think Airi project

十時愛梨を考えるブログ。




【デレステ】十時愛梨は、底知れない ~パンプキンパーティー その特異性について~

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今回は [パンプキンパーティー] について語ろうと思います。デレステでは1番目のSSRですが、モバマスからの十時愛梨の中では特殊な立ち位置にあります。詳しく見ていきましょう。

  

 

Introduction:[アニバーサリープリンセス]との衣装の類似性

[パンプキンパーティー]の衣装は、背中が開き、おへそも出て、さらにスカートの丈も短い!と、とにかく布面積が少ないのが特徴です。一方で、胸元やヘッドアクセサリーは[アニバーサリープリンセス]を意識している部分も見られ、過去からの流れも感じられる衣装になっています。

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ところで、[アニバーサリープリンセス]といえば、恒常SSRカップオブラブ]も同じく[アニバーサリープリンセス]の流れを汲んでいます。

ひとつの衣装をベースに生まれた[パンプキンパーティー]と[カップオブラブ]。この2つの衣装について考えると、十時愛梨のひとつの魅力が浮かび上がってきます。

ひとつずつ、順を追って見ていきましょう。

 

 

1-1:他3つのSSRでは語りきれない十時愛梨

十時愛梨には4つのSSRがあります。

恒常のSSRカップオブラブ]のテーマは愛されるプリンセス。家族に愛されて育った少女が、ファンに愛されて輝くアイドルになった…という、十時愛梨のシンデレラストーリーを表しています。 

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フェス限SSR[プライベート・メイド]はご主人さまにお仕えするメイド。プリンセスに対してメイドはお仕えする側ですが、それでもメイド服が似合うのは、十時愛梨がファンに愛される一方ではなく、ファンを愛し、ファンのために尽くすアイドルでもあることを示しているのです。 think-airi.hateblo.jp

 

そして、もう1枚の恒常SSR[エレガンス・プラス]はファッションモデルに挑戦した姿。ツインテールを解きつつ、胸元にはお馴染みのハート型のネックレスが光る様子は、新しい装いの中にも、ファンをまっすぐに愛し、アイドルとしての高みを目指していく「変わらないハート」を胸に進化し続ける十時愛梨を魅せてくれました。 

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この3つのSSRから見ると、十時愛梨は「ファンに愛され、ファンを愛し、進化し続けるアイドル」だと言えます。アイドルとして優等生なように思えます。

 

 

でも、十時愛梨って、それだけでしょうか。

 

 

モバマスを振り返ってみると、[スイートバレンタイン]では「配るのはケーキにしましょうよー」と駄々をこねてみたり、「海の家アイプロ」では「私に隠れてアイスとか食べてませんでした?ずるいですっ!」と怒ってみたり、[ほのぼの花歌]では和歌っぽいものを詠んでみたりしています。十時愛梨って、従順で聞き分けが良い単純な子、ではなくて、意外とフリーダムなんですよね。

 

実は、十時愛梨のトリッキーな一面が色濃く出ているのが[パンプキンパーティー]なのです。

 

 

1-2:ハロウィンがモチーフ

十時愛梨が秋に登場するのは[スウィートトゥスウィート]で焼き芋をして以来で、ハロウィンがモチーフのお仕事はモバマスから通しても[パンプキンパーティー]が初めてのことです。

特訓後は非常に艶めかしい雰囲気で、これまでの愛梨とは一味違った一面が現れています。顔がどことなくジャック・オ・ランタンっぽくなっていますが、よく見ると、ちょろっと舌を出していることがわかります。

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ところで、特訓エピソードでは「いつも、いたずらをされる側ばかりなので、いたずらをしてみたい」という愛梨の想いが語られています。

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やってみたかったけれども出来なかったこと、といえば「海の家アイプロ」でも海の家の看板娘という仕事についても、「アルバイトとか、あんまりやらせてもらえなかった」「周りのお友達に、「愛梨ちゃんは座ってるだけでいいから」って言われて」といった発言をしていました。また、[いっしょにえいっ!]のエピソードコミュでは、スポーツをするとドジで大変なことになることが多い、と語りつつ「普段は見学が多いんですけど、身体を動かすの自体は好きなんですよっ!」とも言っていました。

これらに関しては、周りに止めらたり気を遣われたり、自重して出来なかったということで、ハロウィンのそれとは経緯が異なります。しかし、色々なものに対して興味を示しているところや、見ているだけだったものに対して楽しそうに取り組む愛梨の姿は[パンプキンパーティー]に通じる部分があります。

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1-3:[パンプキンパーティー]は「魔女」なのか?

