Think Airi 022 世界よ、これがスウィートラヴァーズだ
今回は三村かな子と十時愛梨のユニット、「スウィートラヴァーズ」について考えてみます。
2人の掛け合いについて
モバマスでは「アイドルトーク」が発生する組み合わせとなっており、編成に2人を加えていると、上のような掛け合いを見ることができます。
愛梨が18歳の大学生、かな子が17歳の高校生ですが、かな子が愛梨に話しかけるときは「だよ」になることが多く、一方、愛梨はよほど歳が離れていない限り「です/ます調」で語りかけることが多いので、愛梨からかな子へは概ね「です/ます調」になっているのが2人の会話の特徴になっています。
ちなみに愛梨は身長161cm、かな子は153cmで、意外に身長差があるユニットでもあります。
初登場は「第2回アイドルLIVEロワイヤル」
2013年12月に開催された同イベントにて初登場。3日目と7日目(最終日)のスペシャルゲストLIVEユニットを務めていますが、3日目はかな子が、7日目は愛梨が喋る形式で互いの掛け合いはありませんでした。ちなみに衣装はかな子が[メルティスイート]、愛梨が[スイートバレンタイン]です。
その後、長らく音沙汰が無かったのですが、2018年2月の「第35回ドリームLIVEフェスティバル 節分SP」にて6日目のスペシャルユニットとして再登場。*1衣装はかな子が[クリーミィトライフル]、愛梨が[ほろふわシフォン]でした。
かな子:みなさんっ、とっても甘くて温かなひとときはいかがですか?
愛梨:まだまだ寒いですっ!一緒に心の芯からぽかぽかしましょう♪
3度めの登場は2018年5月の「第29回アイドルLIVEロワイヤル」の4日目。スペシャルゲストLIVEユニット「スウィートラヴァーズの極上バスタイム」として、温泉からの中継での参戦を果たしました。
愛梨:みなさ~ん、聞こえますか?私たち、温泉に来ています~♪
かな子:今日は特別にお風呂から、極楽気分の歌声をお届けしますね♪
衣装(?)は[桜色の華姫]の特訓前と[はずむ花の湯]の特訓前。2人のバスタオルの柄がそれぞれ、かな子の「髪飾りの花」と愛梨の「ペンダントのハート」をあしらっている点がポイントです。
ちなみに、こんな掛け合いも。
愛梨:温泉で歌うと気持ちよくて…それにとっても暑くなりますね~
かな子:た、タオル取っちゃダメですよ?ホントに最後の砦ですから!
そして4度目の登場が、2019年7月の「第36回 アイドルLIVEロワイヤル」で、4日目のゲストユニット1枠目で登場しました。かな子が[桜色の華姫]の特訓後、愛梨が[ほのぼの花歌]と、和風の衣装が選ばれています。
かな子:夏はお祭りの季節です。和風テイストなステージはいかがでしょう?
愛梨:ほっこり甘いステージで、優しい気分になってくださいね♪
なお、「夏」という口上での登場ですが、それぞれの衣装の初出は、かな子は秋、愛梨は春で、両者とも季節が異なっています。
ちなみに今回は客席に向かって呼びかける場面よりも、二人の間での掛け合いが増えています。
愛梨:ふ~…やっぱり着物は暑~いっ。かな子ちゃん、どうしよう?
