think Airi project

十時愛梨を考えるブログ。




さあ、今日から始めよう。Think Airi.

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 プリンセスな女の子がいる
彼女の笑みに心をうたれる人がいる
可愛いと言う人も あざといと言う人も 天然だと言う人もいる
しかし 彼女を無視することは誰もできない

彼女はパッションだと言われるが 私たちは天使だと思う
世界すべてに心から感謝し本気で愛する人こそが
本当に世界に愛されるのだから

Think Airi.
さぁ、十時愛梨を考えよう



このブログは十時愛梨について考察・解説するブログです。

 

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■COIの開示

・このブログに関して、資金の提供などは受けていませんが、モバマスデレステにそこそこ課金しています

・著者は十時愛梨のほか、三村かな子諸星きらりの担当を兼務しています

【デレステ】十時愛梨の夏と海 ~新・限定SSR スロウ・サマー・ヘヴン考察~

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いやぁ、夏ですね。

デレステの2020年7月末限定SSR [スロウ・サマー・ヘヴン]を考察します。

 

今回の愛梨は、夏らしく軽快でポップな色合いの衣装で登場しました。

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前回のSSRである[エレガンス・プラス]と比べてみると、その雰囲気の違いは一目瞭然です。

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そんな今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]で印象的なのは、ヒトデの形をした髪飾り。実は[スロウ・サマー・ヘヴン]の舞台である「海」と十時愛梨を語る上で、ヒトデは欠かせない要素です。例えば[夏のお届け]+では愛梨の目の前にヒトデがいましたし、[ホーリーリゾートナイト]では、愛梨は今回と同じくヒトデ型の髪飾りを付けていました。

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それでは、今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]には真新しい要素が無いのかと言えば…そうでもありません。ずっと応援していた人にとっては懐かしい要素を散りばめつつ、新しい出会いがあるのが十時愛梨の面白いところです。

 

この記事が、愛梨をずっと担当していた方はもちろん、今回始めて愛梨のSSRをお迎えした、という方にも愛梨を好きになってもらうきっかけになれば嬉しいです。

 

 

1-1:十時愛梨の海、全部入り

先述の通り、今回愛梨がつけている髪飾りは[ホーリーリゾートナイト]と同じくヒトデの形をしています。

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実はこの髪飾り、デレステの[ホーリーリゾートナイト]では次のように語られています。

ヒトデの髪飾りはお土産で買ったんです。
あの景色を忘れないように…♪
([スロウ・サマー・ヘヴン] ルームコメント)

[ホーリーリゾートナイト]の特訓前は、「寒くないクリスマスがいい」と言う愛梨のワガママにPが応えて、愛梨をプライベートで南半球のビーチの温かいクリスマスに連れて行ってあげる、という場面でした。

その景色を忘れないように、と買った髪飾りを付けている、というのは、すなわち、[スロウ・サマー・ヘヴン]の愛梨は、Pと一緒に見た南半球のクリスマスのビーチの思い出と一緒にステージに立っている、ということになります。*1

 

また腰の部分のリボンには[ホーリーリゾートナイト]の時に着ていたワンピースと同じく、貝殻とヒトデの模様が入っています。

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さて、十時愛梨と海と言えば、忘れてはいけないのがモバマスで2015年に開催されたイベント「海の家アイプロ」と、そのときに実装された[夏のお届け]です。この[夏のお届け]で愛梨が着ていた衣装の色使い(ピンク、イエロー、ターコイズ)が、[スロウ・サマー・ヘヴン]の衣装に取り入れられています。

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また、[スロウ・サマー・ヘヴン]の衣装をよく見ると、向かって左側の肩紐がズレています。愛梨にとって肩紐がズレるのこと自体はよくある光景ですが、左右どちらがズレやすいか、というのは特に決まりが無いようです。そんな中、奇しくも[夏のお届け]は[スロウ・サマー・ヘヴン]と同じく左側がズレています。

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さらに細かいところでは[スロウ・サマー・ヘヴン]で付けているイヤリングはハート型ですが、これは[カップオブラブ]のものと色違いであるのと同時に、[夏のお届け]+の流れを組んだ意匠だとも言えます。

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さらに言えば、正面向かって左側につけている二本のヘアピン。実は愛梨がこの位置にヘアピンを付けたのは[プライベート・メイド]だけです。

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そして、[プライベート・メイド]で愛梨の背後にあったのは…イタリアの海です。そう、これも海の思い出なのです。

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ヒトデの形の髪飾り、ポップな3色の衣装、そしてヘアピン。[スロウ・サマー・ヘヴン]の衣装には、十時愛梨がPと訪れた海の記憶が全部詰まっているのです。

 

1-2:おなじみの表情にアレンジを

さて、前回のSSRである[エレガンス・プラス]は、髪型を含めた雰囲気がガラリと変わり、実装時に話題になりました。一方、今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]は、ツインテールであり、また前述のように過去の衣装の要素を取り込んでいます。このように見比べると[スロウ・サマー・ヘヴン]は、一見、見慣れた愛梨のように見えます。

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しかし、髪型をしっかり見てみると、編み込みでアレンジが入っていることがわかります。

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そのため、通常のツインテールに比べて位置が下がり、[スロウ・サマー・ヘヴン]では、幾分落ち着いた雰囲気に見えるようになっています。実はデレステの3Dモデルとして、愛梨のツインテールにアレンジが入るのはこれが初めてです。*2

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このため、衣装がポップなデザインなので明るい曲にも合う一方で、ローツインテールの落ち着きからバラードなど幅広い曲に合うSSRになっています。

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さて、ツインテールにアレンジが入るのは、デレステの3Dモデルとしては初めて、と書きましたが、モバマスでの愛梨のツインテールは、その巻き方によって様々なアレンジが入っています。

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ですので、ツインテールをアレンジすること自体は愛梨にとってはいつも通り。ただ編み込みを入れるのは初めて、ということになります。そして、アレンジをすることで表情が変わって見えるのが、十時愛梨の奥深さと言えるかもしれません。

 

さてここまでは衣装を中心に話を進めてきました。次に特訓前と特訓後の、その場所について考えてみたいと思います。

 

 

2-1:今回の舞台は「海の家」

まず特訓前。「氷」の旗が揺れる典型的な「海の家」です。

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そして特訓後。ぱっと見ではわかりにくいですが、少し右側に視線を振ってやると「AIRI BEACH HOUSE」の文字が見えます。オシャレな最新の海の家、ということですね。

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さて、十時愛梨にとって海の家といえば、先にも触れたモバマスの「海の家アイプロ」です。同じロケーションということもあって、「海の家アイプロ」を知っていると[スロウ・サマー・ヘヴン]での愛梨の発言をより深く理解できるかもしれません。順を追って見ていきましょう。

 

 

2-2:十時愛梨の「約束の海」

十時愛梨にとっての海。それは約束の地です。

 

話の発端は「海の家アイプロ」。愛梨がPに対して一緒に泳ぎましょう、と誘ってくる場面がありました。結局そのときはPは泳がず、愛梨は「次は約束ですよっ♪」と言っていました。

ほら!Pさんも、水着になりませんか?
ほらほら、脱いじゃいましょうっ♪
(「海の家アイプロ」)

Pさんと一緒に泳ぎたいです♪
今日はダメなら…次は約束ですよっ♪

(「海の家アイプロ」)

 

そして、一緒に泳ぐという約束を叶えたのが、デレステの[プライベートメイド]でした。撮影のためにイタリアを訪れた際に、Pが自由時間を作ってプライベートビーチに愛梨を連れて行ってあげる、という場面です。そして、さらにPは愛梨との約束を守って水着になっています

えへへ、のんびりする時間をくれてありがとうございます♪
プロデューサーさんもお仕事までは自由時間なんですから、
私とのんびりイタリア気分、しましょうねっ♪
([プライベート・メイド] アイドルコメント)

わぁ~、Pさんの水着姿、すごく似合ってますよっ♪
([プライベート・メイド] ホームコメント)

 

そうやって、Pとの思い出を積み重ねてきたのが、十時愛梨にとっての海なのです。

 

そして今回も「約束」という単語が出てきます。

私に会いに、ぜひ海へ来てくださいね?
愛梨との約束ですよっ
([スロウ・サマー・ヘヴン] ホームコメント)

十時愛梨の今回の「約束」が、今後どのようになっていくのか。ぜひ注目して頂けると嬉しいです。

 

2-3:愛梨の「海の家」への憧れ

また別の前提として、十時愛梨にとっての海の家は「憧れの場所」でもあるという点に触れておきたいと思います。

海の家のバイトって憧れますよね。
みんないつも笑顔で爽やかだし
([スロウ・サマー・ヘヴン] ルームコメント)

 

海の家のバイトに憧れる理由ですが、上記のように笑顔で爽やかという面も納得できます。加えて、[夏のお届け]の思い出エピソードでは別の切り口で愛梨の憧れが語られていました。身近なようで遠い世界としての憧れ、といった感じでしょうか。

 

私、そういうことしようとすると、
いっつも周りのお友達に、
「愛梨ちゃんは座っているだけでいいから」
って言われて~。
([夏のお届け] 思い出エピソード)

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そんな海の家でのお仕事が、[スロウ・サマー・ヘヴン]の特訓後なのです。

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2-4:愛梨の「はじける夏」

ところで[夏のお届け]と[スロウ・サマー・ヘヴン]を見比べてみましょう。先述のとおり衣装のカラーリングが受け継がれているほか、トレイの上に乗っているコーラフロートはジョッキに入っていてレモンが刺さっていて、さらにストローの色まで同じ。さらに目を凝らすと、コーラも勢い余って少しこぼれていて、[夏のお届け]のコーラフロートが忠実に再現されていることがわかります。このように、[スロウ・サマー・ヘヴン]を語るには[夏のお届け]を知っておくと理解が深まりそうです。

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さて、[夏のお届け]での愛梨は、こんなコメントをしていました。

は~いっ、海の家へ、ようこそ~♪
看板娘の十時愛梨が、夏の楽しみ方をみんなに
教えてあげますね~っ♪
コーラやラムネで、いっしょにカンパイしましょう~♪
([夏のお届け] アイドルコメント)

 

この[夏のお届け]での愛梨の面白いところは、単に看板娘を務めるだけでなく、海の家を訪れる人に「夏の楽しみ方」を教える、という構図となっている点です。そしてもう一つは「いっしょにカンパイ」というように、夏を一緒に楽しもうというスタンスを取っている点です。

そして、実はこのスタンスが[スロウ・サマー・ヘヴン]にも引き継がれていることが、発言の端々に現れています。特に特訓エピソードでは「夏の楽しみ方を提案」というキーワードが出てきています。

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ただし、今回は海の家で実際の売り子をしているわけではなく、以下の愛梨の発言から、ビーチハウスを貸し切ってのMV撮影だということがわかります。ちなみに曲調は割とダンサブルなようです。

このMVを通じて、
夏の爽やかな楽しさが伝わりますようにっ!

([スロウ・サマー・ヘヴン]+ ホームコメント)
 

海の家のスタッフさんみたいに、
明るく元気に踊りますね!

([スロウ・サマー・ヘヴン]+ ホームコメント)

 

さて、ホームコメントに目を向けると、こちらでは「看板娘」という単語も出てきます。こちらも[夏のお届け]で出てきた単語ですよね。

みんなのことを一番にお出迎えしますねっ。
私は看板娘ですから♪
([スロウ・サマー・ヘヴン]+ ホームコメント)

 

ところで、ここでふと、ひとつの疑問が湧いてきます。

十時愛梨SSR衣装には「メイド服」があります。その他の機会も含めると、愛梨はトータルで4回、メイド服を着ています。それだけ演じ慣れた「メイド」と、愛梨が言う「看板娘」の違いは何でしょうか?