さて、 ハロウィンのいたずらをやると決めた愛梨ですが、何をするか、という話になって選んだのが「魔女」でした。

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でも、なぜ魔女なんでしょうか。なまはげをやってみても怖がられないからモンスターは無理、というところまでは理路整然としていますが、その次の瞬間に「魔女っ娘ならできますっ」という結論まで一気に飛んでいます。

 

そして最大の謎は衣装です。

 

魔女、といえば「黒い服」を着て「つばの広い帽子」を被っているのがステレオタイプなイメージかと思います。そう、翌年の佐久間まゆが着たような。

もしくは愛梨本人も2019年のエイプリルフールで着ていたマルーンの衣装のごとく、マントのようなデザインの衣装とか。

というか、特訓前にいるじゃないですか!

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一方、[パンプキンパーティー]で愛梨が着ている衣装は「ピンク」「オレンジ」「グリーン」の3色をベースとした、鮮やかな色合いになっています。そして、冒頭でも触れたとおり背中と腹部を大胆に見せるデザインとなっていて、ステレオタイプな魔女のイメージとはかけ離れているように見えます。

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それでありながら、愛梨本人は「魔女っぽいですね~」とも発言しています。

 

なぜ[パンプキンパーティー]は「魔女」なんでしょうか?

 

 

1-4:「ハロウィン衣装を着ている」のではない

その謎を解く鍵も、愛梨の発言に見出すことができます。

 

えへへっ、ここまで脱いでもおっけーなんて、さすが魔女っ娘ですねっ♪

 

この発言から推測するに、愛梨がイメージしている「魔女っ娘」の衣装は、少なくとも先述した「黒いマントにつばの広い帽子」というイメージとは全く異なっていることが伺えます。*1

 

ここで改めて愛梨の言動を振り返ってみると、一つの事実に気付きます。

実は、愛梨は「魔女の仮装をする」とも「魔女の衣装を着る」とも言っておらず、単に「魔女」になるとしか言っていないのです。

その目線で見返すと、「顔が真っ赤になっちゃうような、困ったイタズラしますよっ」とプロフィールコメントで発言している通り、衣装が「魔女」なのではなく、悪戯っぽい自身の言動を指して「魔女」だと言っているように思えます。

 

 

そして、衣装に関係なく言動が「魔女っぽい」のだとすると、[パンプキンパーティー]の衣装は「魔女」とか「ハロウィン」をイメージして起こされたデザインではないのかも知れません。*2

 

では、仮に[パンプキンパーティー]が「魔女」のだとしたら、この衣装はどこからやってきたのか。それは[アニバーサリープリンセス]です。[アニバーサリープリンセス]から布面積を減らす、言い換えれば「脱ぐ」ことで、[パンプキンパーティー]になる、と考えることができます。

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ここで、新たな疑問が浮かびます。

[パンプキンパーティー]の衣装は、なぜ露出度が高いのでしょうか。

 

 

1-5:「Strip or treat」

[パンプキンパーティー]でのLIVE開始前のセリフは2通りあります。

・「Strip or Treat? えへっ、間違えちゃった?

・「カボチャのお面を脱いで…っと。え~?もう出番?

