Think Airi 023「海の家アイプロ」を振り返ってみる。夏なので。
夏が終わってしまうので「海の家アイプロ」の話をします。
「アイドルプロデュース おいでよ!海の家(通称、海の家アイプロ)」は2015年夏にモバマスで開催されたイベントで、十時愛梨は上位報酬として登場しています。アニメの第1期の放送直後、かつデレステのリリース直前という時期で、十時愛梨に関しては特にアニメからの流れを受け継いで、場を仕切る側面が描かれている点が特徴的でした。また、「グラビアに取り組む思い」や「ファンとの交流」といった、十時愛梨を語る上で外せない面も描かれていました。
- ■登場アイドルとイベントの概要
- ■OP演出、集合演出そしてED演出
- ■WWGの話
- ■愛梨にとってのグラビア
- ■及川雫との関係
- ■[ビーチガール]と[夏のお届け]について
- ■解釈が難しい「静かな岩場」コミュ
- まとめ
- (余談1)愛梨は泳げないのか?
- (余談2)ローカルトーク
- (余談3)ビーチバレー
- (余談4)手を差し伸べるか、手を引くか
- (余談5)料理の話
- (余談6)アイスで怒る
- (余談7)まじりすぺくと
■登場アイドルとイベントの概要
海の家アイプロで十時愛梨は4人のアイドルと共演しました。まず「B・B」としてユニットを組む大沼くるみと及川雫の2人に藤居朋を加えた3人でお仕事がスタートし、そして後半から桐生つかさと十時愛梨が参戦する、という流れで進行しました。
前半戦はタイトル通りに海の家を切り盛りする様子が「海の家」と「店内」の2つの情景で描かれ、後半は海でのグラビア撮影に挑むために「ビーチ」に舞台を移し、そして夕暮れの「静かな岩場」へと移動して仕事を終える、という構成でした。
絆レベル達成報酬で[ビーチガール]、引換券報酬で[ビーチガールS]が登場。
そして上位報酬は[夏のお届け]でした。特訓前は[ビーチガール]で着ている水着の上にシャツを羽織って、海の家の看板娘として活躍するさまが、そして特訓後は磯辺でのグラビア撮影の様子が題材となっています。
ちなみに、アイプロでは「アイドルとのコミュで使用するイベント限定アイテム」と、「イベント進行中にアイドルからもらえるアイテム」が存在しますが、海の家アイプロでは「フルーツポンチ」を使用して、愛梨からは「冷やし中華」と「コーラ」をもらうことができました。今度の飲み会はジョッキコーラ、いかがでしょうか。
■OP演出、集合演出そしてED演出
十時愛梨にとっては1stアニバーサリー以来のイベント上位報酬枠でもある海の家アイプロ。そのため、従来の「天然でマイペース」というイメージとは打って変わって、トップグラビアアイドルとして他のアイドルをリードする場面が多々見られます。とくに顕著なのが大沼くるみへの接し方で、OPでは海の家でのお仕事に不安を見せるくるみに対して、笑顔でファンを思う気持ちが大切だと伝えます。また、それ以降もくるみには色々と語りかけていた様子が、くるみからの発言で伺えます。
中間順位発表後の集合演出では、同じく途中参戦の桐生つかさにコメントを求められますが、それを的確に返して、意外(?)にも観察眼があることを示しています。つかさから一目置かれる場面も。
みんな、それぞれいいところをもっと出して、笑顔でお仕事しましょうっ♪
おう、さすが笑顔でグラビアの頂点獲っただけあるコメントだな。
このあとのグラビア撮影が楽しみだわ。勉強させてもらうぞ。
一方で、藤居朋に対しては無茶ぶり気味にアドバイスしているのも、ひとつの見どころになっています。このやり取りに関しては、後日、藤居朋に対して大きな伏線を貼ることになるのですが、詳しくは Memo013 藤居朋と十時愛梨、その可能性 - think Airi project にて解説していますので、併せて御覧ください。
そして、ED演出では、OPで愛梨が言ったとおりに、お仕事が終わった後も海を満喫して最高の思い出を作ったのでした。めでたしめでたし。
と、思ったところで暗転して、十時愛梨の独り言になります。
Pにも「一緒に」 *1海を楽しんでほしい、という愛梨らしさ、「おいでよ!海の家」というイベント名を引っ張ってきたメタ的な発言、そしてそれを「な~んてっ!」とおどけてみせる様子。そして、たった文字にすると4行ですが、一瞬頬を赤らめて笑顔に戻る、という表情の豊かさ。十時愛梨が凝縮された4行と言えます。こちらは現在もモバマス内の「イベントメモリー」で見ることができるので、ぜひご自身で確認いただきたいです。
