩です*4

話をモバマスに移すと、2017年5月にはモバマスで[空のおくりもの]が登場。夜空をバックに紫色の綺羅びやかなドレスを身にまとい、大人びた表情を見せてくれました。これも、時系列的には[パンプキンパーティー]の後になります。

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以降、「大人な愛梨」というテーマはモバマスで掘り下げが続いていき、そしてデレステに還って[エレガンス・プラス]として一つの完成形に到達します。

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[パンプキンパーティー]から始まり「Sweet Witches' Night」に至ったデレステと、[空のおくりもの]を経由して[はずむ花の湯]へ進んだモバマス。一見違う歩みを辿っているようにも見えますが、どちらも磨きがかかってきた十時愛梨の表現力がベースにあることは違いありません。

なお、その表現力の進化の裏には、その進化を表現しようとしていらっしゃるCV担当 原田ひとみさんの演技があることも、触れておきたいと思います。詳しくは「ヒトトキトキメキ」の解説記事で触れていますので、そちらをご参照下さい。

 

 

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4-1:「スウィートラヴァーズ」としての側面

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さて、この[パンプキンパーティー]は、[ホワイトウイッチ]三村かな子と同時の登場でした。この二人が「スウィートラヴァーズ」としてユニットを組んでいること、またモバマスでの「アイドルトーク」が発生する組み合わせであることは、ここでも改めて言及しておきたいと思います。

面白い点としては、2人とも特訓前は同じ系統の色使いの衣装だったのが、愛梨はカラフルな魔女、かな子は特訓すると「白い魔女」と、全く違った印象の衣装になります。

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なお、十時愛梨三村かな子のユニット「スウィートラヴァーズ」については、別の稿で詳しく述べていますので、そちらも併せてご覧ください。 

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ちなみに余談ですが、翌年に登場した佐久間まゆが「禁断の黒魔女」でしたから、[ホワイトウィッチ]三村かな子と[トリートオアトリート]佐久間まゆで白と黒の魔女ペアが出来ます。

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もうひとつ面白い点としては、愛梨を含めた3人がそれぞれ「Trick or treat」をもじっていることが挙げられます。かな子は「トリート・アンド・トリート」と発言していますし、まゆはカード名が「トリートオアトリート」、そして愛梨は「Strip or treat」です。

周りにお菓子と癒やしを配るかな子と、Pのために健気に尽くすまゆ*5、そして前述のとおり「Strip」にアイデンティティと独特の想いを込めた愛梨。それぞれの個性がよく出ている点ではないかと思います。

 

 

まとめ:[パンプキンパーティー]の衣装について

ところで衣装に話を戻すと、[アニバーサリープリンセス]と[パンプキンパーティー]の違いといえば、緑色が占める面積が増えたこともポイントです。

この緑、[アニバーサリープリンセス]で愛梨が乗っているゴンドラの色でもあるのですが、初期レアの特訓前で愛梨が着ていた私服と特訓後に着ていた衣装「スウィートシロップ」にも緑色が入っているんですよね。単に衣装のバランスとして緑が入っているのだとも考えられますが、「脱ぐ」や「出番」というワードとともに、初期レアとの繋がりを感じさせる要素になっています。

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冒頭で、[パンプキンパーティー]と[カップオブラブ]は、同じ[アニバーサリープリンセス]の流れを汲んでいると書きました。

カップオブラブ]は愛されるプリンセスとしての十時愛梨だとしたら、[パンプキンパーティー]は人を惑わせて、時に困らせて魅了してしまう十時愛梨です。

一見、[パンプキンパーティー]は、他のゲームで言うところの「オルタ」のようにも見えます。しかし、どちらも同じ衣装から派生している衣装です。

 

これはすなわち、[パンプキンパーティー]がハロウィンの熱に浮かされた十時愛梨なのではなくて、元々の十時愛梨が[カップオブラブ]と[パンプキンパーティー]の両面を持っている、という意味なのかも知れません。

 

十時愛梨というアイドルの幅の広さを知らしめるきっかけになった[パンプキンパーティー]。お迎えした際には是非プロデュースしてみてください。

 

  

おまけ1:契約を迫る十時愛梨

女の子には、たった一度の魔法があるんです、Pさん 

はーい、魔法の契約、ハンコいただきました、Pさん

…一体、何の書類に捺印させたの?!