 

どちらにも、「Strip/脱ぐ」という要素が入っています。

 

特に前者の「Strip or Treat?」については、特訓前のルームでも「お菓子くれないと、えーっと…あっ、脱いじゃいますよ」と類似の発言があります。これらを踏まえると、[パンプキンパーティー]においては、Trick」と「Strip」は同意義で扱われていると考えられます。

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ちなみに、実は愛梨が「服を脱ぐ」という動作でPを翻弄するのは初めてではありません。1stアニバアイプロでは「私もあっつくて…………脱ぎませんよっ! ひっかかったーっ!」とフェイントを掛けていました。

そして、この文脈に沿うと、衣装の露出度も「イタズラ」の一貫だと考えることができます。つまり、ちょっと目のやり場に困るような衣装で人を惑わす、それが魔女っぽい、という解釈です。

 

この仮説が正しければ、愛梨のスクショを眺めて鼻の下を伸ばしていた人は、完全に愛梨の策に嵌っていたのかも知れない、というわけですね。なんということだ。

 

 

…いや。本当にそうなのか?

 

 

1-6:十時愛梨は「あざとい」のか?

プロフィールコメントを見返すと、もうひとつの解が浮かび上がってきます。先述した箇所は、以下のような続きがあるのです。

あれ~、まだなんにもしてないのに、なんでみんな真っ赤に…?

この部分を見ると、衣装を着てファンの前に表れただけなのにファンが真っ赤になっているのは愛梨にとって意外なことだった、と読み取れます。*3とすると、愛梨はファンの反応を予想せずに、露出度の高い衣装を着ていた、ということになります。

 

では、意図的でないならば、なぜ衣装の露出度が上がっていたのか。

それは、やはり愛梨が暑がりだから、というところに理由を求めるべきでしょう。事実、特訓前には「このドレス、着るのも歩くのも大変で~…」と漏らしていたので、特訓後は涼しい衣装にしたがったのかもしれません。

 

「魔女っ娘だからおっけー」という発言も、「おっけー」って単語はあくまで許容のニュアンスなんですよね。もし「魔女だから人を惑わすために脱ぐ」という理屈だとしたら、「ここまで脱ぐなんて、さすが魔女っ娘」みたいな発言になるはずです。そうではなくて露出度が高いことを肯定するために、「魔女だから許される」と言い訳をしている、と考えれば、「おっけー」という単語のニュアンスも含めて辻褄は合います。

似たような発言としてはルームで「Pさんの物、いろいろ見ちゃお♪いたずらっ娘だしっ」というのもあります。ある意味で、「魔女」という単語を免罪符のように使っている訳です。

 

まとめると、「Strip or Treat?」や「お菓子くれないと、えーっと…あっ、脱いじゃいますよ」といった発言は愛梨本人の意図的なものだと思われますが、特訓後の衣装の露出度が高くなってファンを驚かせてしまったのは、愛梨の意図したところではなかった、と考えられます。

 

 

なお「脱ぐ」という単語は、このブログでも以前に触れましたが、十時愛梨というアイドルを語る上で重要なキーワードのひとつです。 

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アイドルである以上、自分が他人からどのように見られているか、メディアでどのように取り上げられているかは十時愛梨本人の耳にも入っていることでしょうし、愛梨本人が自分が「脱ぎキャラ」だと思われていることも自覚してるんだろうなぁ、と思われるような発言もエピソードコミュなどで見受けられます。

[パンプキンパーティー]の後には、イメージを逆手に取って「Pさんが着せてくれた星空のドレスは…脱ぎませんよ([空のおくりもの])」といった発言も出てきています。一方で、本当に暑くて脱いでいる場面も多々あり、全カードを概観してみても、「脱ぐ」というワードが「単に暑がりなだけ」という場合と、何か特殊な意味を持つ場合が混在していることがわかります。

 

すべてが「うっかり」というわけでもなく、しかし、すべてが計算された「あざとさ」でもない。意図と不意図と無意識が入り混じっていて、そして、その予測できない点が人の心を揺さぶり、自然と人を惹き付けてしまうのが十時愛梨なのです。

そして、従来のモバマスでは「十時愛梨ってそういう面もあるよね」という取り上げられ方だったのですが、[パンプキンパーティー]では、テーマの一つとして取り扱われて、鮮烈な印象を残しています。これこそが、[パンプキンパーティー]の特異的な点だと、私は思います。

 

 

 