■WWGの話
ところで。
向井拓海が主役のコミカライズ、「WILD WIND GIRL」のSTAGE6に十時愛梨が登場していますが、実はその舞台もアイプロと同じく「海の家」。愛梨は[ビーチガール]の水着の上にエプロンを付けていました。 ちょうど同じ回の後半で、木村夏樹が登場していてそちらのインパクトが大きいのですが、愛梨もまた、拓海にひとつの気づきを与えています。
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「WWG」では愛梨は拓海とは別の事務所に所属していて、拓海の事務所からは里奈と早苗が、愛梨は卯月と周子と一緒に海の家の売り子をする、というお仕事でした。
ここで卯月が客に出す飲み物を客にぶっ掛けてしまう、というトラブルが起きますが、卯月を怒鳴りつける客に対して、真っ先に駆けつけたのが愛梨だったのです。
今、ふきますから じっとしててくださいねっ
前かがみになった水着姿の愛梨を目の前にした客は、ばつが悪くなって店を出ていったのでした。
その後、卯月にお礼を言われても、愛梨本人は何が起きたのかわかっておらず、こう返しています。自身のプロポーションに関して無自覚な点はいつもどおりの愛梨。
? よくわからないけど よかったです~
この様子を見ていた周子に「愛梨ちゃん あれで狙ってないからすごいよねー」と言わしめ、拓海にも拳を使わずに場を収めた、と感心させていました。
ところで、男性誌ということもあって、お色気要素も入っているのですが(内匠Pの前でお辞儀した場面では表情が見えずに谷間が強調されて描かれていたり、とか)、そして、実際に拓海もセクシーさが武器になる(=場を収めたのはセクシーである)、と理解するのですが、客の目の前に立ったときの愛梨は、むしろ心配そうな表情が描かれている点は言及しておきたいと思います。内匠Pに挨拶したときは表情が読み取れませんでしたからね。
つまりこれ、色気だけで客の男を黙らせたわけではないんです。目の前の物事に全力で向き合おうとする、十時愛梨の一生懸命なところが客に伝わって、卯月を怒鳴ってしまったバツの悪さを感じさせたような、そんな側面もある気もします。
■愛梨にとってのグラビア
さて、今回はグラビア撮影に対する愛梨の気持ちが垣間見れる点が特徴的です。
まず、ビーチでの撮影に相当テンションが上っているらしいことが、発言から伝わってきます。
いろんなポーズを要求されて…ノッてきちゃいますっ♪
水着になるのは好きですから。夏は任せてくださいっ!
そして撮影に関するコミュもたっぷりありますが、一番印象的なのはこちら。
撮影のお仕事も、楽しいなぁっていつも思うんですっ。なんでだか、わかりますか?
(ノーマル)楽だからじゃないですよ~っ。いろんなポーズをするから、次の日は筋肉痛ですっ
(グッド)Pさんが、ずっと見守っててくれるじゃないですか?だから、うれしいなって♪
(パーフェクト)『愛梨ちゃんのグラビアで元気が出ました』ってファンレター、やっぱり嬉しいですから♪えへへ…
まず、ノーマルですが、グラビア撮影は楽ではない、と愛梨は言います。いろいろなポーズをとっているから、とのことですが、グラビアを見たファンが幸せな気持ちになるようにと、あれこれ工夫を重ねている愛梨の様子が目に浮かびます。
次にグッド。「Pが見守ってくれている」というのも、愛梨が度々口にするフレーズですよね。でもこれ、まだグッドなんです。
そしてパーフェクトでは「ファンレター」の話題が出てきます。愛梨がファン思いなアイドルであることは、サインに「いつもありがとうございます」と書き添えていることからもわかることですが、愛梨とファンとの交流はライブや握手会といった、直接ファンと接する現場だけでなく、写真を雑誌やポスターで見てもらう、という形でも心を通わせていたのだ、ということに気付かされます。
このことは、くるみにも言い聞かせていたようで「愛梨しゃんが、ぐらびあはたくさんの人が見てくれて、好きになってくれるよ~ってぇ」と、くるみが発言しています。
また、[夏のお届け]特訓後でも同様の発言があります。
グラビアも好きですよ!たくさんの人に見てもらえるからっ!