 

その答えの手がかりは、次の発言にあるのかもしれません。

見た人にも一緒に踊ってみてほしいな。
夏を、一緒に楽しむ感じで♪
([スロウ・サマー・ヘヴン]+ ホームコメント)

 

さきほどご紹介した[夏のお届け]のアイドルコメントでも、「いっしょにカンパイ」というフレーズがありましたよね。十時愛梨は、[夏のお届け]でも[スロウ・サマー・ヘヴン]でも、海の家の売り子を務めているときは「一緒に楽しむ」ということを大切にしていることがわかります。

一方、愛梨がメイドを演じているときは、親愛度演出にも現れているように「誰かのために尽くす」という姿勢をとっています。愛梨の中ではメイドと海の家の売り子は、似て非なるもののようです。

誰かのために何かをするって、幸せな気持ちになれるんです。
それが、メイドさんと私の共通点かもしれません。
ファンのみんなの笑顔を見られたから、今日も幸せですっ♪
([プライベート・メイド]+ 親愛度演出)

 

ちなみに、特訓後のシチュエーションは「MV撮影の場面」である、と書きました。実際の海の家の売り子でもなく、グラビア撮影でもない、MV撮影というシチュエーションに何か意味があるとするならば、それは一緒に踊ってみてほしい」という言葉に込められているように思います。

「海の家アイプロ」でも、お店に来てもらうとか、グラビアを見てもらうという形でファンに接してもらった愛梨でしたが、夏の愛梨は「一緒に楽しむ」というスタンスだからこそ、更に踏み込んできて欲しい。だから今回のお仕事はMV撮影で、愛梨は一緒に踊ろう、と言っているのかもしれません。

 

このように、[スロウ・サマー・ヘヴン]の特訓後は、「海の家アイプロ」と同じく、ファンと一緒に夏を楽しむ、というスタンスを貫いていることがわかります。

 

続いては、今回の最大の注目ポイントである、特訓前について考えていきたいと思います。

 

 

3-1:愛梨が感じる、海の家の「気だるさ」

今回のSSRは[スロウ・サマー・ヘヴン]という名前の通り、「スロウ」がキーワードになっています。ゆったりと落ち着いた時間の流れ、アンニュイな雰囲気は「シンデレラガールズ劇場わいど」にも反映されています。

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愛梨が頭をぶつけた音、かき氷をスプーンですくう音、遠くから聞こえてくる波の音とビーチで遊ぶ人たちの歓声…

3ページの間に出てくる文字のほとんどが環境音で、愛梨が発した言葉は「いいですよね…この気だるさ…」という一言だけです。文字量が少ないことで、海の家の中のスロウな時間の流れが上手く表現されているな、と思います。

また、ビーチで遊ぶ人たちが遠景として描かれていることで、「日陰の海の家の中」が「賑やかなビーチ」とは別の時間が流れているような、別の世界にあるような、そういった雰囲気が伝わってきます。このことは特訓エピソードの冒頭でも、愛梨が「外がまるで別世界」というように表現しています。

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ところで、十時愛梨が海の家でアンニュイな表情を浮かべていることに対して、意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに、十時愛梨の属性はパッションですし、デレステのルーム画面でも「元気いっぱいですっ!LIVEとかしてみたいかもっ♪」と言っていますし、愛梨のパブリックイメージも特訓後のほうが近いかもしれません。

 

ですが、愛梨は過去にも海の家のことを「気だるい」と表現していたことがあります。それが「海の家アイプロ」で登場した[ビーチガール]です。

海の家ってイイですよね。
楽しくて、ちょっと気だるくて、幸せで!
([ビーチガール] お仕事)

この表現の面白いところは、海の家のことを「ちょっと気だるい」と表現した上で 、それもひっくるめて「幸せ」と言い切っている点にあるのかな、と思います。

実は上記の発言は、[ビーチガール]の愛梨の発言の中でも一つだけ趣が異なっていて、他の発言との繋がりも無かったので、少し理解が難しい部分でもあったのですが、今回の「シンデレラガールズ劇場わいど」などを見れば、この[ビーチガール]の発言も手にとるようにわかるのではないでしょうか。

 

そして、この[ビーチガール]で見せた言葉遣いのセンスは[スロウ・サマー・ヘヴン]でも発揮されています。例えば以下のような場面。

楽園って、こんな景色なのかなぁ?
鮮やかで、少しだけ他人事みたいで…
([スロウ・サマー・ヘヴン] ホームコメント)

 「楽園」という単語を聞いて「鮮やか」というイメージを持つ人は多いでしょう。でもそこに「他人事」という言葉を結びつけてくるセンスは、なかなか独特ではないかなと思います。

 

ほかにも、なんだか情緒的な雰囲気になっているのが、今回の特訓前の愛梨です。

暑いですよ~。
けど…熱がさめちゃうの、
ちょっともったいないかなって
([スロウ・サマー・ヘヴン] ホームコメント)

Pさんと、このままずーっと
夏の気分でいたいなぁ
([スロウ・サマー・ヘヴン] ホームコメント)

 

「暑いですよ~」という発言は、当然、「暑くないの?」と聞かれての返答でしょう。普段の愛梨であれば、こちらから聞くまでもなく「暑いですね」というところですよね。そして更に、いつもの愛梨であれば服を脱ぐ流れですよね。ですが、今回の愛梨は「熱がさめちゃうの、ちょっともったいないかな」と言って上着を脱がないで夏の情緒を味わっている、というところが、この発言の面白いところです。

このあたりの流れからも、情緒や侘び寂びのようなものを大切にしているところが、十時愛梨の隠れた一面であり、そこにスポットが当たったのが[スロウ・サマー・ヘヴン]の画期的な点だと言えます。*3

 

3-2:愛梨にとっての「楽園」とは

さて、愛梨にとっての海の家が(プラスのイメージを伴った)「気だるい」ものであることは、ここまで述べてきたとおりですが、更にユニークなのは「気だるさ」を「海の家の良さ」として認識している点です。特訓エピソードでも、「昔から海の家が好き」「ここから遊んでる人たちを見るのが」という発言が出てきています。

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この特訓エピソードで愛梨本人が言っている通り、幸せそうにしている人を見つめるだけで幸せ、というのが、十時愛梨という人間の根底にあるのかもしれません。そして、その人達を幸せにしたのが自分だったらもっといい、という考え方が、ファン想いなアイドル・十時愛梨の原動力のような気もします。

 

さて、ホームコメントで愛梨の発言に「楽園って、こんな景色なのかなぁ?」というものがある、と先ほどご紹介した際に「少しだけ他人事」という単語が続くと述べました。でも、気だるい海の家のように、少し遠巻きに幸せそうにしている人を眺めるだけでも愛梨は幸せを感じられるわけですから、それも愛梨にとっての楽園なのだろうな、と思います。

 

3-3:海の家とLIVEの共通点

ちなみに、特訓前の親愛度MAX演出ではもう一つ興味深い発言があります。「海の家って、なんだかLIVEの後に似てますよね」と言うのですが、その理由は、太陽が照り輝くビーチから海の家の日陰に入る様子に、ライブを終えてスポットライトとペンライトが眩しいステージから舞台袖に入る様子を重ねている、というもの。

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そして、この発言の良いところは、舞台袖に入った愛梨が、ライブ後の客席からの歓声や熱気を感じながら余韻に浸っている様子も浮かんでくるという点かな、と思います。

 

このブログで何度か取り上げて来ましたが、十時愛梨はファンに対して最高の自分を届けて、そしてファンからのレスポンスを受け取ることに喜びを感じているアイドルです。さらに十時愛梨の面白いところは、ライブだけに限らず、グラビアでもファンイベントでも、愛梨とファンとの関係はどんな場面であってもブレない、というところにあります。

もしかすると、愛梨がどんな場面でもブレない理由は、少し遠巻きに幸せそうにしている人を眺めるだけでも幸せを感じられるから、直接ファンに会えないグラビアのお仕事であっても、ファンレターなどを通じて手応えを感じられれば愛梨としてはOKだから、なのかもしれません。

 

このように[スロウ・サマー・ヘヴン]の特訓前は、これまでの愛梨ではあまり前面に出てこなかった、情緒的な十時愛梨という一面がクローズアップされた点が特徴的です。元気で天然なだけじゃない。アンニュイな魅力も感じて頂けたかな、と思います。

 

 

4-1:特訓前と特訓後の対比

さて。今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]の舞台は、特訓前後どちらも「海の家」だと述べました。しかし、ここまで発言の内容を細かに見てきたとおり、特訓前と特訓後は「静と動」の関係にあるように思えてきます。

ここで改めて特訓前と特訓後を見比べると、その様子は明らかな対比になっていることに気づきます。

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特訓前の海の家は「氷」と書かれた旗がたなびく、ちょっとレトロでベタな海の家です。愛梨の手元にあるかき氷も王道な「イチゴ味」、貼ってあるメニューも、イチゴ、ブルーハワイ、レモン、メロン、と、典型的なラインナップです。一方の特訓後のビーチハウスは、タイル張りでパステルカラーが取り入れられた、小洒落た雰囲気のビーチハウスです。

さらに、特訓前は逆光で愛梨が居る場所は日陰、そして画面の端の方で視線を画面外に向けて、アンニュイな雰囲気を漂わせていますが、特訓後の愛梨は眩しい日差しの下、画面の中央でとびきりの笑顔をこちらへ向けてくれています。

また、特訓前では愛梨の後ろにはたくさんの海水浴客が見えて、その賑わいを遠巻きに見る、というコミュ通りの構図になっています。一方で特訓後は、愛梨たちのビーチハウスと海の間には誰も写っていません。 

このように「海の家」という舞台は共通としつつ、徹底して対比した構図としていることがわかります。さらに決定的なのが状況です。特訓前はPと2人きりでオフの場面、特訓後はお仕事での場面です。

この特訓前後の対比という手法は、[スウィートサマーナイト]にもありました。こちらでは特訓前はPと手持ち花火で二人だけの花火大会で、花火でハートを描いたりしてくれていました。一方の特訓後は打ち上げ花火を背にして、たくさんのファンの前でのライブ、という構成になっていました。同じ夏の愛梨という点で、この[スウィートサマーナイト]のことを思い出したPさんもいらっしゃるかもしれませんね。

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このような調子で、十時愛梨情緒的な一面とはしゃいで盛り上がっている一面と、対局にあるような要素を同時に兼ね備えている点が、十時愛梨という人の面白さなのかな、と思います。

 

4-2:「対比」だけど同居する、それが愛梨

この「対極的な要素が同居する」というのは愛梨の特徴であると同時に、他人に対するスタンスでもあります。例えば以下の発言のように、ビーチハウスの中で涼んで欲しい、と言う一方で、「弾けちゃいましょう♪」とも語りかけています。

ひんやり涼しい店内で、ちょっとだけ贅沢な夏、
味わってみませんか?
([スロウ・サマー・ヘヴン]+ アイドルコメント)

夏は一瞬ですよ。
Pさんも、弾けちゃいましょう♪
([スロウ・サマー・ヘヴン]+ ルームコメント)

そして、これらの発言を受け止めるかのように、親愛度400演出で愛梨は次のようにコメントしています。

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涼んでもらえるのも、アツくなってもらうのも、「どっちも嬉しい」と両極端な答えを受け入れられる懐の深さが愛梨の魅力なのかな、と思います。そしてそれを「だって夏ですから♪」と少し強引にまとめてしまう勢いの強さも、愛梨の性格が出ています。

 