 

 

おまけ2:ランタンを迫る十時愛梨

愛梨のランタンに灯をくれたのは…Pさんですねっ

Halloween Code」にこんなやりとり無かったっけ…?

*1:余談だが「魔女っ子」という表記では東映登録商標に触れる

*2:実は魔女をイメージしていたんだよ!というスタッフさん、いらっしゃいましたら、ごめんなさい。

*3:もちろん、愛梨が状況を把握した上で敢えてとぼけている、と解することもできる

*4:この「キリッとした表情ができない」様子は、モバマスではぷちデレラのぷちエピソードで、デレステではアイドルコミュで触れられており、両方で出てくるほど重要な要素、なのかもしれない。

*5:もしくは「オア」と言いつつPに選択肢を与えてくれない狂犬時代のまゆとか、(まゆからの)トリートオア(Pからの)トリート、という意味でも解せるかと思う。

【デレステ】十時愛梨はプリンセス。~恒常SSR カップオブラブを見直してみる~

【デレステ】十時愛梨の変わらない「ハート」~エレガンス・プラスを見つめる~f:id:kqnagasawa:20200805235847p:plain

今回は[カップオブラブ]十時愛梨について何点かお話してみようと思います。

デレステには十時愛梨SSRは4種類実装されていますが、[カップオブラブ]は出会いやすい恒常SSR。それを意識してか、オーソドックスな十時愛梨が凝縮されています。

 

 

Introduction:モバマスからの流れを汲んだ衣装

カップオブラブ]の衣装を眺めると、モバマスの衣装の流れを汲んでいることに気づきます。

 

まずベースになっている衣装は、モバマス1周年で開催されたイベントでの上位報酬だった[アニバーサリープリンセス+]。ベースカラーが黄色である点や腰にリボンが付けられている点、ツインテールをくくるリボンも同様のデザインである点など、多くの要素が[カップオブラブ]に受け継がれていることがわかります。

なお、愛梨以降もシンデレラガールが[アニバーサリープリンセス]として周年イベントの上位報酬を務めるのが恒例となっています。すなわち、[アニバーサリープリンセス]はシンデレラガールだけに許された称号であり、「[アニバーサリープリンセス]の衣装をベースにすること」は、「十時愛梨がシンデレラガールであることを表現していること」と、同義だとも言えます。

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しかし、[カップオブラブ]にあって、[アニバーサリープリンセス+]に無いものがあります。それは、頭上に輝くティアラです。ティアラは[シンデレラガール+]で付けていた他に、そこから派生したデザインのダイスDEシンデレラやグランブルーファンタジーでも付けていました。ある意味で、ティアラも十時愛梨にお馴染みのアイテムだとも言えます。

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モバマスデレステ世界線が別なので」というフレーズは、様々な場面で多用されるところではありますが、少なくとも十時愛梨を語る上でモバマスデレステは切り離すことができず、むしろ積極的に紐付けようとする意図が感じられるところもあり、「ひとつの愛梨」として考えていくのが自然だと言えます。 

では、[カップオブラブ]がモバマスとどのように結びついているのか、そしてそれが何を表しているのか、考えてみましょう。

 

1-1:シンデレラガールな愛梨

衣装が[シンデレラガール+]と[アニバーサリープリンセス+]を意識したものであることは先述したとおりですが、ここで十時愛梨が初代シンデレラガールになるまでの道のりを振り返ってみましょう。

 