つづいて、ポーズに関して。
ここなら誰もいませんから、人目を気にせずにダイタンなポーズだってできちゃいそうですっ
(ノーマル)でも私、すごく身体がやわらかいって訳じゃないので…ヨガみたいなポーズはちょっとっ!
(グッド)どんなポーズがいいかPさんと一緒に練習しますっ。いろんな愛梨を見てください♪
(パーフェクト)いろんな愛梨の姿を、ファンの人が見て、喜んでくれたら…アイドルとして、それが一番ですねっ
パーフェクトは先ほどのコミュのパーフェントと同様に、直接ファンと会わないお仕事であってもファンを思いながらグラビア撮影に臨んでいることがわかります。その積み重ねが、ファンにもきちんと届いて、ファンレターにも繋がっているわけですね。
ノーマルは言っている通りに受け取るとして*2、グッドがまた愛梨らしいところで、初期レアで「Pと一緒にトップアイドルを目指していく」と宣言した愛梨だからこそ出てくる言葉だなぁ、と思います。
ちなみに、「誰もいませんから、人目を気にせずにダイタンなポーズ」という箇所は、イベント10日目開始時のログイン画面でも似たようなことを言っています。
誰もいない岩場のビーチ…ここなら、誰にも気兼ねなく、思いっきりグラビア撮影できますね! じゃあ、さっそく失礼して…えっ?
人目を気にして気兼ねをするような子だったのか、みたいに、意外さを感じた人もいるんじゃないでしょうか。
さらに撮影中に関してはこんなのもあります。
波打ち際でごろ~ん♪波がとっても気持ちいいです♪マーメイド愛梨の撮影は、今がチャンスですよ~
(ノーマル)あわわわっ、波が押しよせてきました~っ!こんなところ、撮ってもNGにしてくださいっ!
(グッド)夏だからこそできる撮影ですねっ♪じゃあ、冬は雪山でごろ~ん、ですか? えぇ~っ
(パーフェクト)えへへ…気持ちいいから、いい表情になれたみたいです♪いっしょにごろ~ん、してみません?
まずノーマル。波打ち際なんだから、そりゃ波が来るだろう、と思うところですが、愛梨らしいトラブルですよね。ちなみに撮った写真のOK・NGといえば、[いっしょにえいっ]と[プライベート・メイド]でも話題として上がっています。
うぅ、活躍しようと思ったのに…。あっ、私のこんなシーン、撮っちゃだめですよぉ~っ!?
この写真はNGですけど、PさんにならOKです♪
つぎにグッド。そういえば愛梨って、雪山とか雪原でのお仕事ってやってないですよね。[アニバーサリー・プリンセス]の特訓前で粉雪が舞っていましたが、クリスマスは南半球に行ってましたし、その他も冬らしいお仕事ってやっていないので。
そしてパーフェクトは、またPに「一緒に…」と誘っています。ちなみに「よくカメラマンさんに、自然なポーズがいいって言われますっ♪」なんて発言もあったりするので、自然な表情、自然体なポーズが評価されていることも伺えます。
そして衣装に関してはこのコミュで愛梨の気持ちがうかがえます。
他の衣装で撮影するのも面白いかもしれませんね!いろんな愛梨を見てもらえそうで♪
(ノーマル)バニーもドレスもタイトスカートも着ましたけど…まだまだいろんな服を着たいなぁっ
(グッド)以前雫ちゃんがナース服を着てましたけど、ああいうのも楽しいですよね♪着てみたいですっ
(パーフェクト)たまにはカッコいい系とか、どうでしょう?私はほんわかしてるから似合わないですか? うぅ~
まず、着てみたい衣装を愛梨が言う、という状況が珍しい、というお話をしておこうと思います。これまでの愛梨は衣装のサイズが合わない、ということは度々口にしていましたが、何を着たい、という話は、ぷちデレラで「脱ぎづらい服がいいかもしれませんね~」と言っていた程度でした。
実は愛梨、衣装に限らず、こんなお仕事がしたい、という具体的なリクエストを言うこともほとんどありませんでした。その代わりに、ファンを笑顔にしたい、とか、アイドルとしてトップを目指したい、とか、目標は何度も発言しています。もしかすると、ファンを喜ばせることができるなら、お仕事の形にはこだわらない、ということなのかもしれません。