かな子:楽屋まで我慢だよ、愛梨ちゃん!冷たいドリンク飲んで、ほらっ
愛梨:あとで和菓子パーティーしましょう!オススメの寒天があるんです♪
かな子:いいですね!愛梨ちゃんのオススメなら、絶対おいしいですから♪
以上、モバマスでは4度、ユニットとして登場しています。 この2,3年、モバマスでは古参のユニットが登場する機会が増えていますが、スウィートラヴァーズもその流れを受けて、2018年以降に登場頻度が上がっています。
なお、各登場時の衣装をまとめると以下のとおりです。
三村かな子 | 十時愛梨 | |
2013年12月 | メルティスイート 2013年2月 |
スイートバレンタイン 2012年2月 |
2018年2月 | クリーミィトライフル 2015年6月 |
ほろふわシフォン 2017年10月 |
2018年5月 | 桜色の華姫 2014年10月末 |
はずむ花の湯 2018年3月 |
2019年7月 | 桜色の華姫 2014年10月末 |
ほのぼの花歌 2019年3月末 |
表としてまとめると気づくのが、2018年以降の3度の登場では、愛梨は最新の衣装が選ばれているという点です。特に3回目と4回目では、かな子と同じコンセプトの衣装が愛梨に登場したのを見計らったかのような登場をしており、2人の衣装に統一感をもたせようという意図が垣間見えます。
ちなみに愛梨が着ていてかな子が着ていない衣装としては、クリスマスのサンタ衣装など、かな子が着ていて愛梨が着ていない衣装としてはウエディングドレスなどがあります。次の登場時にどのような衣装を着るのかも注目です。
意外な共通点 -ユニットのリーダーとして-
スウィートラヴァーズ以外での活躍も多い二人ですが、デレステに「パステルピンクな恋」と「絶対特権主張しますっ!」が実装された際には、それぞれのユニットでリーダーを務めています。ですが、その経緯やリーダーとしての行動を見ると面白い違いが見受けられます。
三村かな子が「サクヤヒメ」のリーダーになったのは、小早川紗枝が「魔法に掛かったら強いから」という理由で推薦したため。この推薦理由については改めて後述しますが、紗枝はんの見込んだ通り、かな子はリーダーとしてライブの成功に向けて張り切るのでした。
ところで、スケジュール調整などの根回しに奮迅する姿、そして、誰かの役に立てて嬉しいと語る様子は「縁の下の力持ち」というべきですが、実はこの表現は三村かな子を演じる大坪氏がかな子を指して度々口にしていたキーワードでもあります。
ちなみに「縁の下の力持ち」であることと引き換えに、かつては主役を務める場面が少なかったかな子ですが、2017年8月末には「アイドルプロデュース 夏島☆シーサイドLIVE!!」にて「妖精の女王」役(ゲーム内ではイベント上位報酬)を射止め、またその先月には大坪氏が5thライブツアー福岡公演でセンターを務め、「主役としての三村かな子」が2017年夏に鮮明に打ち出されました。その後もクレープアイチャレ、バレンタインTBSなどの活躍を見せています。
一方、十時愛梨がゼッケンズのリーダーになったのは自らの立候補によるものでした。そしてリーダーとして初めてとった行動は「まず仲良くなる」と言い出したこと。その方針通りにボウリング場へと繰り出し、レッスン前に毎回ボウリングをするユニットになりました。
遊んでるだけにも見えますが、コミュを追いかけると、レッスンより先にチーム作りに取り組んだことが良い影響を及ぼしていることが各所で読み取れます。最も顕著なのが星輝子でしょうか。「ぼっち」であることに負い目を感じていた彼女は、愛梨の言葉で「ぼっちじゃなくて仲間がいる」という意識を強めていく様子がコミュを通して描かれていました。後に、輝子が同年代の「仲間」と3人でIndividualsとして舞台に立ったことは多くの方が知るところかと思います。
ただ、ユニットの結束が強まった点は愛梨本人に深い打算があったわけではなく、自然と結果が出ていた点が愛梨らしいところです。
また輝子に語る中で愛梨本人からリーダーに立候補した理由も明かされています。その理由は、頼るだけなじゃくて、自分も頑張りたいから、というものでした。これは[絶対特権主張しますっ!]十時愛梨の特訓エピソードコミュでも語られていますが、アイドルは甘やかされるだけじゃなくて、ファンを甘い気持ちにさせてあげないといけない、という愛梨の考えとも繋がるところかと思います。「愛されるプリンセス*2」だけじゃなく「ご奉仕するメイド*3」も似合うアイドル、十時愛梨らしいところではないでしょうか。
2人にとっての「スイーツ」とは
2人のユニット名「スウィートラヴァーズ」。
その名の通り、2人の共通点はスイーツにあります。 ただそれだけではなく、2人のスイーツと向き合う姿も似通っています。そう、食べてくれる人の喜ぶところを見るためにスイーツを作る、という点です。スウィートラヴァーズとして登場したときにも、この点はよく現れていて、LIVEバトルのコメントでも勝ち負けより客席や相手に幸せな気持ちになってもらいたい、という2人の思いが垣間見えるものとなっていました。
一方、2人には大きな違いもあります。それがよく現れているのがSweet Witches’ Nightのコミュです。このコミュではメンバーそれぞれが「オリジナルのスイーツを考案する」というストーリーが展開されますが、ここで愛梨は「アップルパイの魔女っ子」という前提で話が進みます。一方のかな子はどのスイーツを作るのか悩む、という点がテーマになっています。
確かに振り返ってみると、かな子のソロ曲は「ショコラ・ティアラ」、アニメで話題になったのは「マシュマロキャッチ」、バレンタイン企画でコラボしたのは「ブルーミッシュのマカロン」…と、かな子は特定のお菓子に偏ることなく、様々なスイーツと縁があります。Sweet Witches’ Nightコミュでは、かな子は相手に合わせてお菓子を作ってきてくれる、と法子や雫が言っていますが、相手や状況に合わせて動いていく点は、かな子の行動パターンの特徴でもあります。
ちなみに、愛梨の「アップルパイ」への思い入れは随所に現れています。例えば2017年の誕生日コメントでは「プロデューサーと一緒に食べたいケーキ」の一つとして言及されていましたし、2018年のホワイトデー企画*4でも「思い出いっぱいのアップルパイ」と言っていました。
さて、かな子との対比で考えてみると、愛梨は割と自己主張をしていて、そして譲らないときが多々あることに気づきます。顕著なのは「デレステのコミュ4」です。
そして完成したアップルパイは刺激的なフレーバーが効いた「不思議なパイ」と表現されていますが、「刺激的な自分になりたい」という点は[パンプキンパーティー]のコミュで語られていたところですし、そして「アップルパイ」であることは変えずに「フレーバーを加える」という点は、実は十時愛梨であることを変えずに新しい味をプラスした[エレガンス・プラス]のテーマでもあります。
なお、余談ですが、かな子も愛梨もCDのジャケットでは曲名に関係なく2人とも「いちごケーキ」を手にしています。
二人にとっての「シンデレラ」
・「普通」と「魔法」の三村かな子
さて、パステルピンクコミュで紗枝はんが口にしていた「魔法」という単語は、三村かな子というアイドルを語る上で欠かせないキーワードでもあります。例えば初期N+でも次のような発言があります。
すごいすごいっ、これが私ですか!?まるで魔法で変身したみたいっ!