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ここで少し過去を振り返ってみると、[夏のお届け]で「夏もはじけちゃいましょうっ」 と言っていたり、季節が同じく夏である[スウィートサマーナイト]+でも「夏ですから、開放的に、えいっ♪」と言っていたりして、愛梨にとって夏は「ちょっとだけ浮かれちゃう」季節なのがわかります。その一方で、今回の特訓前や「シンデレラガールズ劇場わいど」でわかるように「ぐだぐだしちゃう」季節でもあるのです。そして、やっぱり両方を受け止めちゃうのが十時愛梨なんです。

 

さらにホームコメントではこんなことも言っています。

私のおかわりですか?
キュートとフレッシュ、どっちも用意してますよ♪
([スロウ・サマー・ヘヴン]+ ホームコメント)

 

かつて「セクシーな私と、ふわふわの私…どっちが好きなんですかっ!?…どっちも?やん♪」([プリンセスバニー]+)なんて発言があったことを思い出した方もいらっしゃるかもしれませんし、もしくは、キュートな恒常SSR[カップオブラブ]*4と、フレッシュな装いの恒常SSR[エレガンス・プラス]*5を思い出した方もいらっしゃるかもしれません。この両方の魅力を兼ね備えているのが、やはり十時愛梨の魅力なのです。

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私が十時愛梨の性格を説明する時に、決まって引用する発言があります。それは[ホーリーリゾートナイト]特訓後のアイドルコメントです。

大切なファンのみんなへの贈り物は、ひとつに決めきれませんでした~。
だから…全部!受け取ってください!
([ホーリーリゾートナイト]+ アイドルコメント)

ひとつに決めきれなかったら全部プレゼントしちゃう。相容れないものがあっても、ぜんぶを抱えて受け止めちゃう。それがアイドルである前に、ひとりの人間としての十時愛梨の人となりなのだと思います。

 

 

5-1:空と海の対比

ところで、今回の「シンデレラガールズ劇場わいど」ですが、文字数が極めて少ないのが印象的、というふうに紹介しました。

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この「シンデレラガールズ劇場わいど」と対象的なのが、「シンデレラガールズ劇場」1440話です。先月末にモバマスに[陽の照らす先へ]が実装された際に更新された回で、こちらも愛梨が口に出した発言はわずかでしたが、5コマの中に「Pへの感謝」「上を目指す気持ち」といった、大量の愛梨の思いが書かれているのが印象的でした。

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そう考えてみると、「シンデレラガールズ劇場」が対比になっているだけでなく、デレステの[スロウ・サマー・ヘヴン]とモバマスの[陽の照らす先へ]自体も対になっているように思えてきます。[陽の照らす先へ]は、CGで空を舞う場面でしたが、[スロウ・サマー・ヘヴン]は夏の海が舞台。

そして、[陽の照らす先へ]では見上げた先に太陽が輝いていますが、[スロウ・サマー・ヘヴン]では愛梨を上から俯瞰するようになっていて、カメラの向きも逆になっています。

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5-2:空と海との間に

しかし、その一方で繋がりを感じる点もあります。

実は[陽の照らす先へ]の特訓後で愛梨はこんなことを言っています。

私が見たいのは、心ときめく青い空と、
遠くまできらめく海
([陽の照らす先へ]+ マイスタジオ)

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心ときめく青い空」が指しているのは、もちろん[陽の照らす先へ]で愛梨が飛んでいる空そのもの。そして、「遠くまできらめく海」が指しているのは、恐らく[スロウ・サマー・ヘヴン]の海なのではないでしょうか。それを暗に示すかのように、[スロウ・サマー・ヘヴン]では、愛梨はこんな発言をしています。

キラキラした海に負けないくらい、
私たちもキラキラ輝きますよーっ!
([スロウ・サマー・ヘヴン] ホームコメント)

 

また、もうひとつの繋がりは愛梨がPを手招きしている、という点です。[陽の照らす先へ]では「ジャンプしましょう!」、[スロウ・サマー・ヘヴン]では「飛び込むだけですよ♪」と呼びかけてくれています。

怖い気持ちは脱ぎ捨てて、
私と空へジャンプしましょう!えいっ!
([陽の照らす先へ] マイスタジオ)

素敵な夏の魔法は、
もう目の前に広がってます。
あとは飛び込むだけですよ♪
([スロウ・サマー・ヘヴン] 親愛度MAXコミュ)

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[スロウ・サマー・ヘヴン]は、5年前の海の家に帰ってきただけでなく、1ヶ月前に見たいと言っていた「遠くまできらめく海」でもあったのです。行きたいと約束した場所には行く、見たいと言っていた景色は見に行く。そんな貪欲さや義理堅さも十時愛梨の魅力だと思います。

また、それを見守るPのほうは、愛梨の過去や直近の言動を知っていることで「約束を果たす愛梨」「願いを叶える愛梨」というものに気づける、というわけです。Pの知識や経験や技量によって、魅力をどんどん引き出すことが出来る。それも十時愛梨の面白さだと思います。

 

 

結語:十時愛梨の物語は、思い出の積み重ねである

今回のSSRでは、これまでフィーチャーされることの少なかったアンニュイな表情にクローズアップしつつ、衣装を含めて、今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]と過去の愛梨の言動との間にたくさんの繋がりがあることを解説してきました。愛梨との間に海での思い出がたくさんあることは、下記のルームコメントにも現れています。

海って、何度行ってもキラキラの、
色あせない思い出をくれますよね
([スロウ・サマー・ヘヴン] ルームコメント)

今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]のように、十時愛梨にとっての「過去」は、現在と過去が繋がっていくことで、色あせない思い出になっているのです。

 

ただ、今回のガシャで初めて愛梨をお迎えした、という方にとっては、過去を知るというのはとても大変に感じるかもしれません。ですが、例えば今回のこの記事で「海の家アイプロ」と[スロウ・サマー・ヘヴン]には似ている部分が多いとご紹介したとおり、十時愛梨はアイドルとして成長して技量がついていった現在でも、その人となりや考え方、スタンスは、デビューの頃からブレることなく一貫しています。ですので、過去を知らないと十時愛梨を理解できない、というわけではなく、過去からの流れを知っていると、現在の愛梨のさりげない言動も色鮮やかなものに見えてくる、というように考えてもらうのが良いのかな、私は感じています。

 

前述したように、愛梨はビーチハウスで、涼んでもらえるのも、アツくなってもらうのもOKだと言っていました。それと同じように、ライトに愛して気軽に応援することも、色々と調べてもっと深い魅力を感じてもらうのも、愛梨はウェルカムなのではないかな、と思います。

そして、もし私の書く考察が「愛梨のことを深く知って、よりたくさん魅力を感じたい!」と思っている人の手助けになれば、とても嬉しいです。

 

なお、十時愛梨SSRは、5種類とも被りなく十時愛梨の様々な側面を取り上げています。もし本記事で十時愛梨にご興味を持たれた方は、他のSSRの解説記事も是非ご覧頂ければと思います。

 

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余談1:「ヘヴン」とは

特訓前の「ビーチの賑わいを遠巻きに見つめる海の家」のことを「楽園」と表現していることは先述したとおり。では、特訓後での「ヘヴン」はどこでしょうか。

答えは特訓エピソード。外で遊んだ後は涼しい場所で…とある通り、特訓後での「ヘヴン」は冷房の効いた涼しい場所を指しているのだと思います。もちろん、ドリンクと愛梨の存在が、より一層の楽園にしているわけですね。

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余談2:まだまだ繋がる「海の家アイプロ」

ところで今回のSSR[スロウ・サマー・ヘヴン]が実装された7月31日は、海の家アイプロが5周年を迎えた日でもありました。[スロウ・サマー・ヘヴン]に[夏のお届け]の要素が多分に含まれていることは、ここまでも説明してきましたが、さらに2点、言及しておきたいと思います。

1点目はLIVEクリア時のコメント。「愛梨から、夏のお届け物でした♪」というものがあります。そう、まさに[夏のお届け]というカード名が織り込まれています。そして2点目は特訓エピソード。実はこの画面で掛かるBGMは「とどけ!アイドル」なのです。

 

[夏のお届け]での愛梨は、特訓前では海の家のジュースを、特訓後では最高のグラビアをファンに届けていました。そして[スロウ・サマー・ヘヴン]では、MVで一緒に踊る、という夏の楽しみ方を届けています。そうやって、常にファンに何かを届けようとしている愛梨に、「とどけ!アイドル」という曲はとてもマッチしているように思います。

 

余談3:十時愛梨と焼きそば

十時愛梨と海の家、といえば焼きそば。

「海の家の売り子」を説明するのに、呼び込みと並んで焼きそばを挙げたり、焼きそばを作りまくって熱くなって海に飛び込みたくなったり。

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他にも「焼きそばの作り方はもうプロ級だと思いますっ! 事務所でも差し入れしましょうか♪」と言い放ったり、「やり残したこと、ありませんか?メモリいっぱい写真撮って、売り残した焼きそば食べて、えーっと」と異常に執着心を示したり…。とにかく、海の家アイプロの十時愛梨は焼きそばにこだわりまくっていました。

 

そんな焼きそばに対して、今回の[スロウ・サマー・ヘヴン]で更に情報が増えました。

あっ、いい匂い…。
焼きそば、昔お母さんに買ってもらって
食べたなぁ
([スロウ・サマー・ヘヴン] ホームコメント)

 

十時愛梨にとって、「家族」というものが大きな存在であることは言うまでもありません。*6そこと結びつくことで、愛梨が「焼きそば」に強い想いを抱いている理由がわかったような気もします。

 

余談4:十時愛梨と秋田

今回のルームコメントでは、こんな発言もあります。

避暑なら秋田もオススメですよっ。
案内役は私に任せてください♪
([スロウ・サマー・ヘヴン] ルームコメント)

これも海の家アイプロで「Pさん、避暑地へいくなら秋田がオススメですよっ♪案内役もいますし!」と、そのままズバリな発言をしていました。

 

ちなみに愛梨が秋田でお仕事をしたのは、セクシーギルティの番組にゲスト出演したとき程度ですので、今後、秋田へ凱旋してのお仕事にも期待したいと思います。

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余談5:それはあなたです

お店、急にお客さんが増えてびっくりでしたね。
みんな暑かったのかな?
([スロウ・サマー・ヘヴン] ルームコメント)

やっぱりマイペース。。。

 

余談6:特技・パラメータについて

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今回の愛梨のパラメータですが、ダンスが最も高くなっています。理由は特訓後の解説で触れたとおり、MVを見て、みんなと踊ってほしいから。特技発動時に「踊りましょう♪」とも言っています。

また、特技はユニゾン13秒毎、となっていますが、実は愛梨は13という数字と縁があって、「アップルパイ・プリンセス」は2013年1月23日発売の「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 013」、「Sweet Witches' Night ~6人目はだぁれ~」は2017年9月13日発売の「STARLIGHT MASTER 13」です。

西洋では13は忌み数として扱われていることもありますが、その一説に、調和のとれた数と考えられていた12に1を加えた、調和の乱れた数であるから、というものがあります。しかし、愛梨にとっては「十二時でも解けない魔法」というフレーズのように、シンデレラの物語を越えて紡がれていく物語を感じさせる吉数なのかもしれません。

*1:お土産で買った実物を付けているのか、実物ではない同じデザインのものを付けているのか、Pの発案なのか愛梨の発案なのか、というところは色々と解釈できるが、少なくとも、思い出と共にステージに立っていることは間違いない

*2:実際のところ、[カップオブラブ]は2Dだとストレートのツインテールなのだが、3Dでは巻きが入っていて齟齬が生じている。髪型選択のオプションが実装に期待したいところではある

*3:これまであまり前面には出てこなかった点を取り上げる、という点では、愛梨1枚目のSSRである[パンプキンパーティー]で、愛梨の魔性な魅力をピックアップしていたところと同じ構図だと言える