さて、ノーマル、グッド、パーフェクトの順に追ってみると、いろいろな服が着たい、雫が着ていたのも着てみたい、カッコいいのも着てみたい、と、愛梨の思いが順に明確になっていくのがわかります。
カッコいい、とは若干方向性が違いますが、約2年後の[空のおくりもの]以降は、大人びた衣装であったり、哀愁や落ち着きといった雰囲気も表現できるようになり、「ほんわか」以外の衣装も似合うようになりました。
ちなみに、衣装に関してはこんなのも。
みんなと一緒に水着になるなんて、なんだか学校みたいですねぇ♪
(ノーマル)くるみちゃんは、学校で着てて大変って。最近のは素材がキツいらしいですよ~っ
(グッド)朋ちゃんとつかさちゃんもそれぞれ個性ありますよね~。でも私だって、ほら、フリフリ♪
(パーフェクト)もしスクール水着でも、Pさんが着せてくれるなら、私の一番になりますけどねっ♪
スクール水着でも、Pが着せてくれるならOK、という衝撃的な返しですが、しかもこれがパーフェクトなんです。衣装の「かたち」にはこだわらなくて、それがPが愛梨を思って着せてくれたものなら喜んで受ける、という、Pへの信頼の厚さを感じるところです。*3
■及川雫との関係
海の家アイプロでは、及川雫との共演を果たしています。
まず愛梨側の発言から見ましょう。
以前雫ちゃんがナース服を着てましたけど、ああいうのも楽しいですよね♪着てみたいですっ
言及しているのは[愛の癒やし系]特訓後のこの衣装ですね。愛梨って、他の子の仕事もチェックしてるんだなぁ、と感じさせる一コマです。
もう一つは共演に関して。共演回数の多さが、雫にも愛梨を意識させているのかもしれません(後述)
雫ちゃん、グラビア系のお仕事でよく一緒になるんですよねっ
一方、雫側は愛梨に関して様々な発言をしていました。
例えば愛梨を尊敬しつつ、対抗意識を燃やして張り合う様子、とか。
愛梨ちゃんはいろんなポーズをとってますねー。グラビアクイーンの座はさすがですー
愛梨ちゃん、今日は負けませんよぉーっ
対抗意識を燃やしすぎるところ、とか。
愛梨ちゃん…大胆ですー!よーし私もっ!…って、もう脱ぐものありませんでしたー!
愛梨が作ったパンケーキに商機を見出したり、とか。
愛梨ちゃんのパンケーキ、オシャレでとっても美味しそうー♪
あ、特製の生クリームかけましょー!
しかし印象的なのはこれです。
愛梨ちゃんのまわりは、活気っていうより癒やしですねー。やわらかい雰囲気ですー
のちに、二人が「ふわっとカントリー」というユニットを組むことになりますが、この時点で雫が愛梨を「やわらかい雰囲気」と表現しているのが面白いところです。
■[ビーチガール]と[夏のお届け]について
は~いっ、海の家へ、ようこそ~♪看板娘の十時愛梨が、夏の楽しみ方をみんなに教えてあげますね~っ♪コーラやラムネで、いっしょにカンパイしましょう~♪
今回は、海辺でグラビア撮影なんですねっ!えっと~、このあたりに寝転がったらいいのかな? よいしょっ……と♪えへへ、かわいく撮ってくれたら嬉しいです!マーメイド愛梨ですよ~っ♪
まず[夏のお届け]に関して。特訓前は「海の家の看板娘」、 特訓後は「マーメイド」という趣です。特訓前は溢れるコーラと、ジョッキから飛び出した氷、特訓後は愛梨が指で弾いた水しぶきがキラキラと光って、夏らしい絵になっています。
ところで、今回の愛梨は珍しく、特訓前後ともにハート型のネックレスを付けています。特訓前後ともに付けているのは、過去の記事でも触れたとおり、*4[シンデレラガール]と[夏のお届け]の2回だけです。
発言で注目したいのは、特訓前後で共通しているものです。
ぽよーん♪ぽよよーん♪
夏もはじけちゃいましょうっ
似合ってるって言われました♪
水着愛梨をお届けですよ~っ!