まず初期レア[十時愛梨]が登場したのは、モバマスがサービスインした2011年11月28日のこと。出会って初っ端に「誰のプロデューサーさんですか?え?アタシ?ええっ?」という迷言を残しつつ、訳もわからずにPに付いていくうちにアイドルのお仕事の楽しさに魅了されて、「とりあえず、トップが目標です!」と宣言するに至りました。

続いて2012年2月に開催されたイベント「バレンタインパーティー」の上位報酬に抜擢され、キッチンでのエプロン姿と、お菓子の家風セットでのパティシエ風衣装姿を披露しました。内緒で作っていたケーキを見せて「自信作なんです!あっ、これヒミツですっ!」と言ったりと、うっかりな一面を覗かせつつ、「Pさん、隠し味に私の特別なハートをどうぞっ!」とか、「トッププロデューサーさん限定あいり、先着おひとり様ですっ!」なんてストレートに愛を伝えてくれたりしてくれました。

 

それで、この次が[シンデレラガール]です。そう、もうシンデレラガールなんです。

 

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偶然、「アイドル」という存在に出会った女の子が瞬く間にトップの座へと駆け上がった様は、まさに「シンデレラストーリー」と呼ぶにふさわしいものでした。

 

冒頭で紹介したティアラについても、ホーム画面で愛梨はこう言っています。

ティアラは、Pさんの手で…。えへ、似合いますか?

 

カップオブラブ] で愛梨の頭上に輝くティアラは、Pが十時愛梨をアイドルとして育て、シンデレラガールへと導いた(そしてメタ的にも、Pが総選挙で愛梨に投票した)、その物語を表しているのです。

 

 

ところが。

 

カップオブラブ]で愛梨は一度も「シンデレラ」とは言っていません。いえ、[カップオブラブ]に無いどころか、実はモバマスの[シンデレラガール]以外のカードでは「シンデレラ」という単語を口にしていないのです。*1

 

その代わり、[カップオブラブ]で繰り返し出てくる単語があります。

それが「プリンセス」です。

 

1-2:プリンセスな愛梨

十時愛梨における「プリンセス」といえば、「アップルパイ・プリンセス」。

 

カップオブラブ]で愛梨が「プリンセス」という単語を繰り返し口にしている以上、このSSRを語る上で、「アップルパイ・プリンセス」は避けて通ることができません。

 

それでは、「アップルパイ・プリンセス」とは何でしょうか。

 

「アップルパイ・プリンセス」は十時愛梨のソロ曲、ですが、十時愛梨にとっての「アップルパイ・プリンセス」はただのソロ曲ではない存在なのです。例えば[プリンセスバニー]では、「毎日プロデュースしてください♪いつでも一緒がいいんだもん♪」というように歌詞が引用されていますし、2017年のホワイトデーでは「思い出いっぱいのアップルパイ」なんて発言もありましたし、2019年のエイプリルフール企画でも「今日のおやつは、アップルパーイ♪」でした。「アップルパイ・プリンセス」が十時愛梨のパブリックイメージをつくる一つの要素になっていて、かつ、愛梨本人も「アップルパイ・プリンセス」という曲を気に入っていることが伺えます。

 

1-3:十二時でも解けない魔法

ところで、「アップルパイ・プリンセス」には「十二時でも解けない魔法」というフレーズがあります。これって、「アップルパイ・プリンセス」(=十時愛梨のアイドルとしての物語)は12時で魔法が解ける「シンデレラ」とは別の物語だということ示しているんですよね。別の言い方をすると、「シンデレラ」だったらプリンセスになって物語は終了だけれども、十時愛梨は「シンデレラガール」になっても、その物語は止まらないということです。

 

そして、「十二時でも解けない魔法」には「君となら そう 私はプリンセス」という一節が続きます。ここで重要なのは「君となら」という部分です。

例えば、初期レアの親愛度MAX演出は、こうでした。

Pさん、あのプロデューサーと一緒に居れば
トップアイドルになれると思うんですけど、
ずっと一緒に居てもいいですか?