2-1:ハロウィンの舞踏会

さて、特訓後のほうから話を進めてしまいましたが、ここからは特訓前について触れていきたいと思います。特訓前の舞台は「ハロウィンパーティー」。見渡す限りカボチャで溢れかえっていますし、愛梨のドレスにもジャック・オ・ランタンがアクセサリとして取り入れられています。まさにパンプキン一色。

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さて、ここで「シンデレラ」のあらすじを思い出すと、シンデレラが乗ってきた馬車って「かぼちゃ」でしたよね。そして、シンデレラが王子に出会ったのは、カボチャの馬車に乗って訪れた舞踏会でした。

ちょうど、親愛度MAX演出ではこのような発言をしています。

ほらっ、Pさん、下にカボチャの馬車が!
じつは私、あれに乗って、この会場に来たんです♪

えへへっ、まるでおとぎ話ですよねっ。

 

ハロウィンがテーマの限定ガシャで登場したSSRではありますが、特訓前は「舞踏会のシンデレラ」という面が強く出ているのが特徴です。

 

 

2-2:「シンデレラ」を打ち破っていくシンデレラ

ところで、先述の親愛度MAX演出の面白いところは後半です。

 

で、こうして、Pさんとお話して、12時の鐘がなったら…

えっと、どうするんでしたっけ?
忘れちゃいましたから、ずっといてもいいですよねっ。
終わらないハロウィンもいいかも♪

 

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シンデレラといえば、敢えて言うまでもなく「12時の鐘が鳴ったら帰らなければならない」という点が物語のキーポイントです。それを「忘れちゃいましたから」の一言で、しかも初代シンデレラガールでもある十時愛梨が、「シンデレラ」のお約束を無かったことにしてしまう大胆さが、このコミュの肝になっているわけです。

 

しかし、こういった言動も[パンプキンパーティー]が初めでではありません。例えば[スイートバレンタイン]では、撮影セットのお菓子のおうちが食べられないと知って「食べられるお菓子のおうちに変更しましょうよーっ!」と言っていますし、1st Anniversaryアイプロでは「今からおうちに帰るまで…私とPさんは…手をつなぎますっ! いいですよねっ?」だなんて言ってきたりもしています。

 

 

意外とわがままで、意外と強引なところも十時愛梨の魅力。

それが凝縮されているのが特訓前の親愛度MAX演出なのです。

 


2-3:「もう出番?」

さて、[パンプキンパーティー]でのLIVE開始前のセリフは2通りあることは先述した通りですが、先で触れなかった「カボチャのお面を脱いで…っと。え~?もう出番?」について取り上げておきたいと思います。

実はこの、「出番」というのも十時愛梨にとってはお馴染みの単語で、「脱ぐ」という単語とともに初期レアのころから度々登場していました。

次は誰の出番…私!? 十時愛梨

あ、衣装がズレ…で、出番!? シンデレラガール+

いらっしゃい…え、出番!? [ふわふわメイド

 

このように、何度も出番をトチっていた十時愛梨でしたが、ついに[シンデレラドリーム+]では「今度こそ…出番ですねっ!」と、バッチリ出番を決められるように、アイドルとして成長したのでした。

…と、思いきや、[夏のお届け]では「へ?店番の時間ですかっ?!」と言っていたので、やっぱり十時愛梨のドジは変わらないようです。

 

ところで、十時愛梨の言動には「意図と不意図と無意識が入り混じっている」と先述しましたが、「出番をトチる」のは意図しないドジに当てはまりますよね。

[パンプキンパーティー]では「Strip or treat」のような意図的な発言のインパクトが強く、ややもすれば「あざとい」という印象を与えてしまうところでしたが、そこに「出番」という要素を織り込むことで、十時愛梨はすべてが「うっかり」というわけでもなく、しかし、すべてが計算された「あざとさ」でもない、ということを表しているのかな、と思います。

 

 

3-1:「妖しさ」と十時愛梨

[パンプキンパーティー]の特訓後で艶めかしい雰囲気を醸し出した愛梨ですが、翌2017年1月末に「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」の歌唱メンバーに抜擢されます。