*4:Think Airi 005 恒常SSR カップオブラブを見直してみる

*5:Think Airi 015 エレガンス・プラスを見つめる

*6:例えば、デレステの「ウワサ」で両親の結婚記念日にケーキを作る、と紹介されていることからも伺える

【デレステしかしていない人に見てほしい】これが、いちばん新しくて最高の十時愛梨

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間違いなく最新。そして最高。
[陽の照らす先へ]十時愛梨を解説します。

 

 

 

カードの概要

今回の[陽の照らす先へ]は、6月末更新の「夏空へと導く!ファンタジックストーリー」ガチャにて登場したSレアです。ちなみに、同時実装された神谷奈緒とは2014年2月末更新の「あなたにご奉仕!メイドセレクションガチャ」以来2度めの共演となります。

 

特訓前

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特訓前はトルコ・カッパドキアで空高くへ昇っていく気球を眺めているシーン。普段のツインテールではなく、新しい髪型を披露しています。

ですが、ツインテールではない髪型を見せたことは過去にもあります。特に初めてツインテールを解いた[ホーリーリゾートナイト]は、今回と同じくPと一緒に海外を訪れたときのこと。ですので、[ホーリーリゾートナイト]との関係についても考えてみたいと思います。

 

特訓後

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特訓後はきらびやかな衣装を着て空を舞う場面。CGを使っての撮影であることが本人の口からも語られています。

特訓前、特訓後ともに、ガチャのタイトルにもある「」と「ファンタジック」という単語がテーマになっています。また、特訓前は気球、特訓後は愛梨自身が「空高く昇る」場面であり、そして、特訓前は朝焼け、特訓後は太陽が描かれ、カード名も[陽の照らす先へ]と、太陽が意識されています。

 

これらのテーマと愛梨の発言がどのように結びつくのか、順を追って見ていきたいと思います。

 

 

「もっと高く高く」

高みへと誘う愛梨

今回のガチャ更新では「シンデレラガールズ劇場」1440話が話題になりました。この回に付けられたタイトルは「もっと高く高く」。高みを目指そうとする愛梨の姿に心打たれたPさんも多かったのではないでしょうか。

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特訓後のアイドルコメントも、このテーマで一貫しています。

怖がらないで、飛んでみてください!
その手を伸ばしてくれたら、私が連れて行ってあげますよっ。
どこへって…もちろん、太陽が輝く、希望溢れる大空に♪
ぐんぐん高く羽ばたきましょう~!
([陽の照らす先へ+]アイドルコメント)

 

特訓前で 高く昇っていく気球を見て決意した愛梨が、特訓後で自ら宙に舞ってPを高みへと連れて行く…。このように今回の[陽の照らす先へ]のテーマの一つは、高みを目指そうとする愛梨の姿、そして、高みへと誘う愛梨の姿です。

 

ちなみに、このことは特訓前と特訓後を見比べることでも説明できます。

特訓前の愛梨は昇っていく気球を下から眺めています。一方で、特訓後の愛梨は宙に舞って自らが昇っていこうとしています。また、特訓前には地平線から気球を照らしていた太陽も、特訓後には天頂まで昇り、愛梨の昇っていく先で輝いています。[陽の照らす先へ]という今回のカードの名前も、特訓後での愛梨の昇っていく先で待ち受ける太陽、そしてそれはアイドルとしてのさらなる輝きを表しているのでしょう。

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十時愛梨とプロデューサー

ところで、プロデューサーを高みへと誘う十時愛梨、という構図はこれが初めてのことではありません。愛梨がシンデレラガールになるよりも前、初期レアのころから「私がトップアイドルになればプロデューサーはトッププロデューサーに」と言っていました。これは愛梨の根底にある考え方のようで、デレステの初期レアでも同様の発言をしています

そして「ぷちエピソード」でわかりやすく語られているとおり、愛梨がプロデューサーをトッププロデューサーにしたいと思う理由は、プロデューサーへの感謝の気持ちを届けたいという気持ちにあります。

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感謝の気持ちを伝えるためにトップを目指す、という構図は今回の「シンデレラガールズ劇場」1440話でも変わりません。

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そして「思い出エピソード」も、初期レアや「ぷちエピソード」を彷彿とさせる内容になっています。

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最後に出てくる一節は、もちろん、愛梨がいつもサインに書き添えている言葉です。シンデレラガールズ劇場で「何度だって口にしてきた」というフレーズが出てきますが、おそらくこの一節を指しているのでしょう。

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このサインに関して言及されたのは今回が初めてですが、「思い出エピソード」の結びのセリフとして印象的に使われたことで、改めて十時愛梨らしいフレーズだと感じられるのではないでしょうか。

 

繰り返しになりますが、今回の[陽の照らす先へ]で語られていることは、初期レアとまったく同じで、そして十時愛梨とPにとって いちばん大切なことなのです。

 

 

十時愛梨を支える、Pへの気持ち

さて、十時愛梨が高みを目指す理由はPやファンに対する感謝の気持ちだと解説してきましたが、じっくり振り返ってみると、それ以外の動機もあることに気づきます。

 

 十時愛梨が初期レアのころから変わらないもの。
それは、Pと一緒なら何でも出来るという信頼と確信です。

Pさん、あのプロデューサーと一緒に居れば
トップアイドルになれると思うんですけど、
ずっと一緒に居てもいいですか?
(初期レア)

知らない世界への挑戦でも、Pさんが一緒なら♪
([エレガンス・プラス+])

えへへ。Pさんの魔法、いつも信じてますから
([エレガンス・プラス+])

難しいお仕事も、Pさんとなら乗り越えられますっ!
([陽の照らす先へ+])

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[陽の照らす先へ]の「思い出エピソード」を改めて見返すと、ここでも「プロデューサーさんの力で特別な体験をしているんですっ」と、Pと一緒なら何でも出来るという信頼と確信が語られています。

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ここで思い返すのはイタリアを訪れた[プライベート・メイド]の特訓エピソード。
このときの愛梨は「世界は広いし、行ったことない国もまだまだいっぱいあるってPさんは、愛梨に教えてくれたんですよね」と語っていました。アイドルになったからこそ、Pに出会ったからこそ見えた景色がある。[陽の照らす先へ]での愛梨の気持ちも同じなのです。

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欲張りな十時愛梨

十時愛梨と旅

さてここで少し視点を変えてみましょう。

愛梨とPがトルコのカッパドキアを訪れるきっかけが「思い出エピソード」の前編で語られています。夏休み直前で、お仕事も勉強もやる気満々、そして試験期間が終わったら旅行に行きたい、でもお仕事も色々挑戦したい、と欲張りな一面を見せています。

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振り返ってみると、同じく海外へ向かった[ホーリーリゾートナイト]のときも同じでした。「寒くないクリスマス」という愛梨の欲張りなリクエストに対して、Pは南半球のビーチでのクリスマスをプレゼントしたのでした。

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海外、といえば先日の通り[プライベート・メイド]でも、愛梨とPはイタリアを訪れています。このときは愛梨のリクエストでプライベートビーチを訪れました。

[ホーリーリゾートナイト]では南半球へ、[プライベート・メイド]ではイタリアへ。そして今回はトルコのカッパドキア。欲張りな愛梨の期待にPが答える。そうした旅の積み重ねが、特訓前の親愛度Up演出に繋がっているのだと思います。

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しかし旅に慣れたといっても、Pに旅に連れて行ってもらうことを当たり前と思わずに色々と感じ取るのが愛梨らしいところ。ちょうどシンデレラガールズ劇場の2コマ目にも描かれています。

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色々と感じ取る力が強い愛梨だからこそ、「思い出エピソード」のように「プロデューサーさんの力で特別な体験をしているんですっ」という感情に至ったのでしょう。そして、そんな愛梨だからこそ、Pへの恩を感じて、Pをトッププロデューサーにしたいと考えるようになったのかもしれません。

 

そして、旅行に限らず、様々な思い出の積み重ねが愛梨にとって大切なものであることは「海の家アイプロ」などで言及されてきましたし、思い出を積み重ねていくことで愛梨とPとの間に揺るぎない絆が生まれていることは、[はずむ花の湯]などでも言及されているとおりです。

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Pとの間に築き上げた思い出と絆。 それが十時愛梨を支える大きな力になっていることが、今回も改めて確認できます。

 

 

十時愛梨と夢

初期レアの頃からの「ブレない愛梨」が感じられる[陽の照らす先へ]。
その一方で、これまでの愛梨と明らかに異なるのが、特訓後の親愛度MAX演出です。ここで愛梨は「歌も撮影もお芝居も」と発言しています。

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笑顔でグラビアの女王となり、その後も大人っぽい雰囲気やさまざまな表情で魅了してきた愛梨。そして「アップルパイ・プリンセス」から「Lost Princess」に至るまでの間に、飛躍的に歌唱力を磨いてきた愛梨。

ライブでもグラビアでも、形こそ違えど、ファンのためにベストを尽くしてファンを笑顔にしてきた愛梨。歌も撮影もどちらも愛梨にとって大切なお仕事であることは、「海の家アイプロ」など、これまでの愛梨の言動からも伺えます。

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一方で、実は昨年の空想公演まで、演劇系のお仕事はほとんどノータッチだった愛梨。ですから、去年までの愛梨だったら「お芝居」という単語は入らずに、「歌も撮影も」だけで終わっていたでしょう。

 

しかし、昨年の「空想公演 森の彷徨い花」から、「空想旅行」、エイプリルフール企画さらに今回のシンデリア2に至るまで、立て続けに演技のお仕事に挑戦してきました。

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歌も撮影のどちらも大切にするこれまでの愛梨と、お芝居に積極的に挑戦してきたこの1年の愛梨の活動の、その両方が踏まえられている点が、まさに今の十時愛梨を象徴していると言えます。そして、担当Pとしては、愛梨にとって「お芝居」というものが、この1年間で「歌も撮影も」に並ぶほど大きな位置づけになったのだなぁ、と深く感じ入るところです。

 

 

「新しいお仕事への挑戦」

ですが、もう少し掘り下げてみると、「新しいお仕事に挑戦する」という点も、十時愛梨にとってはデビューした頃から変わらない、おなじみのテーマでもあります。 例えば初期レアでは、愛梨はこんな発言もしていました。

 

Pさん、プロデュースして下さい! ほら、レッスンしましょ!
Pさん、大丈夫です! どんどんお仕事しましょ!
(初期レア)

レッスンやアイドルのお仕事が楽しくて仕方がない、といった様子で、Pを急かしているような素振りを見せています。最近では[エレガンス・プラス]でも、新しいお仕事にチャレンジする楽しさを語っています。

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そして[陽の照らす先へ]特訓後の親愛度MAX演出でも、同じく積極的な愛梨の姿が見られます。

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いろいろな経験を積んでも、デビューした頃のような初々しさを持ってアイドルで居続けること。新しい挑戦にも欲張りな姿が、十時愛梨のずっと変わらない魅力なのかもしれません。

 

 

十時愛梨の「変化」

変わらない中で変わったもの

さて、この記事の冒頭で触れたように、今回のシンデレラガールズ劇場は、愛梨がトップを目指す意志を示したことが話題になったとお話しました。

しかし、振り返ってみると、愛梨はシンデレラガールになった後も度々、トップを目指す意思を示しています。

Pさんをトップにするって決めましたから!ねっ♪
(シンデレラドリーム+)

はい、Pさんのご指示は、トップになることですね♪
(プライベート・メイド+)

 

ここまで述べてきたとおり、十時愛梨が[陽の照らす先へ]でPに伝えていることは、デビューした頃から変わっていません。そして、Pから貰ったものへの感謝の気持ちと、新しいものに対する好奇心がモチベーションになっていて、Pのために高みを目指す、という構図も初期レアの頃から全く変わりがありません。

 