 

以降も、[シンデレラガール]では「やっぱり私はPさんがプロデュースしてくれなきゃ、ダメみたいですっ!」、[アニバーサリープリンセス]では「どんなに時間が経っても、十時愛梨はプロデューサーさんだけですっ」とあることからも、愛梨はシンデレラガール=プリンセスになった後の物語も、Pと一緒に紡いでいきたいという思いを抱いていることがわかります。

カップオブラブ]でも親愛度MAXコミュや特訓エピソードで同様の発言をしています。

まだ考え中のお話なので、この先は、
私とプロデューサーさん、ふたりで♪

童話は、お姫様になったところでハッピーエンドかもしれません。
でもアイドル愛梨とPさんのお話は、ここからが本番ですよね♪
まだまだ、もっともっと!

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そして、「君となら」というフレーズが指しているのは、Pだけではありません。十時愛梨を応援してくれるファンからの愛も、愛梨をプリンセスにしてくれるのです。

愛情をいっぱい注いでもらうこと!
それが全部、愛梨の中で、気品やキラキラに変わって、
プリンセスみたくなれるんですっ☆

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Pとファンからたくさんの愛を受けて、煌めくプリンセス。

それが、アイドル・十時愛梨なのです。

 

 

なお、「アップルパイ・プリンセス」の他の歌詞についても、十時愛梨を理解する上で興味深い箇所が多々あります。[カップオブラブ]を読み解く上で優先順位は下がるため今回は言及しませんが、別の項で扱っていますので併せてご覧ください。

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1-4:けれども、ドレスは脱ぎ捨てる

 ですが、[カップオブラブ]で愛梨は気になる発言をしています。

プリンセスは、ドレスを1枚1枚脱ぎながら、ステキになっていくんです!

 

みんなから愛情を注いでもらって輝くプリンセス、というテーマからすると、そのドレスを「脱ぐ」というのは、一見矛盾した要素に見えます。

 

ここでヒントとして、他の場面から2つの発言を引用します。

Pさんが着せてくれた星空のドレスは…脱ぎませんよ

([空のおくりもの])

みんなと一緒に水着になるなんて、なんだか学校みたいですねぇ♪

もしスクール水着でも、
Pさんが着せてくれるなら、私の一番になりますけどねっ♪

(「海の家アイプロ」)

前者での「ドレス」は、お仕事で着ているドレスそのものを指しているとも解せますし、もしくは「Pが持ってきてくれた仕事」とか「アイドル」を指して「これからも、アイドルを続けていきますよ」という意味と解釈することも可能です。*2

そして後者からは、十時愛梨の仕事や衣装というものへの考えが垣間見えます。Pが愛梨を想って選んだものなら喜んで受け入れる、というもので、その裏にはPへの厚い信頼も伺えます。また、愛梨の側には、衣装のディレクションに対する何か強い拘りがある訳ではなく、「かたち」にこだわらないスタンスも感じられます。

 

さらにもうひとつ、「海の家アイプロ」から。

ここなら誰もいませんから、人目を気にせずに
ダイタンなポーズだってできちゃいそうですっ

いろんな愛梨の姿を、ファンの人が見て、喜んでくれたら…
アイドルとして、それが一番ですねっ

(「海の家アイプロ」)

ここではグラビアのポーズが話題になっていますが、いろいろな姿を見て欲しい、という思いや、どんな形式のお仕事であってもファンに喜んでもらいたい、という愛梨の思いが伝わってきます。

 

つまり、「ドレスを1枚1枚脱ぎながら」というのは、Pやファンに注いでもらった愛情は大切にしつつ、でも一つの形に拘るのではなく色々な姿を見せていくことが、十時愛梨のアイドルとしての進む道なのだ、ということではないでしょうか。