ところが、メルヘンチックな楽曲という触れ込みで登場したこの曲ですが、5月末に開催された5th Live「Serendipity Parade!!!」の石川公演で重大な事実が発覚します。

 

「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」はダークメルヘンだったのです。

 

そして、2017年8月。SSA公演Day1にて、さらなる事実が判明します。

 

法子:秘密の秘密のお話

乃々:キミに特別に教えましょう

かな子:おうちの中には入れても

愛梨:「そう、わかるでしょ」

雫:出口はないの

 

そう、この曲の肝とも言える「そう、わかるでしょ」というセリフ。

この部分の担当は、十時愛梨だったのです。

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このセリフ、ポイントなのは「わかるでしょ」と、こちらに状況を悟らせるところにあると思います。つまり、全くなにも知らない人に告げるのではなく、この家はひょっとして出られないんじゃないか、と感づいた人に事実を突きつける、ということです。

逃げようと思っても逃げられない。いやむしろ、逃げることができたとしても、逃げようだなんて思わなくなる。十時愛梨って、そういう子だからこそ、「そう、わかるでしょ」というセリフを割り当てられたのかもしれません。そして、十時愛梨に魅せられた我々は、「甘い香りに誘われて不思議なおうちにやってきた」6人目に他ならなかったわけなのです。

 

そういえば、[パンプキンパーティー]で十時愛梨はこんなことを言っていました。

なにをされたら一番困るか、そ~っと教えてくださいねっ♪

何をされたら困るか教えろ、と言われること自体、反応に困ります。でも、何をいたずらされたいのか、わざわざ訊いて来るところが非常に可愛い。困る。

 

ところで構ってちゃん的な振る舞いと言えば、[プリンセスバニー]の「毎日プロデュースしてください♪いつでも一緒がいいんだもん♪」という発言を思い出します。ただ、こちらは「愛してください!」と半ば強引に迫ってくる単純なものでした。

しかし、繰り返しになりますが、[パンプキンパーティー]は「意図と不意図と無意識が入り混じっている」十時愛梨で、どこまでがわざとで、どこからがうっかりなのか判りません。まるでこちらが手玉に取られてしまっているような、翻弄されてしまっているような面もあります。そのあたりの影響で、[パンプキンパーティー十時愛梨には、妖しい魅惑で囚われて動けなくなってしまうような、そんな不思議な圧を感じる部分があるんじゃないかな、と思います。

そういった「妖しさ」を描いた点で[パンプキンパーティー]は特異であり、その延長線上に「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」があるという意味で十時愛梨にとっての一つのエポックメーキングなSSRだったと言えるのではないでしょうか。

 

 

3-2:「表情」と十時愛梨

そんな妖しい表情で人を魅了する[パンプキンパーティー]の十時愛梨

ですが、初期レアの頃はキリッとした表情が全然できていませんでした。

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そこから考えると、[パンプキンパーティー]や「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」で見せている表情は、とんでもない進歩です*4

話をモバマスに移すと、2017年5月にはモバマスで[空のおくりもの]が登場。夜空をバックに紫色の綺羅びやかなドレスを身にまとい、大人びた表情を見せてくれました。これも、時系列的には[パンプキンパーティー]の後になります。

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以降、「大人な愛梨」というテーマはモバマスで掘り下げが続いていき、そしてデレステに還って[エレガンス・プラス]として一つの完成形に到達します。

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[パンプキンパーティー]から始まり「Sweet Witches' Night」に至ったデレステと、[空のおくりもの]を経由して[はずむ花の湯]へ進んだモバマス。一見違う歩みを辿っているようにも見えますが、どちらも磨きがかかってきた十時愛梨の表現力がベースにあることは違いありません。

なお、その表現力の進化の裏には、その進化を表現しようとしていらっしゃるCV担当 原田ひとみさんの演技があることも、触れておきたいと思います。詳しくは「ヒトトキトキメキ」の解説記事で触れていますので、そちらをご参照下さい。

 

 