それではなぜ、今回のシンデレラガールズ劇場が、たくさんのPの心を掴んだのでしょうか。そのことを考えるために、ここで改めて昨年からの愛梨の動きを振り返ってみましょう。

 

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まず2019年2月にデレステに実装された[エレガンス・プラス]では、更に上を目指したいという気持ちが語られていました。

素敵なアイドルになりたいな。今よりもっと、もーっと
もっと素敵になる方法…私に教えてください、Pさん

([エレガンス・プラス])

自分の足で歩くアイドル…私、なれますか?Pさん
Pさんのプロデュースで…新しい私にしてくださいっ

([エレガンス・プラス+])

 

続いて春に登場した[ほのぼの花歌]では、従来のトップアイドルを目指すという目標を越えて、「時を越えて愛されるアイドル」を目指すという新たな決意が表明されました。

何千年先も、みんなの心に残るような…そんなアイドルになりたいです
([ほのぼの花歌+])

 

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さらに、秋に実装された[カップオブラブ]は、デレステからの移植ではありますが異なる点があります。

まだ考え中のお話なので、この先は、私とプロデューサーさん、ふたりで♪」 と言っていたデレステ版に対して、モバマス版では「Pさんみたいにいつも一番近くで守ってくれる人がいるから、優しく笑えるんですよ♪」と、Pに求めている立ち位置が異なることが伺えます。つまり、デレステ版では、Pに対してこの先の目標を一緒に考えましょうと呼びかけていたのに対して、モバマス版では、既に進む先が決まっているかのように感じます。

それはおそらく、[ほのぼの花歌]で「時を越えて愛されるアイドル」という目標が決まっていたからではないでしょうか。だからこそ、目標に向けて歩む愛梨を守って欲しいと、モバマス版の[カップオブラブ]で愛梨は語っているのかもしれません。 

 

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このように、次のステップへ進みたいという強い意志が明示されたのが、この1年の十時愛梨だったのです。また、先述の通りお芝居への挑戦を重ねたり、「Lost Princess」のカバーで歌唱力を示したりと、技術的な進歩も示された1年でもありました。

 

[陽の照らす先へ]で愛梨が語っていることは、初期レアの頃と変わりがありません。しかし、初期レアの頃に比べると、シンデレラガールにもなり、表現力も磨かれ、そしてPやファンとの間にたくさんの思い出を積み重ねてきているのが今の愛梨です。一度頂点になっていても、昔よりずっと技術が身に付いても、Pやファンとの間に生まれた思い出を抱えながら上を目指している。状況が変わり様々な文脈が絡むようになったことで、同じ言葉を語っていても、デビューした頃に比べて重みを含んだ言葉になっているように思います。

 

Pとの間に築き上げた思い出と絆が十時愛梨を支える大きな力になっている、と先述しましたが、Pの側にも愛梨との思い出と絆が積み上がっていて、それが今回のシンデレラガールズ劇場1440話を読み解く際にも影響したのかもしれません。

以前、「Lost Princess」の解説をした際に書いたとおり*1、Pと愛梨の物語は「君と出逢い、君と往く」物語なのです。それはまるで、王道のファンタジーのように。

ガチャの「ファンタジックストーリー」というタイトルは、特訓前のカッパドキアの不思議な光景や、特訓後のCGで空を飛ぶという情景だけでなく、十時愛梨が歩む物語のことも指しているのかもしれません。

 

 

まとめ:シンプルゆえの「強さ」

「感謝の気持ちを伝えるために、トップアイドルを目指す」

 

これが今回の[陽の照らす先へ]のテーマであり、そして初期レアの頃から揺るがない、十時愛梨のアイドルとしての在り方でもあります。シンプルな動機だからこそ、その想いがブレずに貫かれている点が、かえって愛梨の意志の強さ、意志の硬さ、メンタルの強さを際立たせているようにも思います。

 

このように、十時愛梨の物語は「好奇心と感謝の気持ちを胸に、高みを目指す物語」であるということが改めて実感できたのが、[陽の照らす先へ]の最大の見所です。

 

十時愛梨のすべてが凝縮されていて、いちばん新しくて、最高の十時愛梨。「デレステしかしていない人にも見てほしい」とタイトルを付けたとおり、すべての人に見てほしい十時愛梨だと、自信を持っておすすめしたいと思います。

 

 

余談その1:余白に込められた愛梨の想い

シンデレラガールズ劇場1440話は内容以外にもう一つ注目すべき点があります。

それは愛梨の独白パートの多さです。

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非常に文章量の多い劇場ですが、よく見ると愛梨が実際に口にした言葉は少ないことに気づきます。拾い起こしてみるとこうなります。

わぁー
本当に…キレイですね

…プロデューサーさんっ
愛梨は…もっともーっと
高いところに…行きますから♪

こうしてみると、普段の愛梨の言動と調子がまったく変わらないことがわかります。

 

言い換えると、普段の愛梨の発言にも、行間にたくさんの内容が詰まっているのではないか、という話になります。これまでこのブログで、考えすぎではないかというほどに細かく愛梨の言動を読み解いてきましたが、そのレベルまでの読み込みが必要だということが、今回のシンデレラガールズ劇場で示されたといえるかもしれません。

 

 

余談2:愛梨が見たい空と海

 

深読みが必要らしいということがわかったところで、今回一番悩ましい発言がこちら。

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私が見たいのは、心ときめく青い空と、遠くまできらめく海♪」とは何を指しているのでしょうか。例えば青い空ときらめく海、といえば、同じく海外を訪れた[プライベート・メイド]のような景色なのかもしれません。

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もしくは、ホーリーリゾートナイトでの「光の海…どこまでも続いてそう」という発言とも繋がっているのかもしれません。この景色に関してはデレステでも同じように言及しています。

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ちなみに愛梨が「Lost Princess」をカバーしたことから、今回の愛梨と「プリンセスコネクトRe:Dive」冒頭のシーンの間に関係があるのではないかという話題もありました。ただし、プリコネの主人公は空から落ちてくる一方、今回の愛梨は上へと昇っていっているので向きが逆です。

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一方で、「Lost Princess」の歌詞にはこのような一節があります。

「真っ青な空を見上げ願う未来」

[陽の照らす先へ]で愛梨が見上げた空にも、愛梨の願いと未来が写っていたのかもしれません。

 

 

余談3:アクセサリーの色

特訓前の愛梨の手首に巻かれているアクセサリー、よく見ると初期レアの時に着ていた服と色使いが同じオレンジとグリーンになっています。偶然なのか意図的なのかわかりませんが、愛梨お気に入りの色なのかもしれません。

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Think Airi 025 Lost Princessを十時愛梨が歌う意味

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2020年4月10日、デレステと「プリンセスコネクトRe:Dive」とのコラボキャンペーンの一環として十時愛梨がカバーした「Lost Princess」が実装されました。今回はこの楽曲について考えてみたいと思います。

 

なお、本稿では全般に渡って「プリンセスコネクトRe:Dive」の設定に関する大きなネタバレを含みます。が、「プリンセスコネクトRe:Dive」では現在、エストをクリアしていなくても第一部の各章のストーリーを閲覧することが出来るようになっています。ですので、未閲覧のプレイヤーさんは、先にゲームで閲覧することをオススメします(特に第8章までは自分の目で見るのがオススメです)

また、やむを得ずペコリーヌのストーリー全般に言及をしていますが、☆6開放や限定キャラを入手していない方にとってはネタバレになる箇所を含みます。その点、あしからずご了承下さい。 

  

 

■「Lost Princess」とは

・いわばプリコネの「看板」

Cygamesが制作するRPG「プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、本稿ではプリコネと呼ぶ*1)」のテーマソングであり、2020年4月6日から放送を開始したアニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」の主題歌。つまり、プリコネというコンテンツの代表曲と呼べる存在の曲です。

原曲は、ペコリーヌ、コッコロ、キャルの3人組(美食殿)が歌っています。

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どこか聞き覚えがある雰囲気の曲だな、と思った方もいるかも知れませんが、実は作曲はサクラ大戦の主題歌「檄!帝国華撃団」でおなじみの田中公平先生です。

 

 

・歌詞の意味

まずサビの「ハッピーエンド」「バッドエンド」について。これを解説するために、プリコネの世界観について説明します。

プリコネは、ランドソルという街を中心に人間・エルフ・獣人・魔族が暮らすアストライア大陸が舞台となっています。が、実はアストライアがある世界は、「レジェンドオブアストルム」というオンラインゲームの内部の世界であり、登場人物たちは、自分たちがゲームの中にいることに気づいていない、という設定になっています。

ゲームだからこそ、ハッピーエンドがあり、バッドエンドがある。ハッピーエンドの先には、「ありきたりで、けれど愛しい日々」がある。だからこそ、バッドエンドの先では、「何度でも君の手を握りしめる」…何度でも諦めずにクリアを目指すプレイヤーの姿が描かれているわけです。

 

また、歌詞中には「偶然の再会」「生まれ変わるたびに」という単語が出てきますが、これを解説するためには、「プリンセスコネクト!Re:Dive」の前作にあたる「プリンセスコネクト!(以下、本稿では無印と呼ぶ)」の存在について触れなければなりません。

無印はAmebaで配信されていたゲームで、2015年2月18日にサービス開始したものの、2016年7月29日にサービスを終了しています。その無印から登場人物を引き継いだのが、現在のプリコネ。タイトルに入っている「Re」という文字や「もう一度、キミとつながる物語」というキャッチフレーズには、そのような意味が込められているわけです。*2

プリコネというゲーム自体が「生まれ変わり」を経験していて、「Lost Princess」の歌詞にも、それが反映されている、というわけです。

 

シンデレラガールズについて語られる時に、「お願い!シンデレラ」の歌詞が引用されるのと同じように、「Lost Princess」の歌詞は、プリコネというゲームが何であるかを説明している、と言えるでしょう。名実ともに「Lost Princess」はプリコネの看板だというわけです。

 

 

・「Lost Princess」とは?

では、曲名の「Lost Princess」の意味について触れたいと思います。これはプリコネの第6章あたりまでのあらすじが関わってきますが、なんと公式がわかりやすく3分であらすじをまとめてくれてます。
これを見るのが早い。

youtu.be

 

それすらも面倒という人のために要点だけ説明すると、「Lost Princess」というのはペコリーヌを指しています。というわけでペコリーヌについて説明します。

 

まずペコリーヌを説明する上で外せない要素が「よく食べる」ということ。ニュージェネとのコラボの時にも、ぴにゃこら太を本気で食べようとしていたので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

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そして2つめのポイント。「ペコリーヌ」は本名ではありません。
なぜなら初対面の時に名前を名乗らなかったからです。

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では、なぜ名前を名乗れなかったのか、というと…
偽物に立場を奪われていたから。

そう、実はペコリーヌは国を治める王家に生まれた、正真正銘のプリンセスなのです。それが、何者かが「ユースティアナ」の名を騙り、偽物として玉座に居座っている。奪われた玉座を奪還し、歪められた世界を元の姿に正す…というのがプリコネ第一部のあらすじです。

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このくだりが語られる第6章のタイトルは「忘れられた王女」。
そう、これが「Lost Princess」の意味なのです。

 

 

・プリコネの「看板」でありペコリーヌの曲

ここまで、「Lost Princess」はプリコネの看板であり、ペコリーヌの曲だということを解説しました。プリコネにとって非常に重要で重みのある歌なのです。

 

 

十時愛梨とペコリーヌ

ここでもう少しペコリーヌという人物について掘り下げてみましょう。

・最前線で王国民のために戦う王女

ペコリーヌはゲーム内の戦闘場面においては、防御向きの前衛キャラとして扱われています。ストーリーにおいても「みんなを守る」と度々発言しており、最前線で王国民のために戦う王女、というのがペコリーヌの大きな特徴と言えます。

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・スキンシップが、すごい

とにかく、すぐハグをする。
実はペコリーヌは日本ではない異国の地の出身(詳しくは後述しますが)。愛情表現がストレートなのは、生い立ちが影響しているのかも知れません。

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・勢いがあって、ムードメーカー

端的に換言すると「ガンガンいこうぜ」タイプの思考の持ち主。武者修行で鍛えた戦闘力に自信があることもあってか、多少の困難は吹き飛ばしていこう、という気概が伺えます。一方、前のめりすぎて失敗し、それに落ち込む場面があるのも印象的です。

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十時愛梨とペコリーヌは似ている?