実際に、愛梨はその後、ツインテールを解いた[エレガンス・プラス]、メイド服を纏った[プライベート・メイド]と、[カップオブラブ]のドレスを脱ぐことで、[カップオブラブ]とは別の一面を魅せてくれています。 

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2-1:キッチンに立った十時愛梨

さて、ここまでは特訓後にフォーカスを当ててきましたが、特訓前について言及していきたいと思います。

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場所はキッチン。完成したカップケーキをこちらに見せてくれる、という場面です。

十時愛梨がキッチンに立つ場面、といえば[スイートバレンタイン]ですよね。

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[スイートバレンタイン]は、先述したとおり、モバマスでは[シンデレラガール]の一つ手前のカードです。言い換えれば、十時愛梨はバレンタインでエプロン姿を見せた5ヶ月後に、シンデレラガールの座を射止めたわけです。

つまり、特訓前でキッチンに立ち、特訓後でプリンセスになるカップオブラブ]の十時愛梨は、バレンタインにキッチンに立ってから、そのまま一気にシンデレラへの階段を駆け上がった2012年の十時愛梨の再演だとも言えます。

 

2-2:ケーキは完成品で

ところで、「完成したカップケーキをこちらに見せてくれる」と書きましたが、この点についても触れておきたいと思います。

実は、先に引き合いに出した[スイートバレンタイン]を含めて、愛梨がケーキを作っている途中の場面は、これまで描かれたことがありません。ケーキを作ってきてくれたことは多々あるのですが、いずれも完成した状態で持ってきています。

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そして、更に言えば、愛梨は練習風景やレッスン風景といったところも描かれる機会が少ないのです。これが、その後の[エレガンス・プラス]にも影響するのですが、詳細は別の稿で扱っていますので、そちらをご参照下さい。

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2-3:キッチンで語る「家族」への思い

カップオブラブ]の特訓エピソードでは、「ゆくゆくはお嫁さんになりたい」という想いが語られます。そして、子どもたちに語り聞かせられるような、キラキラした物語をアイドルとして紡いでいきたい、とも話しています。

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家庭へのあこがれが、何となくPを向いているような気が、するような。

じつはー…Pさん好みの甘さになってます♪

いつか私のキッチン衣装も…Pさんに決めてほしいな

もっと聞かせてください。Pさんの理想の家庭…

 

ところで、愛梨が「家族をとても大切にしている」というのは、過去にも何度か言及されていました。例えばCD「アップルパイ・プリンセス」の付録の「目指せ!シンデレラNo.1」では、休日に故郷の秋田に帰って、お父さんに誕生日ケーキを作ってあげた話が語られていましたし、デレステの「十時愛梨のウワサ2」では両親の結婚記念日にケーキを作っていることも明らかにされています。

 

なぜ愛梨は家族を大切にしているのか、といえば、それは愛梨が家族からたくさんの愛情を受けて育ったからだと思います。そして、それはアイドルとしての十時愛梨と、Pやファンとの関係とも同じです。[カップオブラブ]は、家族に愛されて育ち、家族を愛してやまない一人の女の子としての十時愛梨を特訓前で描き、ファンに愛されて、ファンを愛するアイドルとしての十時愛梨を特訓後で描いている、というわけです。

 

つまり、[カップオブラブ]のテーマは「愛」です。

 

 

3-1:十時愛梨は「シンデレラ」なのか

さて、十時愛梨の初期の歩みが「シンデレラストーリー」だったことは、先述のとおりですが、ところで「シンデレラ」って、何でしょうか。

綴りは「Cinderella」。「Cinder」は炭を燃やしたときに出てくる灰のことで、日本語では「灰かぶり姫」と訳されています。ヨーロッパでは古くから知られていた物語で、様々な書き手によって書籍化されており、シャルル・ペローの「サンドリヨン」やグリム兄弟の「アシェンプテル」など、さまざまなバリエーションが知られています。*3

 