ひとつめは、おなじみの「ぽよーん」。馴染みがない方はぜひ、こちらの記事を参照なさってください( ヒトトキトキメキの歌詞とエピソードから読み解く十時愛梨 - think Airi project )。
ちょっと面白いなと思ったのは3つ目で、看板娘としての姿も、グラビア撮影をする姿も、どちらも似合っている、という点です。看板娘は初挑戦ですが、以前にメイド服を着たことはあるので(そして、この後も更に2回着ているので)板についた感じがあったのかもしれません。
エピソードも必見です。エピソード1では看板娘についての思いを教えてくれます。
まず、アルバイトとか売り子っぽいことをしようとすると、友達に止められる、という点。デレステのウワサで「キャンパスでは常に、女友達が一緒らしい」と言われる愛梨らしいところでし、素直に友達の言うことを聞いてしまうのも愛梨っぽいですよね。護られている感じがお姫様っぽい、とも言えます。
そしてファンと交流できるのを喜んでいるところも、ファン思いな愛梨らしいところ。
エピソード2は一転して、Pへの気遣いがメインテーマになります。そう、愛梨ってPが疲れていないかすごく気遣ってくれるんですよね。[アニバーサリー・プリンセス]でもそうでしたし、この後の[はずむ花の湯]のエピソードも、Pへの気遣いが話のきっかけになっています。
ところで、[夏のお届け]という名称についてですが、これも2通りの意味があることに気づきます。1つ目は海の家の売り子として、商品を「お届け」すること。そして2つ目はグラビアで、愛梨の魅力を存分に「お届け」すること。
愛梨にとっては、直接ファンと会える海の家の売り子も、写真越しだけどファンに愛梨の姿を届けられるグラビアも、どちらもファンを喜ばせてあげるという意味では同じで、どちらのお仕事からも、愛梨のファン思いな面が伝わってくるんですよね。
歌って踊るだけじゃない。ライブだけじゃない。イベントでも、グラビアでも、あらゆる場面で全方向にアイドルである。それが十時愛梨なんです。そして、それが如実に表れているのが、[夏のお届け]そして「海の家アイプロ」での十時愛梨の魅力だと思います。
さて、[ビーチガール]についても見どころがあります。
まずはアイドルコメント。
じゃーんっ♪見てください、Pさんっ♪今日のために、いっぱい選んできた水着なんですっ。ここの柄がポイントですよっ! ほら~♪ …あぁっ、そんなに見られたら、暑いです~っ!
今日のために選んできた水着、っていう時点でかわいい。海に来るのが楽しみだったんだろうなぁ、ということがよく伝わってきます。ちょっと浮かれてるのか、こんな発言もあったり。
夏のせいにして、いっぱいノリノリになって跳ねちゃいましょう!
その一方で、面白いのがこちら。
海の家ってイイですよね。楽しくて、ちょっと気だるくて、幸せで!
海の家を、楽しい、という人は多いでしょう。でも、「気だるい」って単語、なかなか出てこないんじゃないでしょうか?そもそも、愛梨の普段のイメージからすると、「気だるい」という単語が出てくるのが意外ですよね。
ところが、よくよく思い出してみると、海の家って、例えば遊び疲れてぼーっとしたり、かき氷を食べながらちょっと遠くの波打ち際を眺めたり、もしかすると料理がなかなか出てこなくて待ったりして、確かに「気だるい」んですよね。海の中やビーチが完全にアクティブなのに、海の家の中は時間の流れ方がちょっと違ったりする。それを「ちょっと気だるくて」と表現しているのが、なかなか良い視点だと思います。
さらに、「気だるさ」も含めて、最後に「幸せで!」と一気にひっくるめてしまう勢いが、十時愛梨らしいところで、なかなか完成度の高い詩的な表現だと思います。*5
■解釈が難しい「静かな岩場」コミュ
さて、撮影以外のコミュについても、いくつか触れておきたいと思います。
長いようで短い時間でしたね~。楽しい時間って、ほんとにあっという間で過ぎちゃいますっ
(ノーマル)やり残したこと、ありませんか?メモリいっぱい写真撮って、売り残した焼きそば食べて、えーっと
(グッド)まだもう少し時間ありますよね?最後はみんなと、海遊びを楽しんじゃいますっ! えへへ♪
(パーフェクト)次もPさんと、また…愛梨はアイドルだから、またいっしょにお仕事したいですっ♪
ノーマルは、意外と欲張りな愛梨が出ています。それと同時に、売り残した焼きそばはちゃんと食べようとするところとかも、人柄が出ていて面白いところです。
グッドはOP演出で思い出を作ろうと言っていたのとリンクするところですね。
さて、問題はパーフェクトです。文面だけを見ると佐久間まゆっぽいですが、果たしてそうなのか、というと違う気がします。同じく「静かな岩場」で、こんなコミュがあります。
夕日の海でふたりきり…。ドキドキして…この胸の鼓動が聞こえちゃいそう…
(ノーマル)あ、撮影のスタッフさーんっ!こっちです~っ! さぁっ、お仕事再開しましょう~っ!