いつも元気で、推進力があって、すぐハグをする…
ここまでの話を聞いて、十時愛梨のコミュ4を思い出した人もいるかも知れません。ライブの直前でも、迷子を探すためにファンのために自ら動こうとする姿。しかも、迷子を見つけたときにはぎゅーってして、すりすりしてます。
この場面だけを見ても、ペコリーヌと通じる部分があるようにみえます。

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ちょうど[カップオブラブ]で愛梨本人は「みんなのニコニコを守るのが、プリンセス♪」とも言っていました。これが、愛梨が考える「プリンセス」の在り方なのかな、と思います。

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十時愛梨とペコリーヌの決定的な違い

ペコリーヌが先述したようなメンタリティを持っている理由、それは彼女が王家に生まれ、小さい頃から国を統治するものとして育てられ、帝王学を学んできたからでしょう。

なお、プリコネの作中では「オンラインゲームの内部の世界であり、登場人物たちは、自分たちがゲームの中にいることに気づいていない」ということを先述しましたが、ペコリーヌのゲームの外での姿も実は王女様なんです。つまり、ペコリーヌは混じりっけ無く純粋にプリンセスなのです。

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一方、小さい頃から教育を受けていたとはいえ、ペコリーヌはまだまだ修行中の身。17歳という年齢相応の未熟さもあり、ストーリー第一部では猪突猛進さが仇となる場面も多々あります。

実のところ、プリコネのストーリー第一部のテーマは「完璧ではない少女たちが、互いに足りないところを補って、力を合わせる」ところにあると、私は考えています。メタ的にも、プリコネは、色々な特徴を持ったキャラを組み合わせて敵に勝つ、というシステムですよね。第一部の後半では、一人だけ敵陣に突っ込んでしまったペコリーヌは諭されつつ、キャルに「一緒に変わろう」と言われてもいます。

 

このように、生まれたときから王女になる運命にありながら、その立場にまだ追いついていない少女が成長する物語、というのが今のペコリーヌだと言えます。

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一方、十時愛梨は本物のプリンセスでもなければ王家の出身でもありません

しかし、愛梨は「プリンセスなアイドル」です。本ブログでは以前にも、[カップオブラブ]と「アップルパイ・プリンセス」を解説する際に、十時愛梨のプリンセス性について言及したことがあります。

十時愛梨の恒常SSR カップオブラブを見直してみる - think Airi project

十時愛梨のアップルパイ・プリンセスの歌詞を見直す - think Airi project

 

その際に引用してきたのは「アップルパイ・プリンセス」の次の一節です。

君となら そう 私はプリンセス

アップルパイ・プリンセスが「プリンセス」でいられるのは、傍らに立つ「君」の存在があってこそのこと。そして十時愛梨のプリンセスのような佇まいも、応援してくれるファンやPの存在があってこそなのです。それは、次のような発言からも伺えます。

 

アイドルがアイドルらしくなるために、一番大切なこと…。
やっとわかりました、Pさん。それはー…。
愛情をいっぱい注いでもらうこと!

それが全部、愛梨の中で、気品やキラキラに変わって、
プリンセスみたくなれるんですっ☆

カップオブラブ+] 

誰かの笑顔が見たくて頑張ると、
つらいことなんてなくって。

今日できたことを、
明日はもっと良くやってあげようって、
そんな毎日を一緒に過ごせるのが、
幸せだからなんです♪

[プライベートメイド+]

 

十時愛梨とペコリーヌの決定的な違い。それは「プリンセス」という肩書が先天的なものか、後天的なものか、という点です。ペコリーヌにとっての「プリンセス」は、生まれたときに与えられた宿命のようなもので、ペコリーヌは、その肩書に相応しい人物になろうと努力しています。一方、十時愛梨にとっての「プリンセス」は、Pに出会い、ファンに支えられ、総選挙で初代シンデレラガールとして選出され、そして愛梨がその声に応えて輝こうとしてきたから辿り着いた場所だと言えます。

 

しかし、これだけ決定的な違いがありながら、ペコリーヌは国民を愛し、国民に愛され、十時愛梨はファンを愛し、ファンに愛される、という、似た境地に至っている点も面白いところです。これが理想の「プリンセス」、ということかもしれません。

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決定的な違いがありつつも、ペコリーヌと十時愛梨には共通点が多いことをご紹介してきました。それではいよいよ、十時愛梨が「Lost Princess」を歌う、その意味について考えてみたいと思います。

 

 

■「Lost Princess」を十時愛梨が歌う意味

・「Princess」として

ここまで述べてきたように、十時愛梨は初代シンデレラガールであり、アップルパイ・プリンセスであり、愛梨のアイドルとしての在り方も含めて、「プリンセス」という単語は愛梨を語る上で外せないキーワードになっています。

ちなみに、Twitterでの告知時に使われた画像には[カップオブラブ]の衣装を着た愛梨が登場していました。愛梨の4つあるSSRの中でも「プリンセス」な側面にスポットを当てた[カップオブラブ]が採用されたことは、愛梨が「プリンセス」として起用されたことを表しているとも言えるでしょう。

そう、十時愛梨は「プリンセス」なのです。

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・「Lost Princess」として

一方、「Lost Princess」というタイトルと、第1回の総選挙曲がないことや、長らくデレステに愛梨が歌う楽曲が追加されなかったことを結びつける考え方をする方もいるかと思います。

ですが、先述の通り、プリコネは「一度エンディングを迎えたはずの物語の、続きの物語」であり、その第一部のストーリーは「忘れられた王女」が復権するストーリーです。

であるならば、愛梨が「Lost Princess」を歌う意味は「一度、シンデレラガールになっても物語は終わらない。その先の物語を描くんだ」という宣言、もしくは直近の総選挙では連続で圏外が続いていますが、「ふたたび頂点を目指し、そして復権する」というメッセージではないか、と私は考えています。

 

なお、第1回の総選挙曲に関しては、作り忘れられているわけではなく、元々総選挙のルールに含まれていなかったので制作されていないので、「忘れられた」という言い回しは適当では無いと思います。

 

・歌詞を踏まえて

「Lost Princess」の歌詞を見ると、愛梨の言動とオーバーラップする箇所があるのでいくつかご紹介します。

 

・"まっさらな世界 何を君は描く?"

カップオブラブ]がまさにこれ。もともと愛梨は「とりあえずトップが目標です」と、とりあえずトップアイドルになる、というのが目標なので、その先のストーリーは白紙。それを一緒に描いていくのがPなんですよね。

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・"君と出逢い、君と往く ハッピーエンドのその先"

実はここがポイントだと思っています。

十時愛梨って、友達が勝手に応募したオーディションがきっかけでPと出逢い、アイドルになりましたよね。そして、「Pと」というところを、とても重視している子でもあります。つまり、十時愛梨は「君と出逢い、君と往く」アイドルなんです。

Pさんといっしょだから、ニコニコなんですっ♪
Pさんともっともっと大きい夢が見たいですっ♪
[シンデレラドリーム+]

 

そして[カップオブラブ]ではこんなことも言っていました。
まさしく「ハッピーエンドのその先」、ですよね。

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さて、「Lost Princess」の歌詞では「ありきたりで、けれど愛しい日々を過ごしたいよ」と続きます。これも[カップオブラブ]でのあの発言を思い出します。

いつも、おめでとうの気持ちを込めて。
毎日が愛梨のアニバーサリー♪
カップオブラブ]

 

この一節だけで、十時愛梨とのシンクロを感じてしまうのですが、みなさん、いかがでしょうか?

 

 

・"絶対の答えがなくても ただ君と一緒なら 怖くはないから"

デレステに実装されていない2番の歌詞についても言及したいと思います。

 

[エレガンス・プラス]の解説で触れたように、愛梨にとってのプロデューサーは、新しいものに挑戦させてくれて、それを見守ってくれる存在です。まさに、「君と一緒なら怖くはない」なんですよね。

 

※エレガンスプラスについての詳細な解説はこちらをご覧ください。
十時愛梨の新・恒常SSRエレガンス・プラスを見つめる - think Airi project

 

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このように、「Lost Princess」は、歌詞の中にも十時愛梨との接点を見出すことが出来るのです。

 

・ところで:なぜソロ歌唱なのか

さて、ここまでは「十時愛梨が『Lost Princess』を歌うこと」について述べてきましたが、最後に「十時愛梨がソロで『Lost Princess』を歌うこと」について考えてみたいと思います。

 

私は、これはペコリーヌと十時愛梨の2人の立ち位置が影響していると考えています。

 

途中で述べたようにプリコネ中でペコリーヌは「他人と助け合うこと」が大きなテーマになっています。一方の愛梨は1人だけ選出された、1人だけしかいない初代シンデレラガール。故に、ペコリーヌは仲間たちと3人で歌い、対する愛梨は、コラボ先の看板曲という重責を1人で受け止めたのかな、と考えています。

 

 

■まとめ

実は前々から愛梨が「Lost Princess」歌わないかなーと思っていたので、今回の案件は個人的にかなりブチ上がるものがありました。

 

むしろ、ここに今まで書いてきたことは常々考えていたことなので、十時愛梨とペコリーヌ、そして「Lost Princess」の親和性は高いと確信していたので、予想とか予言ではなく、決定された未来のようにも考えていました。ある意味、覇瞳天星ですねこれ。

 

なかなか難しい曲でもあったので、デレステメインのPさんにとっては、十時愛梨の歌唱力をお示しする絶好の機会になった、という点も嬉しいところでしたし、なんといっても、愛しの二人のプリンセスが繋がった、コネクトした、のが最高でした。

 

十時愛梨とペコリーヌをよろしくです!

 

 

■余談:その他、十時愛梨とペコリーヌの共通点

 

本文と関係ない要素で、共通点がまだまだあるのでご紹介。

 

グラブルでは剣が得意な防御タイプ

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2人ともグランブルファンタジーに客演していて、装備している武器が剣という共通点があります。
なお、奥義はペコリーヌはプリコネと同じく「プリンセスストライク」、「アイリスラッシュ」。しかし愛梨の剣、デカすぎでは。

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・魔物を料理したことがある

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ペコリーヌといえば「魔物料理」
奪った命をそのままにするのは忍びない、とか、武者修行に出ていた期間が長く食材を現地調達する機会が多かった、とか、色々な理由がありますが、とにかくペコリーヌは魔物を料理するのが得意です。

 

ところで十時愛梨は、グラブルでマイコニドを料理したことがあります。

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・料理のコツは「おいしくなーれ」

ペコリーヌがキャルに教えた「おにぎりを作るコツ」と、十時愛梨がオーディションで語った「ケーキを作るコツ」が、どちらも「おいしくなーれ」。

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・王子と騎士

2019/8/31のペコリーヌ星6実装で追加されたキャラストーリーで出てきた発言がこれ。

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一方、2019/11/4に実装されたモバマス版の[カップオブラブ]十時愛梨で出てきた発言がこれ。

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「騎士」という言葉を使っていなかった愛梨が突然「騎士」と言い始めて、なかなか衝撃的な場面だったのですが、プリコネとのコラボへの伏線だったのかも、しれません。

 

■余談:プリコネ内で十時愛梨最強なんじゃね説

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…いよいよバックレるのに無理があると思いますよ、Cygamesさん?