そう、バリエーションがある、つまり、「シンデレラ」は、細部はおろか結論さえも書き手によって異なるのです。ですが、大筋では以下のような物語だとされています。

・実の母ではない継母にいじめられ、灰を被りながら苦労を重ねてきた

・ある日、舞踏会に出る機会を得る

・王子に見初められるが、事情があって帰ることになる

・帰りに落とした靴を手がかりに、後日、王子と再会する

 

概ね、シンデレラは継母にいじめられるところから物語が始まります。

しかし、十時家は先述の通り円満でしたよね。

 

もしくは、「苦労」という部分に注目してみても、十時愛梨は「悩みとかなさそうって、お友達にもよく言われて」いるわけで、その面でも童話「シンデレラ」とは遠い存在のように思えます。

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3-2:ペロー版「シンデレラ」と十時愛梨

バリエーションが多数ある「シンデレラ」のうち、「ガラスの靴」や「かぼちゃの馬車」というモチーフが登場し、「シンデレラ」のパブリックイメージに近いと言われるのがペローが書いた「サンドリヨン」です。実は、このペローが書いた「サンドリオン」にはペロー本人による「教訓」が書き添えられています。*4

その「教訓」によれば、「シンデレラ」の主題は「才能をいかす、名付け親の代父や代母」の存在、つまり、シンデレラ本人の行動や性格がテーマなのではなく、シンデレラを取り巻く環境が教訓だと言うのです。(※「サンドリヨン」においては、「名付けの親の代母」(洗礼に立ち会う教母)がサンドリヨンに魔法を掛けている)

 

思い返してみれば、サンドリヨンに与えられたものは、ドレスや馬車、つまり「舞踏会に参加するためのチャンス」だけで、その先で王子様と出会ったことや、もしくは王子様に気に入られたことは、魔法の直接の影響ではありませんでした。サンドリヨンは才能自体を与えられた訳ではないんですね。でも、元々持っていた、容姿や性格の美しさが代母によって引き出されたことで、サンドリヨンは輝けたのです。逆に言えば、それほどの才能を持っていても、舞踏会に行くことが出来なければ、サンドリヨンは一生灰を被ったままだった、というわけです。ペローが指摘している点は、まさにこの部分で、「才能を活かすチャンスが与えれる重要性」が主題なのです。

そして、その目線で語れば、十時愛梨も「サンドリヨン」に通ずる部分があることに気づきます。十時愛梨は家族に愛されて育ち、そして、勝手にオーディションに応募した友人がいたからこそPと出会った、という点で、家族や友人という存在は、ペローが言及していた「才能をいかす、名付け親の代父や代母」の存在とイコールなのです。

 

十時愛梨を語る上で、家族や友人といった、身近な人たちから受けている愛というのも欠かせない要素です。「逆境」という要素がなくても、十時愛梨は確かに「サンドリヨン」でペローが語った教訓を体現する存在なのです。

 

 

まとめ:2つの「カップ

ところで、このSSRの名前である[カップオブラブ]の「カップ」とは何でしょうか。

特訓前の愛梨が差し出してくれているカップケーキ」。これは間違いなく「カップ」です。

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でも、特訓後はカップケーキ持ってないですよね。

と、すると。「カップケーキではないカップ」があるんじゃないでしょうか。

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そう、十時愛梨にとっての「カップ」といえば、コレ。

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優勝者に贈られる「杯」も「カップですよね。

 

奇しくも歴代8人のシンデレラガールのうち、モバマスの[シンデレラガール]で「カップ」を手にしているのは十時愛梨が唯一です。言い換えると、「カップ」という単語が、シンデレラガールという栄冠と結びつくのも、十時愛梨が唯一だということです。

そのカップに注がれるのは、愛。だからカップオブラブ、なんじゃないでしょうか。

 

 

キッチンで愛情たっぷりのカップケーキを差し出す女の子、ライブで沢山の声援と愛を受けるシンデレラガール。その両方が、十時愛梨なんだと説明してくれているのが[カップオブラブ]と言えるでしょう。

丁寧に組み立てられた「スタンダードな十時愛梨」。十時愛梨の入門編として、まだ所属していないPさんは次回のスカウトチケットの候補にして頂けると幸いです。また、もうお迎えされている方は改めて向き合って頂くきっかけになれば嬉しいです。

 

 

 

おまけ1:客席のペンライト

こちらの画像を見比べてください。

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なにか気づきませんか?