(グッド)あのっ…向かい合ってるとドキドキしますから、ならんで夕陽を眺めましょうっ。ほら、ねっ!
(パーフェクト)へ…Pさんもドキドキしてるんですか? それって…私とお揃いですね♪えへ♪
ノーマルはベタな展開なのですが、グッドで、向かい合ってるとドキドキするから向きを変えよう、と言い出しています。そしてパーフェクトでは、Pもドキドキしている、と伝えられて、「お揃いですね♪」と返しています。
このパーフェクトで気になるのは「それって…」というところ。愛梨が抱いている感情とPから愛梨への感情がどうやら同じことに気づいたかもしれないですが、でも、それを明言するのは避けて、「お揃いですね」とぼやかした表現にしているのがポイントです。ここでの愛梨の返し、相当頭が切れてます。ぼやかした理由は、もちろん今の自分はアイドルだから、と立場を考えての発言だったとも考えられますが、普段の愛梨の距離感を考えると、むしろ照れ隠しだったのではないか、と思います。
照れ隠しで「お揃いですね♪」と言ったのだとすれば、「次もPさんと、また…」の続きは、素直に「海に来たいです」ではなくて、「アイドルだから」と断った上で「お仕事がしたい」になるのも、筋が通るかな、と思います。
発言を割と素直に解釈していいことが多い愛梨ですが、ここだけはかなり読み解きが難しい部分ではないでしょうか。
まあ、「アイドルだから…」と一線を引いているなら、チャンスタイムでこういうことは言わないわけで、やっぱり真意は違う気がしますよね。
Pさん、暑いですか?
…ぺたっ♪
くっついたら、もっとあつい夏になるかもですよっ
■愛梨のおねだり
最後に、イベント全体を通して、愛梨がおねだりをしていたことを紹介しておきたいと思います。
まずは海の家が終わった直後のビーチで。
海の家でのお仕事は忙しかったですねっ!海で遊べなかった分、撮影が終わったら…
(ノーマル)海に飛び込みたいな~って何度も思ってたんですっ。焼きそばを作ってるときにっ!
(グッド)せっかくの海ですから、みんなともっともっと海で遊びたいって思ってますっ!
(パーフェクト)ほら! Pさんも、水着になりませんか?ほらほら、脱いじゃいましょうっ♪
ノーマルのインパクトがすごいんですが、暑がりな愛梨が鉄板の前で格闘していた、という絵面も想像すると面白いものですし、焼きそばを焼きながら海に飛び込みたいって考え出す理論の飛躍も愛梨っぽいところです。
グッドは他のコミュでも出てきたとおり。
そしてパーフェクトですが、Pにも水着になろう、と勧めてきます。ビーチでスーツは似合わない、ということで、これ自体は他のアイドルも言っていることですが、愛梨の場合は、他のお仕事でも似たようなことを言っています。
Pさんも、お揃いのサンタさんフードをかぶりましょっ♪
[ホーリーリゾートナイト]
まさか、サンタさんフードを勧めてくるとは思いませんでしたが、でも、Pと一緒がいいのが愛梨なんです。
続いて、同じくビーチでのコミュですが、こちらはエクストラコミュ。
あの…実はPさんにお願いがあるんですけど、聞いてもらえますか?
(ノーマル)あのっ、メイクがくずれちゃって…メイクさんを、呼んできてもらえますか~っ
(グッド)背中の紐がほどけそうなんですけど、手が届かなくて…うぅ、直してください~
(パーフェクト)Pさんと一緒に泳ぎたいです♪今日はダメなら…次は約束ですよっ♪
パーフェクトが、言い方変えてるけど、やっぱりPを水着にしようとしています。しかも、今日がダメなら、といって次の約束も取り付けようとしているので、愛梨は本当にPと泳ぎたかったみたいです。*6
そして、静かな岩場へと移動してのコミュ。
Pさん、夕暮れの海ってロマンチックですね。あの…私、してみたいことがあるんですっ!
(ノーマル)この後みんなで花火しませんか?Pさん、お願いですっ!お願いお願いっ!