*1:前作として「プリンセスコネクト!」というゲームがあったため、正確を期すと本作は「プリコネR」と書くべきだが、今回はRのほうを中心に取り上げ前作は「無印」と記載する。簡単のため本稿中では「プリンセスコネクト!Re:Dive」を「プリコネ」とのみ表記する

*2:ただし、無印とプリコネとの間には「世界の再構築」が行われており、どのように改変されたのか、という点は明かされていない

Memo いち十時愛梨担当として、総選挙に対する動機付けを考える

 

 

 

この話が長くなりそうなのでブログで書きます。

(以下、あくまでも考察ではなく論拠のない話です)

 

直近のシンデレラガールを振り返ってみると、例えば、周子は「ボイス選挙のリベンジを」とか、卯月は「キュートからシンデレラガールを」とか、未央は「ニュージェネ全員をシンデレラガールに」とか、何となく世論にストーリーが描かれていたように思います。投票する側にとって「なぜ投票するのか」という明確な理由、もしくは担当Pの側が「どうして応援してほしいのか」をちゃんと説明できるような動機、いわば「錦の御旗」がいずれかにあったのが大きいかな、と思います。

 

では、その点、愛梨はどうなのか、という話です。

 

ここで一つ、厳しい話になりますが、ダイマに対して「一度シンデレラガールを獲った子には入れません」という反応も少なからずありました。担当Pさんの中にも、総選挙であまり積極的になれない、という人もいるのは承知しています。そのスタンスを否定するつもりはないですが、総選挙に向けてどう準備するか、という観点で言えば、一人でも多くの担当Pさんに積極的になってもらうにはどうしたらいいか、ということを考えないといけないです。なので、まず、これが大きなテーマだと思います。

 

一方で、例えばデレステでは長らくイベントに出ておらず、ユニット曲も新しいものが出ておらず、という状況にあります。そして総選挙では3回連続で圏外だった、という重い事実も受け止めておかねばなりません。

 

ここで、一つ取れる方法として、総選挙で上位に送り込んで総選挙曲を、というのは自然な発想だと思います。もしくは、総選挙という機会に愛梨を知ってもらって、ファンを増やして、「愛梨に出番を」という声を多くする、という考え方もあります。直接的にしても、間接的にしても、総選挙にはリターンがあるはずなので、これは一つのモチベーションになると考えています。

総選挙曲、という話で言えば、「十時愛梨は総選挙曲を歌っていない」というは、担当でない人から見ても理解されやすい動機じゃないだろうか、と思います。「リベンジ」という筋書きは、直近では未央Pで使っている人がいましたし、今回も色々な子の担当さんで「前回取り逃したシンデレラガールの座を…」という触れ込みのダイマが出てくると思います。

それに対して「唯一、総選挙曲を歌っていない」と言えるのは、不幸ながら愛梨だけです。

 

もう一つ、観点を変えると。確かにシンデレラガールを目指すのは2回めになりますが、「2度めのシンデレラガール」は、まだ誰も成し遂げたことがない、未知の世界です。

シンデレラガールズは「シンデレラ」がモチーフの世界です。「シンデレラ」は灰かぶり姫がふとしたきっかけで輝く、というあらすじでした。でも一度輝いた子が、その先どうしたらいいのか、というところまでは「シンデレラ」は教えてくれません。いわば「2度めのシンデレラガール」というのは、「シンデレラ」が描かなかった物語の先を描く、そういうストーリーじゃないか、と思います。

そして「2度めのシンデレラガール」という座に挑戦できるのは、たった8人しかいません。

 

また、愛梨本人の言動を振り返ると「自分がトップアイドルになることで、Pをトッププロデューサーにしたい」ということを言っているのですが、それが初代シンデレラガールになった後も言っていたことに気づきます。これ、すなわち、愛梨はまだPをトッププロデューサーにできていない、愛梨の夢はまだ叶っていない、ということかも知れません。

さらに、[ほのぼの花歌]では、何千年先もみんなの心に残るようなアイドルになりたい、とも言っています。何千年先も愛されるアイドルになるためには、もうこれ以上、総選挙で圏外になるわけにはいかない、というのも動機になるかな、と思います。

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もちろんシンプルに、十時愛梨は可愛い!十時愛梨は最強だ!というのも強い動機だと思いますし(いや、実際私は十時愛梨は最強だと思っているけども)、それを熱心に語れば、心を動かしてくれる人もいるはずです。

更に言えば、十時愛梨玉座こそふさわしい!!!という過激派チックな発想も(他の子の担当Pさんに受け入れられるかどうかは別として)内に持つモチベーションとしては十分だと思います。

 

色々と書きましたが、意外とあるんですよ。十時愛梨がシンデレラガールを狙う理由。

 

長々と書きましたが、自分の中に「なぜ総選挙に取り組むのか」「なぜ十時愛梨をシンデレラガールにしたいのか」「どういう風に他人に投票を呼びかけるか」を、しっかりイメージすることは、とても大切だと思います。ここで私が書いた中で、いくつかを自分のモチベーションにする、というのもアリですし、もしくは自分でオリジナルを考える、というのもアリです。どういう形であれ、自分の中に「答え」を持ってみるのをオススメしたいと思います。

 

なんか偉そうなことを言ってしまいましたが、正直なところ、自分も手探りですので、愛梨Pらしく「みんなで一緒に」頑張りたいです!

よろしくです。

Youtube プリンセスバニーとふわふわメイド

色々なメディアで愛梨を語っていきたいと思ってまして、その一環としてYoutubeでも喋ってます。
今回はプリンセスバニーとふわふわメイドのエピソードについて。

https://youtu.be/Brt_N6iIX9g

【モバマス実況】モバマスの十時愛梨を考える

Memo:「空想旅行」とは何だったのか ~第39回アイロワの考察~

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さあ、この列車の行き先は?

 

第39回アイドルLIVEロワイヤルでちょっとした出来事がありました。

対戦相手として「序章/Little Devil」(白坂小梅、遊佐こずえ)と「空想旅行~序章~」(八神マキノ、長富蓮実)というユニットが初日に登場したのですが、これが第二章、第三章、そして終章と4部構成のサイドストーリーを織り成していたことが判明していったのです。

具体的には以下の組み合わせでした。

序章/Little Devil

白坂小梅、遊佐こずえ

空想旅行~序章~

八神マキノ、長富蓮実

二章/Dark Magic

藤忍、榊原里美、兵藤レナ

空想旅行~二章~

喜多見柚、長富蓮実

三章/Hide & Seek

衛藤美紗希、有浦柑奈、涼宮星花

空想旅行~三章~

十時愛梨、長富蓮実

終章/Endless Story

白坂小梅、長富蓮実

空想旅行~終章~

八神マキノ、喜多見柚、十時愛梨

 

左側は白坂小梅から始まるストーリー、右側は長富蓮実が旅をするストーリーと言うことができます。ここでは仮にストーリーAとストーリーBと呼ぶことにしましょう。そして終章で小梅と蓮実が巡り合うことで、ストーリーAとBが1つになる、という大きな流れがあることがわかります。

 

 

・ストーリーBとは何か

先にストーリーBについて考えたいと思います。

 

ストーリーBの主人公である蓮実の発言に注目すると「汽車」「駅」「旅」といった単語が登場することに気が付きます。それもそのはず。今回登場した蓮実の衣装は[夜空に祈りを]長富蓮実+という、銀河鉄道をイメージしたカードのものだからです。

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そしてもう一つ注目すべきは、蓮実と共演した八神マキノ、喜多見柚、そして十時愛梨の発言です。

マキノ「あら、迷い込んでしまったのね。私たちの、或る物語の世界に…」

柚「黒魔術の道へ誘惑しようとする魔女たち、その結果や、いかに!?」

愛梨「う~ん、ホントにただの夢なんでしょうか~?油断は禁物ですよ♪」

 

この三人の発言に共通するのは、自分たちの居る世界が物語の世界だと認識した上で干渉しない、という点です。そしてその答えは終章でマキノが明かしています。

 

マキノ「私たちは語り部に過ぎない。どう帰結するかは、あのヒト次第ね」

 

つまり、ストーリーBは、語り部たちと蓮実が物語を傍観するストーリーだと言えます。

 

 

語り部たちに注目すると

ではここで、語り部たちに注目してみましょう。

まずマキノ。諜報活動をしている、という本人の特徴もマッチしていますが、今回登場した[光と共に]というカードがトークバトルショーの上位報酬として登場したものであり、「語らいましょう。夜は長いわ」なんてセリフもあることも踏まえると、まさに語り手としてうってつけのチョイスだと言えます。

 

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次に愛梨は[ほのぼの花歌]。こちらは手に巻物を持っていて「昔の人が綴ってきた想いが、たくさん詰まってるんですね。私、大切に読みます。」なんてことも言っていました。これもまさに語り部ですよね。

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さて、柚はどうでしょうか。この柚は「LIVEツアーカーニバル 人魚公演 南海のファンタジア」の上位報酬として登場した、人魚を演じている時のものです。

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演じている時の…と書くと「語り部」では無いように思えますが、「人魚公演」の内容を思い出してみると「島に住む神官と海に住む人魚が、人間と人魚の壁を乗り越えて協力して苦難に立ち向かい世界は救われ、人間と人魚は共生するようになりました」という物語でした。しかし、人魚より寿命が短い人間である神官は先立ってしまい、ユズは浜辺で神官のいた日々を思い返すのでした…という構成になっていました。

そう、人魚ユズは、神官との思い出を語り継ぐ「語り部なのです。

 

 

・ストーリーAの正体

さて、人魚公演で神官を演じていた榊原里美は、ストーリーAで工藤忍と兵藤レナが扮する魔女が住む館に迷い込んでいます。それを見守る柚と蓮実のやりとりが、ゲストLIVEとして登場したときの以下の会話になる、というカラクリです。

 

蓮実「ここが、次の駅…。どんな物語が待ち受けているのでしょう?」

柚「おっ!ナイスタイミング♪ちょうど今、面白いことが起きてるんだ!」

 

つまり、ストーリーA-2は、ストーリーB-2で柚と蓮実が眺めている物語の中身になっているわけです。メタ的な視点に立つと、第二章はストーリーAとストーリーBの関係性を我々に示すための章だとも言えます。

 

 

さて、そうするとストーリーA-3も同様に、ストーリーB-3で愛梨と蓮実が眺めている物語の内容だということになります。ここで登場したのは[ラビングヴィラン]有浦柑奈[小悪魔お嬢様]涼宮星花、そして[フェミニンチアー]衛藤美紗希です。

ストーリーA-3の話の流れは、A-2ほどには明瞭には描かれていませんが、「美紗希が目覚めたら柑奈と星花がいた(ゲストLIVE発生時)。導かれるままに付いて行って(対戦時)、夜に染まれば何も怖くない、と思ったりもした(LOSE時)が、「よくわかんないけど…あたし、行けないかなぁって」と言ったところ柑奈に「ムダですよ。あのヒトからは逃れられません。そう、私たちも…」と言われた(WIN時)」ということがわかります。

 

要約してみましたが、さっぱりわからないと思います。愛梨もこんなことを言ってましたし。

 

愛梨「この物語が、あなたに何を伝えたいのか、伝えたくないのか」

蓮実「難しいです…けれど、惑わされません。しっかり見極めます…!」

 

ちなみに[ラビングヴィラン]有浦柑奈のカードに「…聴こえますか?ヴァンパイアの目覚めの歌が。ダメ…声を出したら見つかりますよ」というセリフがありますが、今回の柑奈の「しー…。墓守に見つかってしまわないよう、慎重に行きましょう」とか、星花の「あのヒトに見つかる前に、こちらへ…」というセリフとリンクしているようです。

とすると、[ラビングヴィラン]有浦柑奈の「声を出したら見つかりますよ」の続き、「仲間にされてしまわないよう…今はただ、私に魅了されてください。」という部分がヒントなのかも知れません。ヴァンパイアのような存在がいて、それから逃れるように、柑奈は美紗希の手を引いた。でも、柑奈は柑奈で、美紗希に自分と同じく「夜に染まる」ようにさせたので、美紗希は拒んだ、という流れと解せます。

 

さあ、この ヴァンパイアのような存在とは何なんでしょうか。

その手がかりを求めて、敢えて始発駅に戻ってみたいと思います。

 

そう、長富蓮実が「銀河鉄道」に乗った、という点です。

 

 

・ストーリーBの正体

銀河鉄道」といえば何を思い出しますか?