 

そう、客席側のペンライトの色が、パッションカラー一色から、ピンクが入り混じるようになったんです。

モバマスではグラビアの仕事が多かったり、客席側の様子がわかりにくかったりしていたので、はっきりと十時愛梨のライブ中の客席側にピンクのペンライトが確認できたのは今回が初めて、と言っていいと思います*5

 

このピンクこそ、十時愛梨の個人ペンラの色なんですよね。5thで販売されたペンライトはこちら。この通り、濃いピンク色をしています。

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余談ですが、私は5th SSA Day1を現地参戦したのですが、ぱっと見パッションオレンジの割合が多くて、ピンクのペンライトは少なかったような記憶があります。愛梨はアップルカラーを振るんだよ、ということを周知していきたいなぁ、と担当として思っている今日このごろです。

 

なお、十時愛梨役の原田ひとみさんは元々3rd出演予定だったのですが、残念ながら転倒による不慮の怪我のために出演キャンセルになったので、実際にプロデューサーが手にできたペンライトは、現時点ではこの5thのものが唯一のものになっています。ちなみに、3rdのときに予定されていたデザインはこちら(の右から3つ目)。この時もちゃんとピンクだったことがわかります*6

ãå¬å¼ã³ã³ãµã¼ãã©ã¤ã 9è²ã»ãã (3rdLIVE Ver.) @MAKUHARI 1128ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

ちなみに5thペンラを「実際にプロデューサーが手にできたペンライト」と表現しましたが、その半年前、バーチャルなものとしては2017年1月にVIEWING REVOLUTIONに追加された仮想ペンライトがDLCとして販売されています。こちらもちゃんとピンクでした。

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というわけで、今後のライブでは、ぜひ十時愛梨にはピンクを振ってください。

 

おまけ2:舞うハートの紙吹雪 

特訓後のステージでは金色のハート型の紙吹雪が舞っています。

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実は色違いのものが[スウィートトゥスウィート]の特訓後でも使われています。

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ちなみに衣装も胴回りの意匠も[スウィートトゥスウィート]と近いことがわかります。

 

おまけ3:実は意外な組み合わせ

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モバマスに比べてデレステは横に画面が伸びたので、他の子が映り込みやすくなっていますが、今回は三村かな子諸星きらりが登場しました*7

 

実はこの組み合わせ、なかなかユニークなんです。

十時愛梨三村かな子は「スウィートラヴァーズ」というユニットを組んでおり、デレステでもかな子のストーリーコミュに愛梨が登場しています。一方、三村かな子諸星きらり双葉杏のストーリーコミュで共演しています。

しかし、十時愛梨諸星きらりの絡みはゲーム内では皆無に等しく、[カップオブラブ]を除けばアニメの「とときら学園」が目立つ程度です。あとはルームで「とときら」と言っていることくらいでしょうか。

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*1:例えば1stアニバアイプロで「 こんな私をシンデレラにしてくれたPさんはきっと王子様かも♪」というのがあったりする程度

*2:この発言は親愛度MAX演出の中での一幕で、最終的に「Pさんがくれる、キラキラした幸せも一緒に…私の宝物ですっ♪」と続く。「ドレス」を「アイドル」の比喩だと解しても、Pからもらった幸せが宝物、と続くので大きな矛盾は生じない訳である

*3:https://wonder-club.jp/posts/56735

*4:http://dream.navi.ryukyu/cinderella/

*5:[アニバーサリープリンセスもピンクの光に包まれていますが、これが十時愛梨個人に対して振られたペンライトの色だとは気付きにくい]