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4-1:「スウィートラヴァーズ」としての側面

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さて、この[パンプキンパーティー]は、[ホワイトウイッチ]三村かな子と同時の登場でした。この二人が「スウィートラヴァーズ」としてユニットを組んでいること、またモバマスでの「アイドルトーク」が発生する組み合わせであることは、ここでも改めて言及しておきたいと思います。

面白い点としては、2人とも特訓前は同じ系統の色使いの衣装だったのが、愛梨はカラフルな魔女、かな子は特訓すると「白い魔女」と、全く違った印象の衣装になります。

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なお、十時愛梨三村かな子のユニット「スウィートラヴァーズ」については、別の稿で詳しく述べていますので、そちらも併せてご覧ください。 

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ちなみに余談ですが、翌年に登場した佐久間まゆが「禁断の黒魔女」でしたから、[ホワイトウィッチ]三村かな子と[トリートオアトリート]佐久間まゆで白と黒の魔女ペアが出来ます。

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もうひとつ面白い点としては、愛梨を含めた3人がそれぞれ「Trick or treat」をもじっていることが挙げられます。かな子は「トリート・アンド・トリート」と発言していますし、まゆはカード名が「トリートオアトリート」、そして愛梨は「Strip or treat」です。

周りにお菓子と癒やしを配るかな子と、Pのために健気に尽くすまゆ*5、そして前述のとおり「Strip」にアイデンティティと独特の想いを込めた愛梨。それぞれの個性がよく出ている点ではないかと思います。

 

 

まとめ:[パンプキンパーティー]の衣装について

ところで衣装に話を戻すと、[アニバーサリープリンセス]と[パンプキンパーティー]の違いといえば、緑色が占める面積が増えたこともポイントです。

この緑、[アニバーサリープリンセス]で愛梨が乗っているゴンドラの色でもあるのですが、初期レアの特訓前で愛梨が着ていた私服と特訓後に着ていた衣装「スウィートシロップ」にも緑色が入っているんですよね。単に衣装のバランスとして緑が入っているのだとも考えられますが、「脱ぐ」や「出番」というワードとともに、初期レアとの繋がりを感じさせる要素になっています。

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冒頭で、[パンプキンパーティー]と[カップオブラブ]は、同じ[アニバーサリープリンセス]の流れを汲んでいると書きました。

カップオブラブ]は愛されるプリンセスとしての十時愛梨だとしたら、[パンプキンパーティー]は人を惑わせて、時に困らせて魅了してしまう十時愛梨です。

一見、[パンプキンパーティー]は、他のゲームで言うところの「オルタ」のようにも見えます。しかし、どちらも同じ衣装から派生している衣装です。

 

これはすなわち、[パンプキンパーティー]がハロウィンの熱に浮かされた十時愛梨なのではなくて、元々の十時愛梨が[カップオブラブ]と[パンプキンパーティー]の両面を持っている、という意味なのかも知れません。

 

十時愛梨というアイドルの幅の広さを知らしめるきっかけになった[パンプキンパーティー]。お迎えした際には是非プロデュースしてみてください。

 

  

おまけ1:契約を迫る十時愛梨

女の子には、たった一度の魔法があるんです、Pさん 

はーい、魔法の契約、ハンコいただきました、Pさん

…一体、何の書類に捺印させたの?!

 

 

おまけ2:ランタンを迫る十時愛梨

愛梨のランタンに灯をくれたのは…Pさんですねっ

Halloween Code」にこんなやりとり無かったっけ…?

*1:余談だが「魔女っ子」という表記では東映登録商標に触れる

*2:実は魔女をイメージしていたんだよ!というスタッフさん、いらっしゃいましたら、ごめんなさい。

*3:もちろん、愛梨が状況を把握した上で敢えてとぼけている、と解することもできる

*4:この「キリッとした表情ができない」様子は、モバマスではぷちデレラのぷちエピソードで、デレステではアイドルコミュで触れられており、両方で出てくるほど重要な要素、なのかもしれない。

*5:もしくは「オア」と言いつつPに選択肢を与えてくれない狂犬時代のまゆとか、(まゆからの)トリートオア(Pからの)トリート、という意味でも解せるかと思う。