こんな可愛い服私が着てもいいんですか?!
あのっ、Pさん、私ちょっとは可愛くなれました…?
私を変身させてくれた素敵な魔法…。
もしかして今度は「Pさんをもっと好きになる魔法」とか、
使いました?
かな子がモバマスで過去21回登場した中で、「魔法」という言葉を口にしなかったのは[キャンディアイランド]と[包み込む幸せ]の2回のみ。デレステでも[ドルチェ・クラシカ]を除くSSR3種とイベントSR2種で登場しており、三村かな子を語る上で「魔法」という言葉が欠かせないことが、数字の上でもわかるかと思います。
では、なぜ彼女が「魔法」という言葉を口にするのかと言えば、初期Nで本人が言っていたとおり「なんの取り柄もない普通の子」という自己認識だったことが影響しています。「普通の女の子」だった自分に様々なものを与えてくれたことが「魔法」であり、プロデューサーは「魔法使い」だというわけです。
この構図、まさしくドレスを与えられて舞踏会へ出かけた「シンデレラ」ですよね。
・「君となら私はプリンセス」の十時愛梨
三村かな子の初期N+の発言を見たので、同じタイミングで愛梨が何を言っていたか思い出しておきたいと思います。
プロデューサー!私分かりました!
私がトップアイドルになれば プロデューサーはトッププロデューサーになって、
それでえーっと私がトップになって、
アレ、どうするんでしたっけ?とりあえず、トップが目標です!
Pさん、あのPと一緒に居ればトップアイドルになれると思うんですけど、
ずっと一緒にいてもいいですか?
衣装に着た感想やアイドルになったことへの思いではなく、いきなり「トップアイドル」への思いを口にしています。その経緯は明言されていませんが、右も左もわからずアイドルになった自分に色々と教えてくれたPへ恩返しできることが何かを考えた、愛梨なりの答え、だとも言えます。
さて、プロデューサーと一緒にトップを目指す、プロデューサーと一緒なら輝ける、という愛梨の気持ちは、「アップルパイ・プリンセス」の「君となら そう 私はプリンセス」という箇所にも表現されています。言い換えれば、「シンデレラ」の登場人物でいえば「プリンセス」の横に並び立つ「王子様」がプロデューサーに当てはまるわけです。*5
つまり、十時愛梨とって「魔法使い」は勝手にアイドルのオーディションに応募した友人であり、「舞踏会」はオーディションであり、そこで手を引いてくれた「王子様」がプロデューサー。「王子様」が隣りにいるから「私はプリンセス」。これが十時愛梨にとっての「シンデレラ」なのかな、と思います。
まとめ
スイーツアイドルとして括られることが多い2人。それだけに2人の「違い」が言及される機会が少ないのも現状かと思いますし、私自身もかなり悩みながら書きました。この記事が、三村かな子と十時愛梨2人への理解を深めていくきっかけになれば幸いです。
余談:私自身、愛梨Pでありかな子Pでもあるのですが、かな子Pは本当にスイーツを食べるのが好きな人が多い印象があって、ライブ現地でもかな子Pは名刺よりお土産のスイーツ交換のほうが多いイメージ。一方、愛梨Pはそこまでスイーツ食べない人が多そうで、かな子Pと愛梨Pでは「スイーツ」というものの位置づけが違うのかもしれない、と思ったり。