(グッド)Pさん、お城を建てましょう!たとえ砂でも、私たちのお城をっ♪
(パーフェクト)Pさんと砂浜のお散歩したいです。夏の思い出、もっとお話ししたいからっ
ようやく愛梨がPを水着にするのを諦めましたが、それはさておき、3つとも興味深い発言をしています。
まず、ノーマルで「花火をしたい」と言っていますが、実は海の家アイプロの次の愛梨の出番は[スウィートサマーナイト]で、花火を手にしていました。
つづいてグッド。砂の城を作る、というのも海でやることの定番ではありますが、十時愛梨は「アップルパイ・プリンセス」。プリンセスの住まいといえば「お城」。だから、砂遊びがしたいのではなくて、「お城」を作りたい、という方に気持ちの重心があるんです。「たとえ砂でも、私たちのお城をっ♪」というのは、そんな気持ちが入っているんじゃないかと、思います。*7
そしてパーフェクト。夏の思い出をお話したい、という愛梨の気持ち。これがお城を作る、よりも上に来るのは、「かたち」のあるものを作ることよりも、思い出を作ることに、愛梨が重きを置いているからかな、と思います。[カップオブラブ]のコミュでも、似たような話がありましたよね。
もしかすると、愛梨がお仕事の形を問わず常にファンを思って取り組んでいることも、「かたち」ではなくて、その仕事に込める「きもち」に軸を置いているからかもしれません。もちろん、砂の城を作ることすらも、思い出を作ることだったりしますし、愛梨が大切にしているものをうかがい知ることのできる、面白いコミュだと言えます。
ところで、Pを水着にしようとしていた愛梨ですが、その後、イタリアで念願が叶いました。
わぁ~、Pさんの水着姿、すごく似合ってますよっ♪
[プライベート・メイド]
まとめ
十時愛梨の「ファンへの思い」「グラビアへの思い」をしっかりと確認することができた海の家アイプロ。直後にデレステがサービスインしていますが、特に「ファンへの思い」は、デレステでのSSRでも度々現れていることからもわかるとおり、海の家アイプロは、2015年までの愛梨をまとめた、ボリューミーなイベントだったと言えます。
アイプロはイベント期間が終わってしまうとコミュが見れないのが痛いところですが、OP演出はイベントメモリーから閲覧できますし、[夏のお届け]も、希少ですがフリートレードでお迎えできる可能性はゼロではないので、ぜひモバマスに触れたことのない方も、モバマスに触れてみて頂ければ、と思います。
(余談1)愛梨は泳げないのか?
でも、愛梨しゃんも泳げないって言ってたし…それでもいいのかなぁ~って思ったよぉ
愛梨が泳げないって言っていた、とくるみが発言しているのですが、実はこれには裏があります。愛梨の発言を見てみましょう。
私は泳いだらダメって…なぜ…?
[ビーチガール]
そう、愛梨はPに泳ぐのを止められていたんです。そして、恐らく愛梨が「(Pに止められているから)泳げないんだよ」と言ったのを、くるみが間違って認識した、というのが事の真相のようです。
ちなみに、Pが愛梨に泳ぐのを禁止した理由はわかりませんが、なんとなくは察しが付きます。
ヒモがほどけて…えぇ~っ
[ビーチガール]
あぁっ、波で水着が~っ!
[夏のお届け]+
(余談2)ローカルトーク
暑いですね~。夏だから当たり前ですけど…。でも暑いです~っ。故郷の秋田とは違いますっ
(ノーマル)北国育ちだから、暑いのは苦手です…。だからつい服を脱いじゃうんですよね、無意識でっ!
(グッド)秋田の夏は短いんですよ~。でも、こっちの夏は長くていっぱい楽しめますねっ!
(パーフェクト)Pさん、避暑地へいくなら秋田がオススメですよっ♪案内役もいますし!
愛梨が故郷の秋田の話をするのはこれが初めて。ところで「案内役」って誰だろう(すっとぼけ)
(余談3)ビーチバレー
振り返れば、海の家とグラビア撮影のお仕事で、夏を満喫しちゃいましたね~っ♪
(ノーマル)でも、まだまだ夏を楽しみたいなぁ…このお仕事が終わっても、プロデュース、お願いしますねっ!
(グッド)みんなとしたビーチバレー、面白かったですね!夢中になっていっぱいぴょんぴょんしました♪
(パーフェクト)Pさんと愛梨の夏の思い出…この胸にい~っぱいですよっ!うれしいなぁ…♪
グッドで「ビーチバレー」の話題が出てきますが、くるみから重要な目撃情報が出ています。
雫しゃんと愛梨しゃんがビーチバレーしてて…いっしょに転んだとこもバッチリとれたよ~
…はやく公開するんだ。
(余談4)手を差し伸べるか、手を引くか
わぁ、静かで秘密のスポットみたい…けど、岩場ですから気を付けないとっ!