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜、そして松本零士の「銀河鉄道999がありますよね。

 

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」では、ジョバンニとカムパネルラが、気づいた時には銀河を走る汽車に乗っていた、という旅の始まり方をしています。そして停車時間で降りた駅で出会った人や、汽車に乗り込んできた人たちとの会話を交えながら、汽車は天上に向かっていることが明かされます。*1そして、天上へ向かう人達が降りたあと、汽車にはジョバンニとカムパネルラだけが残り、会話を幾つか交わした後、ジョバンニが目覚めます。自分は夢の中にあったこと、そしてカムパネルラは川で溺れて死んでいたことを知るのです。

一方、松本零士の「銀河鉄道999」は、裕福な人間など特権層が自身の体を機械化することで永遠の命を手に入れ、一方、生身の人間は機械化人に虐げられる、といった時代を描いたSF作品です。物語は星野鉄郎の母親が機械化人に殺され、その直後に鉄郎がメーテルに出会うところから始まります。*2初めは母を殺した機械化人への復讐心と、母が遺した、銀河鉄道に乗って終着駅で機械の体を手に入れなさい、という遺言のために999に乗り込んだ鉄郎でしたが、999が途中で立ち寄る星での出会いと別れと通して成長し、終着駅の手前では、機械の体を拒否し生身の人間でいることを選びます。

 

さて、今回の蓮実の辿った物語は、宮沢賢治銀河鉄道のような始まり方をしていました。しかし、一方で宮沢賢治銀河鉄道は終着駅はありませんでしたが、蓮実は終着駅へと向かっていることが、第三章の愛梨との会話から伺えます。

 

蓮実「答えは、終着駅に…?」

愛梨「物語が終わる、その時に…」

 

松本零士の「銀河鉄道999」では、鉄郎は終着駅に着けば「機械の体を手に入れられる」と言われていたのですが、そこには実は機械化帝国の中枢があり、銀河鉄道は機械化帝国を維持するために必要な生贄を連れて越させるための列車だったのです。

銀河鉄道999」は、原作の漫画とアニメとで設定が異なりますが、漫画では機械人間に必要なエネルギー源は、生身の人間から抜き取った魂、命の火だとされていました。そして鉄郎は、命の火からエネルギーを取り出す装置の部品にされるために、999で連れてこられた、という展開でした。

 

さて、「命の火」という単語が出てきましたが、どこかで見覚えはないでしょうか。

 

 

いらっしゃい…外は、寒かったでしょう…?
でも…もう、大丈夫。じきに…寒さも、辛さも…何も、感じなくなるから…。

あなたの魂はね、ここで…
孤独を照らす、燈火になって…燃え続けるよ

 

そう、デッドリーチェイス白坂小梅です。これで話が繋がりました。つまり、空想旅行の列車から長富蓮実が見届けてきた光景は、人々が集められて小梅のコレクションとして並べられていく、その過程だったのではないでしょうか。

 

 

・小梅は何をしようとしていたのか

それでは、小梅のコレクションの正体は何だったのでしょうか。

 

マキノ「結局、こうなってしまうのね。物語を膨らませすぎじゃない?」

柚「うーん。確かに、あのヒト、誰でも引きずり込んじゃうもんね〜」

 

柚「物語の住人になっちゃった子たち、そろそろ全部忘れたかな?」

マキノ「もう忘れたでしょうね。あの可憐な旅人さんも、きっとすぐに…」

 

終章での語り部たちの会話から推測するに、これは「銀河鉄道の夜」にも「銀河鉄道999」にもないオリジナルの要素のようです。小梅の元に集まっていたのは、「物語」だったのです。

そして物語に引きずり込まれたのは、神官サトミのような物語の登場人物だったかもしれませんし、物語の登場人物ではない生身の人間も含まれていたのかも知れません。ただ、確かなのは、ここでの小梅はデッドリーチェイス白坂小梅]と同様に、孤独だったということです。

 

愛梨「おトモダチがいっぱいいれば、寂しくないですもんね〜。ふふっ♪」

柚「気持ち、わかるよ!忘れ去られた物語なんて、悲しすぎるもん!」

 

もしかすると、この物語での小梅は、忘れ去られた物語の主人公で、その孤独を埋めるために、他の物語の登場人物たちを自分の物語へと引きずり込んでいたのかも知れません。

 

 

・長富蓮実の旅立ち

さて、物語のアウトラインが掴めたところで、終章の小梅と蓮実のやり取りを見てみましょう。

 

ゲストLIVE発生時

蓮実「あなた、以前もどこかで…?あれ、あれは…どこだったっけ…?」

小梅「ふふ、馴染んできたね…。大丈夫、あなたの居場所は、ここだよ…」

対戦時

蓮実「でも、汽車の時間が…」

小梅「まだ、完全じゃない…か」

 

終章でも蓮実は物語に取り込まれず、旅、つまり自分の物語を続けようとします。終章のタイトルは「Endless Story」、永遠の物語です。しかし、小梅は「永遠を知ったら壊れてしまう」と言います。もしかすると、小梅は物語の中での自身の孤独を踏まえて発言しているのかも知れません。

 

DRAW時

蓮実「長い長い物語…ラストページには、色あせた押し花を飾りましょう」

小梅「最後は…今はまだ、ヒミツ。永遠を知ったら、壊れてしまうから…」

WIN時

蓮実「夢の続きを見させて…。だって、私…このままは帰れないの…」

小梅「うん…帰れないよ。続きは、一緒に紡ごう…ずーっと、一緒に…」

 

ところでこの会話、蓮実の発言は「色あせた押し花(続・赤いスイートピー)」、「夢の続きを見させて(夢の続きを見させて)」、「このままは帰れないの(赤いスイートピー)」と、松田聖子の曲の歌詞のオンパレードになっています。*3

それはもちろん、長富蓮実が渚のバルコニー赤いスイートピーを抱えてたような人だからなのですが、第三章までは語り部との会話が成立していたのに、終章で急に小梅との会話がすれ違っています。これは、もしかすると蓮実が終章で蓮実らしいセリフを連発したのは、蓮実が小梅の物語に組み込まれることを拒んで、蓮実自身の物語を続けていくことの暗示なのかもしれません。

「長富蓮実 バルコニー」の画像検索結果"

 

余談ですが、このストーリーの外での長富蓮実本人は「昭和のアイドル」という文脈に深く関わっているアイドルです。生身の人間がやっていたはずのアイドルが、本人は引退しても語り手によって永遠に語り継がれる伝説になる…と考えると、今回のロワのストーリーAと同じ構図だと思います。そして、それをストーリーBのごとく眺めてきたのが蓮実本人と重なるようにも思います。

しかし、アイドルとしての蓮実自身は「昭和のアイドル」のコピーではなく、あくまで、今の時代のアイドルとして生きていく意思があります。[夜空に祈りを]の一つ手前、デイトレスピース]では「昔と今が出会って、恋して、新しい夢が生まれる…素敵ですね♪」とか「戻らず、受け継ぎたいんです!」といった発言があるのが、その証拠でしょう。

 

 

というわけで、[夜空に祈りを]長富蓮実と[デッドリーチェイス白坂小梅が出会ったからこそ生まれた物語。それが「空想旅行」だったのです。

いやもうこれ、LIVEツアーカーニバルで公演をやってもよかったんじゃないかな。モバマスのライターさん、すげえわ。

 

 

・余談:十時愛梨は永遠を目指している件

さて、今回登場した愛梨の[ほのぼの花歌]については以前解説していますが、そこで「永遠」がテーマだと書きました。奇しくも、「空想旅行」のテーマでしたよね。永遠に愛されるアイドルになった時、十時愛梨本人はどうなっているのか…ちょっと想像してみると面白いですよね。

think-airi.hateblo.jp

 そして、一つ前の世代の「伝説のアイドル」を語り継ぐ存在でもあり、今を生きるアイドルでもある長富蓮実と、十時愛梨が共演できたことは、すばらしい機会だったんじゃないか、と思います。

 

十時愛梨を、時を越えて愛されるアイドルに、したいなぁ。

*1:ちなみに、途中で汽車に乗り込んだ人物の中に「かおる子」という少女がいる。もしかすると、龍崎薫が主役のロワで空想旅行のストーリーが展開されたのは、「銀河鉄道の夜」の「かおる子」が影響しているのかも知れない。いや、そこまで考えてライターさんが脚本書いてたら怖すぎるぞ…

*2:ちなみに、メーテルが使った偽名に「星野芽衣子」という名前がある。これが並木芽衣子の名前の由来だと噂されている。

*3:ちなみに、「赤いスイートピー」と「続・赤いスイートピー」の歌詞を引いているのは、両曲が駅を舞台にした歌だという点も影響している気がする。

Memo 十時愛梨の謎を思いつくままに挙げてみる 2020-01-25

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以前に黒埼ちとせで似たような話( 黒埼ちとせが、わからない。 - think Airi project )を書いたことがあったんですが、そういえば十時愛梨で書いてなかったな、と思って。

 

というわけでさっそく、わからないリスト。

 

1.そもそも何でツインテールなのか

十時愛梨と言えばツインテール。でもツインテールにしている理由って語られてないんですよね。そのせいか、ツインテールを解いた理由もわかっていません。例えば、デレステの[エレガンス・プラス]では「帽子、似合ってますか?」と帽子を気にしていたのに、髪型に関しては何も言っていません。

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2.どのようにケーキを作っているのか

十時愛梨の趣味は「ケーキ作り」。ですが、ケーキを作っている最中が描かれたカードはありません(=Pにケーキを作っている様子を見せたことはありません)。手にしているのは常に完成したケーキなんです。

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敢えて言うならSweet Witches' Nightのコミュの冒頭で、かな子と乃々が見ているところでアップルパイを作って「手際が良い」「しぐさが可愛い」と言われて「順番を守るのがコツ」と返していますが、意外とあっさり終わってしまうシーンです。

でも、オーディションのときには、力いっぱい混ぜておいしくなーれって混ぜるとか言ってて割と力技な感じ。結局、愛梨がどうやってケーキを作っているのか謎。

 

 

3.ブレザーだったのか、セーラーだったのか

十時愛梨は女子大生。ですが、高校時代にブレザーだったのか、セーラーだったのか謎です。というか、高校時代のことがさっぱりわかりません

このことはいろいろな疑問の原因になっています。例えば「キャンパスでは、常に、女友達が一緒らしい」ことは判明していますが、じゃあ高校時代はどうやって生きてきたんだ、とか。

また、大学進学の際に上京してきたわけですが、なんで東京の大学を選んだんでしょうか。なまはげをやったことがあったりするので、地元が嫌で飛び出した、とかでは無さそうですが。

 

 

このほか、意外とメンタルが強くて勝負強かったりとか、アドリブに強かったりするという話もあるんですが、そのあたりも後々書ければと思います。