*6:以前Twitterカップオブラブが初出なのでは、と書きましたが、今回3rdのペンラの画像を見つけたので訂正

*7:余談ですが、二人とも私の担当なので、とくにユニットでもない担当の子たちが1枚のSSRに揃うというミラクルが起きています。

Memo 2019-10-22 一度書いた解説ブログを書き直す話

大変な、難工事。

 

弊ブログでは今年の春前に[エレガンス・プラス]の解説を書いたのですが、これが1万字超えと中々のボリュームになりまして、それはそれでいいんですが、前々から書いていた3つの解説記事との分量のバランスが悪くなったんですね。

ので、先月くらいから過去の記事の加筆を試みているんですが、これが案外難しい、という話をします。

 

■被りなく十時愛梨を表現した4つのSSR

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十時愛梨には、SSRが4種類あります。

4種類、という点でもありがたいのですが、更にコレが、それぞれ重複なく十時愛梨の別々の魅力を描き切っている点は特筆されるところです。

 

まず、ベースになるのが恒常SSRの[カップオブラブ]。「アップルパイ・プリンセス」というパブリックイメージを具現化した可愛らしい衣装で、「愛されるアイドル」といった雰囲気に仕上がっています。

 

これに対になるのが、もうひとつの恒常SSRの[エレガンス・プラス]で、最近のモバマスでの十時愛梨の動向も反映した、落ち着いた装いです。[カップオブラブ]が「生まれながらのプリンセス」とするなら、[エレガンス・プラス]は「進化したプリンセス」と言うべき存在です。

 

別方向で[カップオブラブ]と対になるのが、フェス限の「プライベート・メイド」で、4度目のメイド服を身に纏って「人を愛し、尽くすメイド」となっています。「愛されるプリンセス」と「愛情たっぷりのメイド」という2つのテーマで、十時愛梨が、愛されるだけでもなく、愛するだけでもない、両者を兼ね備えたアイドルであることを示していると言えます。

 

ファンに愛され、ファンを愛し、進化を止めないアイドル。

でも、それだけが十時愛梨じゃ、ないんです。

 

第4の側面というべき[パンプキンパーティー]。いたずらっ子で、人を惑わす「魔女」として降り立ったその姿は、時にわがままで、時に天然なのか計算なのかわからない言動で人の心を掴んで離さない、天性の魅力に包まれた十時愛梨を表しているといえます。

 

■密接に繋がっている[パンプキンパーティー]と[カップオブラブ]

と、4つのSSRが持つ意味合いを述べてきましたが、問題は[カップオブラブ]と[パンプキンパーティー]です。実はこの2つの衣装、どちらもモバマスの[アニバーサリープリンセス]の流れを汲んでいます。

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全体的なベースカラーとリボンの意匠は[カップオブラブ]へ、そして頭につけているハットなどは[パンプキンパーティー]へと受け継がれています。

なので、[カップオブラブ]と[パンプキンパーティー]で語るべき内容は、うまく棲み分けをしてやる必要がありそうなんですが…ここで、けっこう時間を喰っています。

 

■[パンプキンパーティー]の源流を求めて

もうひとつ悩ましいのが、[パンプキンパーティー]の立ち位置が独特だという点。

 

ほかの3つのSSRには、土台になる話題がいくつもあり、[カップオブラブ]は[アニバーサリープリンセス]や「アップルパイ・プリンセス」、[プライベート・メイド]は[ふわふわメイド]と「海の家アイプロ」、[エレガンス・プラス]は[空のおくりもの]以降…と、言った話題を引き合いに出せるのですが、[パンプキンパーティー]は、どこからやってきたか、説明が難しいなと感じています。強いて言うならば[プリンセス・バニー]とか…

 

 

というわけで、時間がかかってますが、ブログを書こうとしてます。