(ノーマル)足元に気を付けてくださいね。私の足元は…ひゃんっ!カニさん…はぁ…ビックリした~
(グッド)転んだら、支えてくださいねっ!前のめりに倒れたら…ひっぱってくださいっ!
(パーフェクト)あっ、ありがとうございます♪ 転ばないように手を繋いでくれたんですね
グッドとパーフェクトの違いが良いところで、グッドは「何かあったら助けてほしい」というやつで、パーフェクトはPが愛梨をエスコートしているわけですよね。
パッションアイドルは基本的に見守って、何かあったときに手を差し伸べる…という、スタンスが多いと思います。ただ、愛梨はパッションであると同時にプリンセスでもあるので、パーフェクトのように、エスコートするのも似合います。
もっとも、愛梨は大抵のことはどうにかクリアしてしまうので、手を差し伸べる場面があまりなくて、プリンセスとして接することのほうが多かったりしますが。
(余談5)料理の話
今回、お料理に挑戦できて楽しかったです♪まさか海の家でなんて♪
(ノーマル)本当はケーキも手作り…って思ったんですけど、夏は傷みやすいですから、また今度っ
(グッド)今回は隠し味も小技もアレンジも封印ってことだったので、みんなに満足してもらえたかなぁ?
(パーフェクト)焼きそばの作り方はもうプロ級だと思いますっ! 事務所でも差し入れしましょうか♪
愛梨の趣味は「ケーキ作り」。なので、料理もできそうな気がしますが、実は料理は苦手だったりします。原因は焦がしちゃったりとか、色々あるのですが、もう一つ「隠し味」「小技」「アレンジ」が原因らしいことが判明します。あー確かに普段の言動をみると、思いつきで食材とか足してレシピ通りに作ってなさそう。
(余談6)アイスで怒る
あの、Pさん、暑くないですか~?ずっと一緒にいてくれるから、気になってっ
(ノーマル)むむっ……私に隠れてアイスとか食べてませんでした?ずるいですっ!もうっ!
(グッド)Pさん、そんなにずっと見つめて……って、あのう……? あ、熱中症ですか~っ!?
(パーフェクト)水分補給は忘れちゃダメですよっ!私のでよければ分けてあげますっ!どうぞっ♪
グッドの勘違いっぷりや、パーフェクトで気遣ってくれる優しさもさることながら、ノーマルの返しが印象的です。怒ってます。
何で怒るのかというのは、もう完全に推測ですが、「私に隠れて」というところがポイントなんだと思います。愛梨が暑い鉄板の前で焼きそばを焼いているのに、Pがこっそりアイスを食べる行為って、Pの抜け駆けなんですよね。これって、愛梨がこだわっている「一緒に」に反する行為なわけです。だから怒ってるんじゃないでしょうか。
覚えておきましょう。
十時愛梨はスク水を着せても怒らないけど、隠れてアイスを食べると、怒る。
この感覚が掴めると、十時愛梨の思考がだいぶ分かるようになります。たぶん。
(余談7)まじりすぺくと
つかさちゃんが、まじりすぺくとって…どういう意味ですかっ?
*1:「一緒に」、というのは愛梨を語る上で外せないファクターである。参照: Think Airi 010 アップルパイ・プリンセスの歌詞を見直す - think Airi project
*2:これ以外の場面で、身体が硬いとも柔らかいとも言及されていない
*3:着せてくれる水着なら、何でも構わない、という一方で、絆レベルが15に到達したときは「私の水着…喜んでもらえました?でも、Pさんは、どんな愛梨でも喜んでくれますよねっ。優しいからっ!」とも言っており、別の形でもPを信頼していることが伺える
*4:
*5:ちなみにイベント終盤ではイベントTOP画面で「夏の終りって、なんでこんな切ないんでしょう…」とも言っており、情緒を感じる感性があることがここでもわかる
*6:このコミュがあることからも、先述の「愛梨はアイドルだから、またいっしょにお仕事したい」という発言は、本当はPと海で遊びたい、という本心を隠していると推測される。
*7:「私たち」という部分にも「君とならそう、私はプリンセス」と、「君」存在あってのプリンセス、というところが感じられて非常に良い